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クライメートテック - CO2から化学品を製造!Again Bioへの出資 -
はじめに
DGDVの西川です!これまで海外投資先についてはあまりプレスリリースを出していませんでしたが、2025年は国内外での発信を強化していこうと決意し、PR Timesにもリリースを出しましたので本記事でも書いてみようと思います!
クライメート投資方針とソーシング開始
昨年5~7月にかけて、海外投資家との意見交換を通じて「クライメート領域は日本のモノづくりの強みが活かせる分野である」と確信しました。この領域を一時的なトレンドとして捉えるのではなく、日本をさらに強くするため大きな挑戦として注目し始めました。
その中で、「環境に良い」「カーボンニュートラルに寄与できる」といったコンセプトに留まらず、政策方針や補助金に依存せず、独自のバリューを提供できるスタートアップへの投資を行う方針のもと、まずは日本の強みが活きるケミカル領域からソーシングを開始しました。
Again Bioとは?
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Again Bioは、CO2の回収・貯蔵・有効活用を行うCarbon dioxide Capture, Utilization and Storage(CCUS)のスタートアップです。
コペンハーゲンとベルリンに拠点を置き、デンマーク工科大学、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学での研究を基に開発された独自のガス発酵技術を活用しています。この技術を用いて、工場や産業プラントから排出される排気ガスを原料に化学品を生産し、CO2削減だけでなく低コストでのグリーンケミカル供給を実現しています。
Again Bioとの出会い
CCS・CCUSはクライメート領域の中でも注目していましたが、事業化までに長期間を要し、設備投資も大きいことから、収益化が難しい印象を持っていました。これまで複数のスタートアップと話をしてきましたが、CO2削減は評価されるものの、明確な収益モデルが描きにくいケースが多く、投資に踏み切れませんでした。
そんな中、他領域でも共同投資実績が複数件あるGV(旧Google Ventures)との情報交換をする中で、ケミカル領域への関心を伝えたところ紹介されたのがAgain Bioでした。
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Again BioがSeries Aの資金調達を検討し始めたタイミングで我々も会話を開始しましたが、既存投資家を含めオーバーサブスクリプション状態で、アロケーションをもらうために交渉を開始しました。
その中で、揖斐さんと私はデンマークの本社、開発拠点のみならず、稼働プラント含め訪問し、現地でDDをスピーディーに進めるとともに、投資後のサポートや日系企業との協業の可能性を議論する中で、Againとも信頼関係を築いてきました。また、GVやCo-lead投資家であるドイツ最大規模のVCであるHV Capitalとも連携し、最終的にSeries A投資家の一員として参画できました。(何度も胃がキリキリと痛む場面がありましたが、それはまた別の機会に!)
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Again Bioへの投資決定の理由と期待
Again Bioであれば、クライメートテック企業という点を伏せて、通常の化学品企業として製品を製造した場合でも、顧客を見つけられる可能性が高いと確証を持てたことが大きな理由です。
従来のガス発酵技術は高額なガス事前処理が必要であり設備投資が多額となることに加え、非常に生産効率が悪く、安定的な大量生産が求められる商業化には向かないとされていました。しかし、Again Bioのガス発酵技術は不純物に対する強い耐性を持っているため、産業排気ガスを事前処理なしで直接バイオリアクターに供給、水素と発酵させて、製造します。その結果、既存製品と同品質の化学品を、圧倒的に低い原価で製造できていることがわかりました。
上記の裏付けとして、デンマークでプラントが既に稼働しており、CO2を原料とした酢酸(接着剤、溶剤、プラスチック、繊維、化粧品の基礎化学物質)の生産技術は実証されています。さらに、グローバルな化学品卸業者Helm AGとの販売契約も締結し、本格的な商業化が進んでいます。
Again Bioは今後、さらなる製品ポートフォリオの拡大、追加生産能力の向上に向けた研究開発を推進するとともに、新たな製造プラントの建設を通じ、CO2削減への貢献を加速する計画です。CO2削減と事業の収益性を両立する持続可能な成長モデルを構築しているAgainに大きな期待を寄せるとともに、DGDVとしてもAgain Bioのグローバル展開を支援していきます!