富士山初冠雪(2021)
初冠雪異例の見直し
※9月22日更新
富士山の初冠雪が見直しとの発表がありました。
甲府地方気象台によると、富士山の初冠雪は
富士山頂にあるアメダスで、日平均気温の最高値が出現した日以降に
冠雪を観測した場合に発表されます。
9月7日の時点では8月4日に日平均気温が9.2℃で最高を記録して
その後の冠雪だったため初冠雪が発表されましたが
9月20日に10.3℃とさらに最高値を更新したために
9月7日の初冠雪は見直しとなり
今後の冠雪があればそこで初冠雪の公式記録になるということになりました。
関係者によれば少なくともこの10年ではこのようなことはなかったとのこと。
次はいつになりそうか
最新の予想だと25日(土)から26日(日)に寒気が流れ込む予想。
大気の状態が不安定となり、降水も予想されるため
富士山にかかれば冠雪の可能性があります。
ただ、富士山頂付近はプラスの気温で推移する可能性が高く
降っても雨かもしれません。
ちなみに富士山初冠雪の平年日は10月2日です。
結局平年よりも遅い初冠雪となるかもしれません。
(※9月26日に初冠雪発表)
取り直しの初冠雪
※9月26日更新
9月26日に甲府地方気象台は富士山の初冠雪を再発表しました。
平年より6日早く、去年より2日早い冠雪です。
富士山が冠雪
(※一度目の初冠雪発表が早かったという話で書いています。
冠雪のメカニズム自体に変わりはないのでご参考になれば幸いです。)
6日の時点で静岡側からは冠雪している様子は見えたのですが
山梨側から目視で確認できない限り記録に残りません。
今日ようやく確認できたということで発表に至りました。
10年に一度の早さ?
確かに最近一気に涼しくなって、秋めいてきたなあという感じですが
例年よりも1ヶ月近く早い冠雪ですので、
あまりにも急に秋が訪れたように感じます。
9月上旬までに初冠雪となったのは、2008年の8月9日という記録があります。
ちなみにそれは統計開始以来最も早い初冠雪でした。
その前は2000年の9月4日です。
ということで大体10年に1回はこれくらい早い初冠雪があるので
ものすごい珍しいことではありませんが
今回なぜここまで早かったのかを解説します。
なぜ早かった?
大きな要因となったのは寒冷渦とブロッキング高気圧です。
この二つは偏西風の大きな蛇行により形成されます。
これは水蒸気画像と言って大気中上層(大体上空5000mより上)の
水蒸気量を見るための衛星画像ですが
ロシアのシベリア付近に大きな渦が見えます。
これが寒冷渦で、そこでは偏西風が大きく南に蛇行しています。
その東の日本の北では、バランスを取るため偏西風が大きく北に蛇行します。
偏西風が大きく北に蛇行する地上付近では
ブロッキング高気圧と呼ばれる高気圧が形成されます。
その名の通り風の流れをブロックする高気圧なので動きがほぼありません。
地上天気図を見ると、オホーツク海付近に高気圧があります。
日本の北側が高気圧になると、日本付近は北から風が吹きやすくなり
寒気が流れ込みやすくなります。
昨日の深夜に富士山頂の最低気温は-5.8℃と今季最低を記録しています。
9月6日の最低気温の平年値は+2.0℃ですので
平年より8℃近く低い寒気が流れ込んでいたといえます。
この高気圧がどんどん北から冷たい空気を送り込んできて
寒気のピークとなったのが昨夜となったんですね。
また、別の寒冷渦が昨日通過し
日本付近の上空に寒気が流れ込んだことで大気の状態が不安定となり
昨日の午後は東日本で雨や雷雨となりました。
富士山頂では気温が低かったので雪となり、初冠雪となったわけです。
つまり、偏西風の大きな蛇行が日本の北に高気圧を作り
その高気圧が寒気を北から運んできて
そのタイミングで降水があったため初冠雪となりました。
今後の気温は
ちなみに最新の3ヶ月予報では10月の気温は平年より高い予想となっているため
このまま秋が深まっていくわけではなく、一時的な涼しさといえます。
まだ暑い日は出てくると思いますので、引き続き体調管理に注意しましょう。
最新の3ヶ月予報の解説はこちら
https://note.com/yuma_weather_fc/n/n71f89342f354
(画像:ウェザーマップ)
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