#13 29歳現役柔道家が、今月54歳の誕生日を迎える柔術家に抑え込まれた話
はじめに
皆さん、こんにちは。
今週、妻と半年に一度あるかどうかの大喧嘩をしまして、家が崩壊寸前でした。その日の夜に感情のまま一本のnoteを書き殴ったのですが、公開すれば新たな火種になりかねないので、ボツとさせていただきます。
今回は、タイトルにある通り、最近衝撃を受けた出来事についてお話しします。今月54歳の誕生日を迎えられる柔術家であり、格闘技道場パラエストラの代表、そして日本ブラジリアン柔術連盟会長でもある「中井 祐樹先生」に胸を借り、抑え込まれた体験について、皆さんにお伝えします。
柔術ジムへ
以前からSNSでも少しずつご紹介していますが、私は週に4回の柔道の稽古と通常のトレーニングに加え、柔術の練習にも参加しています。また、妻の総合格闘技の関係でご縁があり、中井先生が主宰するパラエストラ東京のジムにも週に一回程度通わせていただいています。
腰の張りや膝の怪我の影響で2週間ほど空けていましたが、今週は久しぶりにジムに顔を出しました。しかし、その日は体調不良や欠席者が重なり、いつもより人数が少なく、ジムに余裕ができていました。
中井先生との対決
その時です。
いつもラジオのように止まらない解説をしながらスパーリングしている選手たちが、ぶつからないように常に壁に入ってくれている中井先生が、私に向かって
「大島くん、やろうよ」
と声をかけてくれました。
柔道を小さい頃から続けてきた私でも、中井先生の名前は知っており、内心ドキドキしながらも嬉しさが溢れていました。顔に出さないようにしようとしていましたが、おそらく自然ににやけてしまっていたと思います。
29歳対53歳、中井先生は私の親と同じ年齢で、柔道では考えられない歳の差の組み合わせです。しかし、この年齢差でもスパーリングができるのが、柔術の醍醐味だと思います。それでも私は、柔術家の強さを知っているつもりだったので、全力で、むしろ「食ってやろう」と意気込んで先生の胸を借りました。
組み合った瞬間、「いける」と感じた0.5秒後、その安易な考えが一瞬で覆されました。
中井先生は、特別な技や複雑な技を仕掛けるわけでもなく、ただ寡黙に淡々と、当たり前の作業をこなすように、洗練された動きで攻めてきます。ポジショニングやプレッシャーの掛け方、手や腰の位置、足の使い方など、当たり前の技術がものすごくレベルが高く、研ぎ澄まされていて、無駄な動きが全くありません。
一度マットに背中をつかされると、そこから抜け出せない蟻地獄のようで、2つの選択肢(逃げる方向)を与えられるけど、どちらに逃げても抑え込まれるか、極められる詰将棋のような感覚でした。決して難しい技や最新の技術ではなく、オールドスタイルがベースにありながら、今あるテクニックを自分に合った形にカスタムして、昔と今の技術が合わさったハイブリッドのようなものでした。
「食ってやろう」と意気込んでいた私は、何度も抑え込まれて、逃げるのに必死でした。私が得意としているポジションですら、巧みに足を使って、反対に攻めに転じられました。
5分間のスパーリングの終わりを告げるブザーが鳴り、悔しくてもう一本そのまま継続してお願いしましたが、結果は変わらず、文字通り胸を借りさせていただきました。
1本目の終わりくらいに気がつきましたが、中井先生は私に合わせて自分のフィールドの柔術ではなく、柔道ベースで戦ってくれていたのです。
もう全てが完敗です。
柔術の魅力
自分で言うのもなんですが、柔道界では一応寝技が少し強いで通っている私ですが、柔術家との寝技では、54歳に抑え込まれます。
皆さん、想像がつきますか?
何歳になっても自分の技術と向き合い、無駄を削ぎ落とし、より洗練されたものとなって体に染み込んだ技術は、尊く、そして美しいです。
柔術家の前では、寝技が強いや得意なんて口が裂けても言えないので、「寝技が好きだ」と答えています。
寝技の原点
小学生の頃、シロクマのピースで有名だった高市賢吾先輩の引込返を真似し始めたのが、寝技に積極的に取り組み始めたきっかけです。中学生になり、柏崎先生の「寝技で勝つ柔道」の本を読み込み、さらに技術を深めました。その後、国士舘高校に入学し、当時の監督である岩渕先生の息子、岩渕侑生先輩の引込返を一番近くで見て覚えました。岩渕先生がその取り組みに気づき、徹底して指導してくれたおかげで、引込返と、そこから派生した技、通称「腹包み」を練習し、試合でかかる自分の得意技になるまで習得することができました。この技は大学生になってからも、私の得意技として何度も窮地を救ってくれました。
社会人になり階級を上げた後は、シバロックや加藤返し、アームロックを覚え、徐々に自分のスタイルが確立されつつあります。
柔術を取り入れる理由
私が柔術を取り入れている理由は、常に新しい発見があり、精神的にリフレッシュできるからです。また、強い相手と対峙することで、柔道では得られない恐怖心を克服する力が養われます。技術面では、足の使い方や体の動かし方、プレッシャーのかけ方など、柔道よりも詳細で深い技術に触れることができ、失敗を重ねることで技術力も向上します。体力面では、柔術の練習は常に展開があり、持久力や疲労に対する耐性が向上します。試合後半でも技を極めるための練習を通じて、柔術を通じて、体力、精神力、技術力の全ての面で成長する機会があります。
これらの要素が、私の柔道の競技力向上に大いに貢献しています。
得た学びとこれからについて
先ほど、この年齢差でもスパーリングができるのが、柔術の醍醐味と触れましたが、柔道も、柔術のように大人になってからでも始められるような環境や、安全性があるといいと感じました。
今取り組んでいるこの活動が、私を知ってもらうきっかけとなり、その一端を担うことができればと思います。そして、日本の柔道界における指導者不足の問題解決や、柔道教室やセミナーといった活動への入り口になり、引退後の金銭的不安の解消にもつながればと考えています。
今回の経験を通じて、何事も続けることの大切さや、何十年も研ぎ澄まされた技術を体験して、自分の未熟さに気づきました。また、中井先生の人柄はとても素晴らしく、その指導方法は非常に参考になります。
これからも柔道の稽古をベースに柔術を取り入れながら、自分自身の成長を追求していきたいと思います。
皆さんも、何か新しいことに挑戦することで得られる喜びや学びを、ぜひ体験してみてください。
おわりに
このnoteを最後まで読んでくださった皆さんに心から感謝いたします。今回のnoteで共有したこの経験が、何かの形で皆さんの日々の生活に役立つことを願っています。
もしこのnoteを楽しんでいただけたなら、ぜひシェアしていただけると嬉しいです。
大会まで残り29日。
大会までのカウントダウンシリーズとして、私の今後の発信もお楽しみに。
それでは、土曜日の更新でまたお会いしましょう!