弱い街〜ドヤ街:寿町レポート〜
日本の「三大ドヤ街」と言われる街のひとつ、「寿町」に行きました。
家に文才を置いてきてしまったので、電車の中から駄文でのレポート記事を失礼いたします。
〇ドヤ街とは
大阪の西成あいりん地区、東京の山谷、そして横浜の寿町のことを「三大ドヤ街」と呼ぶそうです。
職業安定所の近くのエリアで、日雇いの仕事を求める人々が集まった「日雇い労働者の街」です。
イメージとしては「スラム街」みたいなものが近いかもしれません。
〇いざ寿町へ
目の悪い僕は、Googleマップが読めず、「関内駅」から行きました。
(最寄りは「石川町駅」だそうです。)
南側の出口から出て広がる景色は、、、普通の横浜。
横浜スタジアムがどーんと鎮座している都会の街。
おなじみの中華街や、いわゆる「横浜」的なスポットまでさほど距離はありません。
横断歩道の信号すら、薄型のLED。
田舎の人には伝わらないかもしれないくらい新しい信号です。
そこから歩いて約15分。
ミニストップのある交差点をストップせずに「薄型のLED」を超えた瞬間。
空気が変わります。
街から受け入れられていないような、どんよりとした雰囲気。
肺では感じることができないですが、「息苦しい」世界に入ります。
〇ヨコハマホステルヴィレッジ
今回の寿町の街歩きは、「ヨコハマホステルヴィレッジ」という宿泊施設のプログラムで行きました。
「ヨコハマホステルヴィレッジ」(以下、YHV)は、全体の3割が「空き部屋」になっているこの街で、空き部屋をリノベートして観光客を呼び込み、街おこしをしようとしている施設です。
今、大学生は無料で宿泊ができ、スタッフの方に寿の街を案内してもらえます。
関心のある方は、上の画像をタップするとpeatixのページにいけます。(関心がなくてもいけます。)
最寄り駅を間違えた僕は1分遅刻し、最寄り駅を間違えなかった友達が7分遅刻してYHVに着きました。(ごめんなさい)
プログラムの説明と、YouTubeの動画を見せてもらい、早速街歩きへ。
https://youtu.be/DG0FdE5O0-Y
○寿町
スタッフの鈴木さんの案内で、YHVに荷物をおいて出発。
(真っ黒なのが僕で、隣の体が重そうな人は、体が重い人です。)
街を見て最初に目に付くのは、「1泊1700円」「3畳」の簡易宿泊所。
↑僕達が泊まったところは、1~3階が「林会館」というところで、4階から上がYHVでした。
この林会館だけでなく、僕が見た簡易宿泊所は全て1泊1700円(3畳の場合)でした。
これが相場らしいです。
30日泊まったら51000円。
別にすげぇ安いわけではない。
場所によってはネカフェのほうが安いかも。
次に気がついたのは、自転車の数。
とにかく多い。
街中が駐輪場なんじゃないかと思うレベル。
使われているのかどうかもわからない、大量の自転車。(奥に写ってるのも全部自転車です。)
写真のせいで余計に伝わらないと思いますが、街にはこの15倍くらい自転車があります。(もっとかも)
他には、自動販売機。
道路に面しているような自販機で、お酒が売っている風景なんて、しばらく見たことないのでは??
ドヤ街の自販機というと、めちゃめちゃ安いイメージがありますが、そんなこともない。
80円の飲み物ばかりを置いている自販機もありました。
(写真撮り忘れた。)
スーパーとかで30~50円くらいで売ってるようなお茶や、他では見たことないような飲み物が売られていました。
居酒屋で売られていたビールも600円。
思っていたような相場とは全然違いました。
ほかにも、違法賭博。
韓国語で書かれた注意書き。
ガードレールに干された洗濯物。
道端の冷蔵庫、テレビ、大量の不法投棄。
公園に置かれた、遊具なのかもわからない、金属が組まれた何か。
子どもが遊ぶ姿は全く想像ができませんでした。
ここは横浜でありながら、Dr.Martensの靴で歩いて、ポール・スミスの財布を開いて買い物をする大学生なんて1人もいない。
すれ違う人の95%が高齢者。
それも活力に溢れた人達ではありません。
煌びやかで高い建物が立ち並ぶ都市の中の「凹み」のような世界。
それが僕のみた「寿町」でした。
○僕と寿の壁
寿町のご飯屋さんで朝ごはんを食べました。
メニューはハムエッグと納豆、お味噌汁、ごはん、漬物。
(お味噌汁が来る前に写真を撮っちゃいましたw)
550円でした。すき家とかで食べたほうが安いかも。
それでも、10席くらいあるお店の中に、僕たち以外のお客さんが4人いました。
気になったのは会話の内容。
お客さんたちは常連らしく、年末であることもあり、お店のおばちゃんが、貰い物か何かのカレンダーをあげていました。
「おー!助かるよ〜カレンダーも買うと4〜500円するからね〜」
普通の会話です。
でもなぜか「貧しさ」を感じてしまいました。
僕らも、何百円か得した時も「ラッキー!」って思います。
定期内でバイトをして交通費が出た時。
友達からLINEのスタンプをもらった時。
たいして金銭感覚が違うわけでもない、僕たちと同じような会話なのに、なぜか「深刻さ」を感じてしまう。
おじさんだったからでしょうか。
服が綺麗じゃなかったからでしょうか。
寿町にいるからでしょうか。
僕は寿町にいる人を、「寿町にいる人」として見ていました。
「職業安定所」に行きました。
「安定」とは何か。日雇いの仕事専門の紹介所です。
「ここはどんな仕事を紹介しているところですか?」
聞いてみました。
「建設業とかだよ。普通の仕事探してんなら、横浜所の方に行ったほうがいいよ。」
4、5人の職員さんがいる受付で、1番手前の人が答えてくれました。僕はあまり周りの目線が気にならないタイプなので、知らなかったのですが、
「後ろの人たち、やべえ睨んでたよ」
一緒に行った友達が教えてくれました。
「冷やかし」のような人も来て、不愉快なことをするのでしょうか。
もしかしたら僕も「冷やかし」かもしれない。
この時の景色は、僕からしたら「寿の人」で、ここの人からしたら「外の人」。
僕の心にも、ここの人の心にも、大きな壁がある気がしました。
○「弱い」って何か
昨年、自分が所属するボーイスカウトの地域行事で、後輩たちが模擬店を出店し、その売り上げを「社会的弱者」へ寄付していました。
とっても尊敬している、素敵な後輩たちですが、その素敵さを語るのはまたの機会にします。
この話を思い出したのは「社会的弱者」という言葉が気になっていたからです。
貧困も「社会的弱者」に含まれるでしょう。
社会的な弱者なんです。
社会が作った「有利」と「不利」の中で、不利な立場に置かれた人です。
その人個人が「弱い」わけじゃない。
160円のジュースは買われないから、原価の安そうな缶の飲み物を80円で売る。
家賃で何万円も払えない人がいるから、一泊3畳1700円で売る。
1日だけの使い捨ての雇用ですら、求める人がいるから、日雇い専門の仕事を紹介する。
社会的に作られた弱い立場の人から、まだ毟り取ろうとしているリアルがあります。
「需要と供給」なのかもしれません。
でも決して対等じゃない。
夜に「ことぶき保育園」を見に行きました。
ちょうど子どもたちにお迎えが来ていました。
煌びやかに光る横浜の明かりで、空がキラキラしていました。
「UFOだ!!!」
「たくさんいる!!」
空に反射した明かりで子どもたちは大喜び。
子どもたちの姿はどこでも変わらない。
同じだったはずの人間を、社会的な強者が搾取し、「弱さ」を作り出している。
それなのにも関わらず、その「弱い」人々に対して、壁を作っている僕がいる。
僕は大学生です。
社会的には上位50%の強者です。
社会に作り出されたこの「強さ」は何のために使うべきなんだろうか。
何のために大学に通っているんだろうか。
○関連リンク
・「KOTOBUKI_freestayforstudents」peatix申し込みページ
・寿町紹介動画
・ヨコハマホステルヴィレッジのinstagram
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?