・全て繋がるというアーティスト信念 栞寧「幸せの空気」

大切なのは「解釈」。
シンガーソングライター栞寧の最新曲、ドラマ「ワカコ酒」のエンディングテーマである今作は、彼女らしい真っすぐな優しさで纏われた応援的バラードではないか。
(意図的かは置いておいて、)始まりの"見えないもの"という詩、抽象性が高い言葉選びがまずリスナー各々にそれぞれの状況や感情を喚起させ、今曲のメッセージ性をより豊かに感じさせる。彼女の世界観に一貫して宿るその「前向きさ」は、人生的経験から紡がれた深みを秘めていることは疑いようがない。変化の中でこそ見つかる不変という感性。何よりも個人的に胸を掴まれた詞は、"誰かに使う想いも大事だけど 自分の胸に手を当てて 誰にも知られないままの想いを 置いていかないで"という人としての向きあいだ。ため息は、幸せの空気を吸い込むための準備であり過程。そう捉えようとする彼女の眼差しは、いつも深く、温かい。無意味な装飾の一切を除いた、シンプル故の繊細さと気丈さを滲ませる切実な歌いは、傷ついた人をたくさん包み込むだろう。


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