
偶然の出会いの先に【2025/1/19】
玄関を開けたら、真っ白な世界が広がっていた。というのは冗談で、実際にはアスファルトの鼠色〈グレー〉が、地面の大半を占めていた。1月だというのにやけに元気な太陽が、僕の気が付かぬ間に、雪をじわりじわりと溶かしてしまったらしい。外的な要因で、歪な凸と凹とに変形させられてしまったちょっと可哀そうな雪を慎重に踏みながら、僕は最寄り駅へと向かう。
目的地は、秋田駅近くの「秋田市文化創造館」。15時から開催されるイベントに間に合うように秋田行きの電車に乗ることが、僕に課せられた最初のミッションだ。余裕をもって自宅を出たおかげか、予定よりもかなり早く最寄り駅に到着。時刻通りに入線した列車に乗り込み、ものの10数分で秋田駅に着いた。
無事にミッションをクリアした僕は、勇み足でイベント会場へと向う。気持ちが急いていたのか分からないが、イベントの40分前には「文化創造館」に着いてしまった。まあ、早く着く分にはいいか。1階のフリースペースに置かれた椅子に腰を下ろし、時間を潰すことにした。外からは柔らかな日光が差し込んできて、気持ちがよかった。
開催時刻の10分ほど前に、イベント会場となっている大部屋に足を踏み入れた。入口で受付を済ませ、指定されたテーブルに着く。すでに、大学1年生が座っていて。自己紹介をしていると、もう一人大学生がやってきた。この3人が、今日同じ「グループ」で活動する「仲間」だ。みな面識はなく、初対面である。緊張感が残るまま、イベントは幕を開けた。
あ、そういえばイベントの紹介をしていなかったですね。失礼しました。完全に忘れていた。
【大学生限定】
— 秋田大学キッチンカープロジェクト (@au_kitchencar) January 10, 2025
新しいアイデアを発想したい、でもやり方が分からない…。⁰そんな悩みを持つ大学生に向けたワークショップを開催します✨
ビジネス・就活・サークル活動など、あらゆるシーンで役立つ「アイデアのつくり方」を身につけましょう!!⁰
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概要は上の通りである。「ワークショップ」の名前の通り、僕ら参加者は、アイデアのつくり方を実践を通して学ぶ。下のような流れで、イベントは進んでいった。
オープンニング
学生起業家の講演(大矢 玲菜さん)
アイデアの発想の仕方
グループワーク(ビジネスモデルキャンバスの作成)
発表(各グループ2分でプレゼン)
クロージング
フリータイム
ざっくりとまとめるとこんな感じだろうか。もちろん、各セクションの中にはたくさん中身があるのだが、概要をつまんだらこんなところだろう。
「どこが一番良かったか?」と聞かれると、返答に困ってしまう。だって、どの時間も良かったんだもの。まあ強いて、強いてあげるのであれば、グループワークである。イベントのメインディッシュとでも言うべきワークの時間が、一番面白かった。
どんなワークをしたのか。少しでも雰囲気が伝わるように、ワークシートの画像を載せておく(同じグループの大学生から許可をいただいた。みなさんありがとうございます)



「エフェクチュエーション」とか「手中の鳥」とか「ビジネスモデルキャンバス」とか。ワークに取り入れらているこうした考え方を、言葉として聞いたことはあった。でも、実際に使ってみたことはほとんどなかった。「知っている」と「できる」は違うのだと、改めて気づかされた。
起業家として登壇された「大矢さん」は、冒頭、「セレンディピティ」という言葉を出して、「偶然の出会いがもたらすもの」に言及した。大矢さんが事業を立ち上げるに至った一番の要因は、まさに「偶然の出会い」にあるらしい。
今日、僕らはこの場所で、偶然にも出会った。この出会いが、もしかしたら誰かの人生に大きな影響を与えるかもしれない。そう思うと、人生に1分1秒たりとも無駄な時間はないんじゃないかって、そう思えてくる。
ここでの出会いを、今後に活かしたい。いや、僕が「活かす」というより、生きているうちにどこかで自然と「活きる」ものなのかもしれないな。
活かすことと、活きるもの。その出発点にある何かや誰かとの偶然のい出会いを求めて、僕は、来る3月28日に行われるイベントへの申込をしたのであった。
