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VRChat無言勢の接客術:ジェスチャーと筆談で心を掴む方法
はじめに
このnoteは仮想空間でコミュニケーションを楽しむゲーム
"VRChat"を題材にした記事です。
VRChatを含めVRSNSプラットフォームでは無言勢は独特なコミュニケーション方法の一つとして知られています。
今ではそんな無言勢というプレイスタイルも無視できない人数になってきており、その中でも無言勢であったとしても筆談で1時間対話するキャストの存在もこの1年で多く見かけるようになりました。
そんな無言勢キャストを実際にしている筆者の経験や、周りのキャストの接客テクニックをシェアするのが今回の記事の目的となります。
無言勢の鏡文字とは?どうやって書くの?などは以下の記事に記載していますので、よろしければそちらもご覧ください。
無言勢の接客応対は特別
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無言勢の接客応対は、声を使わずに豊かなコミュニケーションを提供する独自の方法です。まずは無言勢がどのような行動を行っているかをいくつか紹介します。
ジェスチャーだけでの空間演出
無言勢は、ジェスチャーを駆使してお客様に新鮮な感動を与えます。
普段無言勢ではない方たちにとって、無言勢のジェスチャーというのは洗練されていたり、可愛さを特別に演出しているように受け取られています。
アメリカドラマを想像していただくと分かりやすいのですが、悩むシーンなどは手を頭に持っていき溜息をつく仕草など想像できませんか?一方日本ドラマでは肩を軽く上げ落とすという最小限の仕草でアクションしているが一般的です。無言勢はアメリカ寄りの身振り手振りの大きい非言語コミュニケーションが多いため、ボイスチャットでは味わえない視覚の感動を与えます。
では、以下にそういった代表例を書き出していきます。
お辞儀や手を振る、相槌を打つなどの基本ジェスチャー:お客様を歓迎し、感謝の気持ちを伝えるために、お辞儀や手を振るといった基本的なジェスチャーを使用します。これにより、言葉を使わなくても温かい雰囲気を作り出しています。特に注目していただきたいのが、人の話を聞くときはアバター表情をよく変えているのが見受けられます。笑いながら口元を覆う、起こりながら地団太を踏むなど受け答えによって表情と動作を連動させています。
動物の動きを模倣した癒しの演出:猫カフェのような空間では、猫の動きを模倣してお客様に寄り添ったり、膝に乗るような仕草を行います。これにより、訪れる人々に安心感と癒しを提供します。非言語での触れ合いというのはアニマルセラピーなどが代表されるように、会話しなくても意思疎通をしている心の奥底でスキンシップが出来ている気持ちを想起させてくれます。
空間演出:BGMや照明、インテリアなどの要素を工夫し、リラックスできる環境を整えます。穏やかな音楽と柔らかな照明が、訪問者に心地よい空間を提供します。今のところ通常イベントで無言勢がDJイベントなどの激しめなことをしているものは見かけていません。無言勢自体が静かな存在であることもあり、比較的落ち着いた空間を演出しています。
筆談(主に鏡文字)による対話形式での接客
無言勢は、筆談を通じてお客様との対話を行っています。主に鏡文字を用いることで、ユニークなコミュニケーションを実現しています。具体的な活動内容は以下の通りです。
基本的な挨拶や感謝の言葉の筆談:お客様に対して基本的な挨拶や感謝の言葉を鏡文字で書いて伝えます。これにより、声を使わずにコミュニケーションを取ることができます。「こんにちは、こんばんは、ありがとう、おつかれさま」などQVペンを持ちつつ笑顔で応対をしてくれます。
視覚的に楽しませる工夫:色とりどりのペンや可愛いイラストを使って、筆談を視覚的にも楽しいものにします。これにより、筆談自体がエンターテインメントの一部となり、お客様を楽しませます。時々AFKなどをしているときに悪戯していますが、ちょっとしたお茶目なので可愛く見守ってあげてください。
接客の基本は他のイベントと一緒
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無言勢の接客応対においても、基本的な接客の心得は変わりません。ここでは、VRChat内での接客応対の基本について説明します。これらの基本を押さえることで、お客様により良い体験を提供することができます。
紫桜幽姫さんのキャスト初心者に向けてが最も分かりやすく簡潔に書いていると思いますので、こちらを踏襲しつつ無言勢のケースで考えてみましょう。
自分自身が楽しむこと
無言勢でも変わりません。
無言勢として活動する際も、自分が楽しんでいるかどうかが重要です。
うまく会話できているか、うまく文字が書けているか、可愛い所作が出来ているか、トラッキングが崩れていないか、など心配事は尽きないものです。ですが、そういった考えは焦りとして所作に現れてきますのでまずは自分自身が楽しめる環境にすることを念頭に置きましょう。
お客様を楽しませる工夫
会話内容はなんでこのイベントに?などお決まりの初手のパターンは変わりません。まず興味がある分野の話から話を広げていくから始めます。
無言勢の場合はジェスチャーや鏡文字を使って、お客様が楽しめるような工夫を凝らします。例えば、お客様に挨拶する際には、明るい笑顔とともに手を振るジェスチャーを使うと良いでしょう。また、鏡文字+簡単なイラストを使って簡単な質問や会話を行うことで、お客様とのコミュニケーションを深めます。
無言勢キャストというのを体験したことのない方からするとジェスチャーや鏡文字だけで言いたいことを伝えてくるという感動が最も大きいため、その利点を十分に活用しましょう。無言勢同士なら筆談でのコミュニケーションなので焦らずに会話が楽しめると思います。
複数人への対応
ボイスチャットでのイベントキャストも難しいのですが、無言勢では一層難しいです。筆談でのやり取りは受け答えの制約があります。
一人だけの回答ばかりしていると相手をしていないように思われてしまうため、満遍なく一人ひとりに目を配ることが大切です。
視線を交互に配り、全員に注意を向けていることを示すことで、お客様全員が大切にされていると感じます。例えば、一人と話している間にも、他の人にも目を配り、軽いジェスチャーで関心を示すことが効果的であることは一緒です。基本的に全員が応えられるような話題振りや、リアクション出来るイラストなどを用いることが多いです。
柔軟な対応
無言勢の接客では、状況に応じた柔軟な対応が求められます。時には、他キャストが通信不良で落ちてお客様が宙ぶらりんになるなど予定外の事態が発生することもありますが、冷静に対処し、お客様に安心感を与えることが重要です。例えば、急に多くのお客様が押し寄せた場合には、他のキャストと協力して対応し、スムーズに流れるように工夫します。
基本的には無言勢キャストは2~3人程度のお客様の応対になりますので、受け持つ場合はお客様からお客様へ話題が触れるような雰囲気づくりを作っていくのも一つです。
無言勢接客を行うにあたっての小技
無言勢としての接客には、細やかな配慮と工夫が必要です。ここでは、具体的なシチュエーションとその際の小技を紹介し、お客様の心情に寄り添う方法を探ります。
ペンでの着席位置指定
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ペンを使って着席位置を示すことは、言葉を使わずにスムーズに案内するための有効な手段です。多くのお客様は、指示に従うことで安心感を得ます。具体的な方法は以下の通りです。
明確な指示を出す:ペンで矢印や「ここに座ってください」といった簡単な指示の矢印を描きます。これにより、お客様は迷うことなく座る場所を理解できます。
ジェスチャーで補助する:ペンで示すだけでなく、手招きするなどのジェスチャーを併用することで、よりスムーズに案内できます。
お客様は、案内されることで「歓迎されている」という気持ちを感じ、安心して場を楽しむことができます。
ペンの予備を近くに置いておく
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無言勢のキャストをしているとボイスチャットのお客様も試しにやってみるということがあるため、ペンの予備を近くに置いておくことは非常に重要です。
複数のペンを常備:予備のペンを数本用意し、すぐに取ることができる場所に置いておきます。
ペンの使い方を示す:お客様がペンを手に取るのをためらわないよう、使用方法を簡単に示すことで安心感を与えます。
これにより、お客様は自分のペースで筆談を楽しむことができ、リラックスして交流できます。
アバター内蔵でネタを仕込んでおく
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無言勢の接客をさらに面白くするために、アバターに内蔵した小ネタを用意しておくことも有効です。これにより話のネタになりますし、何よりここぞという場面で使えると非常に強い味方になります。
…某店長はこの画像の他にも重火器などいろいろと仕込んでいます。ネタのバリエーションが広いので一度見てみると良いと思います。
文字の書き方に緩急をつける
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身振り手振りのジェスチャーが感情を伝える手段としては非常に有用ですが、ペンでも感情表現の活用ができます。
語尾に感情記号をつける:普通に文章を書くより感情豊かになります。✨マークをつけると感動しているように、💢マークをつけると怒っているように見えますので、感情を強調したいときに使います。
文字自体に感情を乗せる:末尾につけるより早く感情表現としてお客様に伝わる技法になります。例えば非常に激しく同意する場合は文字自体を大きく「わかる」と書いてみるなどもいいでしょう。
会話の区切りにペンを置く:長文を書いた後はお客様も読むのに一呼吸入れたくなります、その時はペンを置いたり、一旦元の文字の最初の部分を消してみたりと呼吸を置くことを念頭に置いておくといいでしょう。
イラストを多用した小ネタの準備
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イラストを使った小ネタを用意しておくことで、お客様との対話がより楽しくなります。例えば、好きな惣菜を発表するドラゴンなどの今では少し定着したかなと思うキャラクターを描くことで、お客様の興味を引きつけることができます。
ユニークなキャラクターイラスト:正直イラストが似てなくても話題になりますので、後からこれは何でしょう?のような下手イラストクイズみたいにもできますし、分かっていただけるならお客様が興味を持つネタに関連したイラストを用意します。
対話を促す:キャラクターやテーマに関する質問を鏡文字で書き、お客様との対話を促します。例えば、「あなたの好きな惣菜は何ですか?」といった質問です。筆者としては直近非常に印象に残った自ネタでいうとマンボウすぐ死ぬコピペをイラストで連続表現してました。自分でもよくわかっていません、なぜマンボウだったのかは。ただ、非常に自分ではやりきったと思える小ネタでした。
上記のことにより、お客様は楽しみながら対話に参加でき、より深い交流が生まれます。
おわりに
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無言勢はVRChat内でのユニークなコミュニケーション手段の一つです。本記事では、無言勢としての接客応対における小技まで、さまざまな視点から鏡文字の魅力とその応用方法を紹介しました。
筆談である鏡文字を習得することで、VRChatでのコミュニケーションが一層豊かになり、自分自身の表現力を高めることができます。継続的な練習と試行錯誤を通じて、あなた自身のスタイルを確立し、他のユーザーとの交流を深めてください。
最初は難しく感じるかもしれませんが、少しずつ上達していく過程を楽しんでください。鏡文字を使ったコミュニケーションは、VRChatでの新たな楽しみ方を発見するきっかけとなるでしょう。
また、無言勢のキャストは特別なものではありません。誰でもなれる要素は含んでいます。ですが、ボイスチャットのキャストと同様に自分のステータスとしてキャストをすることはやめましょう。
「人に自分のロールプレイを表現するのが楽しい」や「人と話すことが楽しい、筆談だと特に」などキャストではなくキャストの先にある何かをすることを愛してみてください。
ぷちしぇあ、Cafeクワイエット、ぱるえっと、SereNade、無言勢の集い、BarSERENEなど無言勢キャストのイベントも本当に増えていますね。
願わくば、無言勢というプレイスタイルが当たり前で今日どこに行こう?無言勢の子たちも可愛いし行ってみようかな、という選択肢に入ることが当たり前になればうれしい限りです。
最後に、今回も小ネタの部分をCafeクワイエットのキャストメンバーから意見を出してもらってまとめました。
筆者一人でのテクニックだけだとこうも多くのテクニックが出てきませんでしたので改めて謝辞を。
それでは、またの機会にお会いしましょう。