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VRChatで夢を形に! 初心者でも大丈夫、あなたのやりたいを"イベント"にする方法

はじめに

私の大事なイベントキャスト達

このnoteは仮想空間でコミュニケーションを楽しむゲーム
"VRChat"を題材にした記事です。

今回はVRChat内でイベント参加も楽しいけど自分でも何かしてみたい!や自分は〇〇が好きだけどそういったイベントがないしどうしようかな、などイベントについて前向きに考えている方や、イベントをしてみたけど盛り上がらなかったなどの方にも少し使えるマーケット的な観点を記事化しています。

多くの人に見ていただけることを考慮していますので、イベント開催者にとっては既知の情報があるかもしれませんが、ご承知おきくださいますようよろしくお願いいたします。



第1章:好きなものを掛け合わせたオリジナルイベントの魅力

まず著者はVRChat内で定期的なイベントを開催しています。
「無言勢×イケメン男性アバター」をテーマにしたBarイベント「イケメン無言勢キャストBarSERENE」を開催しています。
無言勢や男性アバター好きが集まって雰囲気を楽しんでいただく、そんな特別な空間を作りたいという思いから始まりました。今では隔週金曜日に開催し、ありがたいことに毎回フルインスタンスになるほど、多くの人に支持されています。しかし、振り返ってみると、1年前は「無言勢」や「男性アバター」がPublicの場で輪になって集まる光景は珍しく、今のような当たり前の世界ではありませんでした。これはまさにニッチな分野を狙ったイベントが成功した例の一つです。

このイベントを始めたきっかけとしてはTwitter上で男性アバターでの接客を無言勢が行うから脳内キャラクターボイスを想像しよう、という思いつきがフレンドからの反応が良く、開催に踏み出したきっかけとなります。
そのため、何かやり始めるきっかけというものは自発的でなくても良いと考えます。


「何か新しいことをしたい」なら、自分の好きなものに向き合う

「何か新しいことをしてみたい」「好きなものを形にしたい」と考えている方は多いかもしれませんが、具体的に何をすれば良いのか悩むこともあるでしょう。実際、私自身も最初はその気持ちを強く感じていました。しかし、イベントを形にするためには「好き」という気持ちが一番の原動力になります。特にVRChatのようなバーチャル空間では、その「好き」という感情が参加者にも伝わりやすいのです。

私の「無言勢×男性アバター」という掛け合わせも、最初はあまり思いつかない組み合わせでした。男性アバターイベント自体は既に存在していたものの、無言勢というプレイスタイルと結びつけたアイデアはなかなか他に見かけないものでした。むしろ、当時の男性アバターイベントはボイスチャットありきで、無言勢の参加はNGのイベントも多くありました。勿論、無言勢の参加NGの理由は分かっています。無言勢という存在はペンで筆談する、テキストチャットで交流する以外にも、ただ傍観するプレイスタイルも無言勢の中に該当していて、交流イベントなのに交流しないプレイスタイルは参加させない予防線になります。ただ、コミュニケーションを取る気はあるのに、参加できない。そのギャップに不満を感じたことが、逆に私のアイデアの源泉となったのです。

自分が何に対して不満を持っているか、どんなスタイルやテーマであれば続けられるかを考えてみてください。その答えこそが、あなただけのオリジナルイベントのスタート地点になるかもしれません。

スキマ産業を狙おう

VRChatでは毎日のように大規模なイベントが行われていますが、必ずしも大人数を目指す必要はありません。むしろ、スキマ産業のようなニッチなテーマに焦点を当てることで、熱心な参加者を集め、独自のコミュニティを作ることができます。たとえば、「巨大サイズキャスト×喫茶店」や「DJイベント×Bar」といった掛け合わせは、その一例です。これらはただの喫茶店やDJイベントではなく、独自のテーマを融合させることで、他のイベントとは異なる体験を提供しています。

スキマ産業をなぜ狙うのか

VRChatでは毎日さまざまなイベントが開催されており、人気ジャンルには多くの競合が存在します。たとえば「DJイベント」や「カフェイベント」といったシンプルなアイデアは、一見すると多くの参加者を集めやすいですが、競争も激しくなります。特に、後発で似たようなイベントが出てくる可能性が高く、差別化が難しくなるのです。そのため、単なるワンアイデアではなく、複数の要素を掛け合わせることで参入障壁を高めることが重要です。
VRChatの当初はそれこそイベント等はまばらにある程度で少なくワンアイデアで長く愛されるイベントとして続けてきている老舗もありますが、今から参入する場合、同じようなイベントでは長年実施しているブランドに太刀打ちできず、熱量と現実の差が開いて冷めてしまいます。

スキマ産業を狙う理由は、ニッチなテーマに特化することで、他のイベントとの差別化を図り、同じアイデアがすぐに真似されるリスクを減らせるからです。掛け合わせによってイベントの個性が際立ち、熱心なファンが付きやすくなります。特に、あまり知られていない組み合わせや少数派のテーマに焦点を当てると、興味を持つ人々にとっては非常に魅力的な場になります。

ニッチ過ぎるのでは?という問いに対しては、著者の経験上ですが2,3の掛け合わせ程度は同じように欲しがっているユーザーは50程度はいるだろうとみており、ある程度勝負の土台に立てると考えています。

スキマ産業の参入障壁:無言勢×男性アバター

参入障壁を築く重要性としては私が開催している「無言勢×男性アバター」というコンセプトは、他のイベントとは大きく異なる点が多いため、同じクオリティで同じようなイベントを立ち上げることは非常に難しいと考えています。まず、「無言勢」というスタイル自体が少数派であり、さらに「男性アバター」を使うプレイヤーも比較的少ないため、この二つを組み合わせたイベントは他に存在していません。

無言勢のイベント自体は最近増えてきましたが、多くは可愛い女性アバターを中心とした雰囲気や、ボディランゲージ・接触ありきの交流がメインとなっていました。一方、私のイベントはボイスチャットを不要とし、無言勢でありながら男性アバターの魅力を引き出す場を提供しています。このコンセプトは単なる「無言勢イベント」でもなく、「男性アバターイベント」でもなく、その両方を組み合わせたことで独自性を持ち、多くの共感を得ています。

このように、スキマ産業を狙ったイベントは、参入障壁が高くなるため、同じテーマで競合が現れる可能性が低く、結果として長期的に安定したコミュニティを築きやすいのです。

スキマ産業は掛け合わせで独自性を作る

イベントを成功させるために、ただ一つのアイデアに頼るのではなく、複数の要素を掛け合わせることで独自性を強調することが重要です。単純なテーマやフォーマットでは、多くの人が同じようなイベントを簡単に開催できるため、競争が激化します。しかし、スキマ産業的な発想で、自分が好きなものや興味のある分野を掛け合わせることで、他のイベントにはない個性が生まれ、参加者がその特別さを感じる場を提供できるのです。

自分の好きなものや経験から着想を得ることが、独自性を作る鍵です。たとえば、他の人が見落としている分野や自分が感じる不満、もっとこうだったらいいのにと思うポイントを出発点にすると、自然とユニークなテーマが浮かび上がります。そして、そのテーマがニッチであればあるほど、熱心なファンが集まり、他に類を見ないイベントとして支持される可能性が高まるのです。

自分の経験から生まれるアイデアが大切

「〇〇×〇〇」のようなテーマを掛け合わせてイベントを企画する際に重要なのは、自分の知識や経験をベースにすることです。アイデアは知識や感情の延長線上にあり、全く経験のないことや興味のないことを無理に取り入れても、長続きしません。逆に、自分が本当に好きで、何かしら不満や改善したい点がある分野であれば、そのテーマに対して自然と情熱が湧きます。

私の場合も、男性アバターのボイスチャットイベントに対する「無言勢でも楽しめる場がほしい」という不満や、自分自身が打ち込んできた無言勢というスタイルへの愛情が、イベントの形を作り出しました。だからこそ、参加者にもその熱意が伝わり、今では定期的に満員となるまで成長しました。

つまり、何を組み合わせるか迷っている場合でも、自分の好きなことや日常で感じる小さな違和感、他のイベントでは満たされない欲求などをヒントに、イベントのテーマを見つけていくことが大切です。


第2章:イベント市場をリサーチしよう:VRChatでの流行を掴む

VRChatでイベントを開催しようと思っても、最初は何をどうすれば良いか分からないことが多いです。いきなり自分でイベントを企画しても、準備不足やアイデア不足で思ったようにいかないこともあります。そんな時におすすめしたいのが、まずイベント市場をリサーチすることです。VRChatでは日々さまざまなイベントが開催されていますが、どんなイベントが流行しているのか、どのようなユーザー層が集まっているのかを把握することで、自分のイベントを成功させるためのヒントが得られます。


VRChatイベントカレンダーを活用する

イベント市場のリサーチには、まずVRChatイベントカレンダーを活用してみましょう。これは、VRChat内で開催されるイベント情報がまとめられている便利なサイトで、多くのイベント情報が掲載されています。以下のURLからアクセスできます。

このカレンダーをチェックすることで、現在どんなイベントが開催されているのかを一目で把握することが可能です。2週間~1か月程度のイベントスケジュールを眺めてみると、繰り返し開催されている人気イベントや、定期的に行われるニッチなテーマのイベントなどが見えてきます。

細かい1日のスケジュールを見たい場合は「予定リスト」を押すと1日のデータの詳細が見えますので活用しましょう。

実際にイベントに参加してみよう

イベント市場を知る上で、リサーチだけでなく実際にイベントに参加することも大切です。特に、自分が好きなジャンルや興味のあるテーマがある場合、そのジャンルのイベントに参加してみると、多くの学びを得られます。イベントの雰囲気や客層、進行の仕方など、主催者として成功するためのポイントが体感できます。

例えば、人気のDJイベントやワークショップ形式のイベントなど、テーマによって参加者のスタイルやニーズは異なります。参加してみると、そのイベントがどのように盛り上がっているのか、何が魅力となっているのかがよく分かるはずです。

また、参加している中で、主催者に直接話を聞くのも有効です。「なぜこのイベントを始めたのか?」「どうして今も続けているのか?」といった質問をしてみると、イベント運営の背景や苦労、成功の秘訣など、リサーチだけでは得られないリアルな情報を得ることができるでしょう。

イベントの主催者をフォローして活動内容を知る

もう一つのリサーチ方法は、イベントを主催しているユーザーのSNS、特にX(旧Twitter)などをフォローすることです。VRChatのイベント主催者の多くは、X(旧Twitter)などのSNSで活動内容や次回のイベント情報を発信しています。そのため、気になるイベントの主催者をフォローし、どのような準備をしているのか、どんなトラブルに直面しているのか、イベントの運営にどんな工夫をしているのかを日々チェックしてみましょう。
トラブルについてはVRChatだとよく見かけるのがクラッシャーといったイベント自体を滅茶苦茶にする方や、キャスト関連の色恋沙汰のトラブルなどがあり、度々告知文が流れています。

SNSを通じて、主催者の日常的な活動や意見を知ることで、イベント運営の実態を理解することができます。また、主催者がどのように集客をしているのか、参加者との交流をどう深めているのかといった、運営の裏側も見えてきます。こうした情報は、自分がイベントを開催する際に非常に役立つでしょう。

普遍的なリサーチの重要性

VRChatに限らず、何か催し物を企画する際にリサーチは欠かせません。以下は、普遍的に必要となるリサーチポイントです。

  1. ターゲット層の分析
    イベントを開催する際には、どのような人たちに来てほしいのかを明確にする必要があります。例えば、ゲーム好きな人、クリエイター、ファンアートを楽しむ人など、イベントのコンセプトに合ったターゲット層を絞り、その人たちがどんなニーズを持っているのかを理解しましょう。ターゲット層が見えてくると、イベントの内容や告知の仕方も自ずと決まってきます。

  2. 類似イベントの調査
    自分がやりたいイベントと似たものが既に存在するかどうかを確認することも重要です。競合イベントが多い場合、差別化のポイントを考える必要があります。また、類似のイベントがない場合は、逆にニッチな需要を満たせるチャンスとも言えます。

  3. 開催場所のリサーチ
    VRChatでは、どのワールドでイベントを開催するかも成功のカギです。人気のワールドやテーマに合ったワールドがどこにあるのかをリサーチし、自分のイベントに適した場所を見つけましょう。ワールドの雰囲気や機能性が、イベントの成否を大きく左右することがあります。

  4. タイミングの確認
    イベント開催日は、他の大規模なイベントや同類のイベントと重ならないかを確認することも重要です。競合が少ない日程を選べば、より多くの参加者を集めることができます。VRChatイベントカレンダーを活用して、スケジュールを避けるリサーチをしておくことも忘れないでください。


第3章:イベント開催のい・ろ・は

VRChatでイベントを開催するのは、楽しいだけでなく、多くの人との交流の場を提供する素晴らしい機会です。しかし、イベントを成功させるためには、いくつかの基本的なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、イベントを企画・運営する際に知っておくべき「い・ろ・は」を詳しく紹介します。


イベントで必要なもの

まず、イベントを開催するために原則必要なものを確認しましょう。

1.開催日時
イベントを開催するにあたって、日時を決めることは最も基本的なステップです。日時を決定する際は、「単発」か「定期開催」にするかを考えましょう。

単発イベントは、特定の一日や一回限りのイベントです。負担が少なく、スケジュール調整も楽です。
定期イベントの場合、週1回、隔週、月1回など、定期的に行うことで参加者に継続的に楽しんでもらえます。また、不定期での開催も一つの方法です。
定期的に行うイベントはスケジュールが固定されるため、常連客が付きやすくなります。しかし、主催者としてはスケジュール管理やモチベーション維持が重要になります。
また、開催日時には定期的に発生するイベントの告知があるため、〇日前に告知する。などやることを決めておきましょう。

2.PCイベントかQuest対応か
VRChatのイベントでは、PC版のみで開催するか、Quest対応にするかを決める必要があります。PC版のワールドは高品質で機能も豊富ですが、Questユーザーは参加できない場合があります。一方、Quest対応にすれば、参加者の幅が広がりますが、ワールドの機能が限られるため、表現の幅が狭まる可能性があります。どちらにするかは、参加者のデバイスに合わせて選びましょう。

3.join方法
イベントに参加してもらうための参加方法も重要です。いくつかの選択肢があります。

Friend+join:主催者や参加者のフレンドリストを通じてイベントに参加できる方法。
Group+join:イベント用に作成されたグループを使い、そのグループのメンバーが参加する方式。
Request Invite:参加希望者が主催者にリクエストを送り、主催者が手動で招待する方法。
参加方法はイベントの規模や目的に応じて選びましょう。

4.ドレスコードや制限事項
イベントにテーマがある場合、ドレスコードを設定することもあります。例えば、「カジュアルな服装」「特定のアバターを使用する」といった制限を設けることで、イベントの一体感を演出できます。また、アバターのサイズや機能制限を設けることで、イベント運営をスムーズにすることも可能です。
最近では、youtuberの無断配信が話題にありますので、無断配信禁止など注意事項を設けておきましょう。

5.開催内容
イベントの中身が決まってからでも良いですが、開催目的やプログラムが明確であることが大切です。例えば、DJパフォーマンス、ラジオ形式のトークショー、アバター交流会など、参加者が楽しめる内容を決めましょう。内容が充実しているほど、参加者の満足度が高まります。

6.スタッフや開催側の人数
イベントを一人で主催することも可能ですが、スタッフを増やすことで運営がスムーズになります。例えば、入場管理や来場者対応、宣伝をサポートするスタッフがいると、主催者の負担が軽減されます。大規模なイベントや定期開催の際には、複数人で役割分担をして運営するのが理想的です。



単発イベントと定期イベントの違い

単発イベントと定期イベントでは、その運営方法や目的が大きく異なります。

1.単発イベントのメリット
単発イベントの最大のメリットは、主催者の負担が少ないことです。一度限りの開催であるため、スケジュールに追われることがなく、手軽に準備を進められます。イベントが成功すれば、定期イベントの試金石として活用することもできます。初めてイベントを企画する場合、まずは単発イベントで経験を積むのが良いでしょう。

2.定期イベントのメリット
一方、定期イベントの大きな特徴は、常連の参加者が付きやすい点です。毎回同じ時間帯にイベントを開催することで、リピーターが増え、コミュニティが自然と形成されます。しかし、定期イベントを続けるためには、モチベーションの維持やスケジュールの管理が不可欠です。特に週1回や隔週開催では、準備や進行をスムーズに行うために、安定した運営体制が必要です。

定期イベントはどういったことがあるか

定期イベントを企画する場合、規模や内容に応じて運営方法を工夫する必要があります。

ソロ運営の場合
一人で運営する場合、単発イベントと運営の負担はあまり変わりません。ただし、定期的に同じ形式でイベントを繰り返す場合、飽きさせない工夫が必要です。たとえば、イベントごとに少しずつテーマを変える、ゲストを呼ぶなどのバリエーションを持たせると良いでしょう。
自分との1対1の飽きとの戦いになります。どれだけ目新しさを自分で作るかが重要なイベントになります。

キャスト複数の場合
スタッフやキャストを複数で運営する場合、イベントのかじ取りが重要になります。運営方法としては、1人がリーダーとしてすべてを指揮する「1点集中型」や、全員で話し合って決める「合議制」、投票で決定する「多数決制」などがあります。どの方法が最適かは、メンバーの意向やイベントの規模に応じて選ぶと良いでしょう。
ただ、出来れば合議制であれ、多数決であれ、最終意思決定は自分が持つようにしましょう。意見が異なれば、誰が何を選んだとしても不満は残りますし、離脱者もあるでしょう。その責任は自身で負うことを決意しましょう。

マンネリ打破
定期イベントを続けると、どうしてもマンネリが発生しがちです。これは、参加者だけでなくスタッフやキャストにも影響を与えるため、運営側が新しい企画や演出を考え、イベントをリフレッシュすることが必要です。新しいコンテンツや季節型イベント、ゲストを招くことやコラボをすることで、イベントの活気を取り戻すことができます。

ジャンル被りへの対策
定期イベントを続けていると、他のイベントとジャンルが被ることもあります。競合が増えると、参加者の分散やイベントの魅力が薄れるリスクがあります。この場合、同じジャンルでも軸をずらすことで独自性を保つことができます。たとえば、同じDJイベントでも、音楽のジャンルを変えて告知する、会場の雰囲気を変えるなど、細かい部分で工夫をすることで差別化が可能です。

「好き」をベースに継続する
定期イベントは「好きなこと」をベースにしているからこそ続けられます。しかし、ただ好きなだけではなく、ある種の使命感や、イベントを通じて何かを達成したいという気持ちが大切です。継続的な運営は、日常の中で「やるべきこと」に組み込まれるため、自己管理が必要ですが、その分達成感や喜びも大きいです。


第4章:イベントの継続には「人とのつながりと規格化」が鍵

VRChatでイベントを開催する際、イベントを成功させるための初期準備はもちろん重要ですが、継続的にイベントを運営していくためには「人とのつながり」と「規格化」が大きな鍵となります。ここでは、イベントを続けるためにどのように人とのつながりを育み、イベント運営を規格化していくべきかを解説します。


最初の内はフレンドのつながりから

イベントを始めたばかりの頃は、まずは自分のフレンドのつながりを活用するのが基本です。初期の参加者は、リアルやVRChatでのフレンドや、そのフレンドが声をかけてくれた人たちが中心になることが多いでしょう。この時期は、イベント自体がまだ認知されていないため、フレンド同士での口コミや紹介が大きな力となります。

さらに、VRChatには「始めたてのご祝儀期間」ともいえる初期の盛り上がりがあります。この期間中に、参加者がイベントをリポストやシェアで拡散してくれることが多く、少人数でもネットワークを広げるチャンスです。自分だけで広げるのではなく、最初の内は積極的に参加者に協力をお願いし、リポストやシェアでイベントを広めてもらいましょう。この期間を上手く活用することで、自然とイベントの認知度が上がっていきます。

参加方法の選び方とメリット・デメリット

イベントを開催する際に考慮すべき大きなポイントの一つが、参加方法の選び方です。VRChatにはいくつかの参加方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

Friend+: フレンドリストを通じてフレンドやそのフレンドが参加できる方式。
集客はしやすいですが、ソーシャル欄がぐちゃぐちゃになりやすい問題、個人的なフレンドとの遊んでいるインスタンスにお客が入ってくることがあります。
フレンドリストが膨大になると、何繋がりのフレンドなのか分からなくなり混乱することがあります。これを防ぐためには、必要に応じてフレンドのお気に入り登録で個人的な付き合いのリストの整理を行うか、事前にフレンド+ではなく他の方法での参加を促すのも一つの手です。
また、普段はinvite等比較的付き合いのある人との付き合いのためにインスタンスに入れる人を選別するなどがあげられます。

Group+: イベント専用のグループを作り、そのメンバーが参加できる方式です。特定のコミュニティ向けのイベントには適していますが、グループを作るためにVRChat+で課金を行う必要があることとグループの権限など考慮すべき点が増えるため注意が必要です。その代わり、Group+の場合は事前告知などがVRC欄で告知してくれたりと便利な側面が強いです。またGroupを掲示してくれることで副次的な宣伝効果も期待できます。ただし、看板を持っている方が人の迷惑をかける行為をしている場合、グループの信用度も下がるため注意が必要です。

Request Invite(リクイン方式): 参加者がリクエストを送り、主催者がそれを承認する方法。人数を制限したい場合や、特定の人だけに参加してほしい場合には便利ですが、リクエスト承認の手間が増えるため、大規模イベントには向いていません。また、ランダム抽選としていたとしても誰かがひいきしている、のように謂れのない中傷を受けることもあるためリクイン方式は主催やある程度信頼のおけるキャストに任せるなど権限の強さが必要になります。その分リクイン方式では通常のイベントとは異なり参加することがステータスに成りえる特徴があるのでイベント中は離脱されることが特に少ないメリットがあります。世界観に浸らせたい場合はこちらを採用すると良いでしょう。

参加者の人数やイベントの規模に応じて、最適な参加方法を選びましょう。特にフレンド+を使用する場合は、フレンドの整理や参加者管理が重要になります。

慣れてきたら規格化を進める

イベント運営に慣れてきたら、次に考えるべきはイベントの規格化です。規格化とは、イベント運営のスタイルやルール、告知方法を一定のフォーマットにまとめていくことです。

例えば、イベント開催前には告知ポスターやテキスト情報を作成し、SNSやVRChatのグループで定期的にシェアすることで、参加者に分かりやすくイベント情報を伝えられます。ポスターやビジュアル素材を作成する際は、イベントのテーマや雰囲気に合わせてデザインを統一することで、イベントのブランディングにもつながります。

また、トラブル対応や面接の選定要件などもある程度マニュアル化すれば、マニュアルとは異なる方を弾けますし、お断りする罪悪感も薄れます。
キャスト募集後の応募に対してのお断りなど大変心苦しい気持ちになることも多いのですが、マニュアル化しておけば感情でNGなどの理由ではないため、合理的な判断が可能になります。

規格化は軸ブレの防止に役立つ

イベントが長く続くと、どうしてもコンセプトの軸がぶれることがあります。初めはしっかりとしたテーマを持っていたイベントも、人気が出ると新しい要素を取り入れたくなり、結果的に最初の趣旨が薄れてしまうことがあるのです。そういった時にこそ、規格化していると役立ちます。

規格化は、イベントの基本的な運営手順やコンセプトを明文化し、運営メンバー間で共有しておくことです。これにより、たとえ新しいアイデアや要素を取り入れたくなった時でも、イベントの「軸」を守りやすくなります。規格化されたルールや形式があると、ブレそうな部分に対して明確な指針を持てるので、迷うことなく次の一歩を踏み出せます。

VRCはやっぱり人とのつながりだった

最終的に、VRChatのイベント運営で一番大切なのは人とのつながりです。VRCのイベントはコンセプト的に成功するかどうか以上に、参加者やスタッフとのつながりが継続の鍵となります。フレンドのつながりから始まり、リピーターとなってくれる参加者、スタッフのサポート。これらの人々との関係が、イベントの成功と継続に欠かせない要素です。

著者としてはイベントを実施しようと踏み切った発端も友人からの期待でしたし、キャストを経験させてくれたイベントのオーナーがいたからこそ、開催という決断をさせていただいています。
人は一人だけではそこそこの規模になるだろうイベントは考えられません。
VRChatはバーチャル空間での体験を提供するプラットフォームですが、その根底には人とのリアルな交流があります。人々と信頼関係を築き、繋がりを広げていくことが、イベントを長続きさせ、さらに発展させるための最大の要因です。


第5章:孤独感との付き合い方

リーダー、特にイベントの主催者という立場は、多くの人にとって憧れや挑戦である一方、その裏にある孤独は誰もが経験するものです。「リーダーとは常に孤独なもの」とよく言われますが、それは主催者にも当てはまります。イベントを成功に導くために、常に全体を見渡し、決断を下さなければならない。そんな役割を果たすうちに、自然と孤立感を抱くことが少なくありません。

先導者であるが、権力者ではない

リーダーとして先導する立場にある主催者は、先頭に立つ存在であり、方向性を示し、メンバーを導く役割を担います。しかし、リーダーは必ずしも権力者ではありません。決して自分の思い通りに物事を進めるために存在するわけではなく、むしろ、メンバーや参加者の意見を聞き、全体を調整しながら目標に向かって進む必要があります。

主催者が孤独を感じるのは、最終的な決断を下す瞬間です。誰の意見も無視することはできませんが、全てを満たすのもまた不可能。その中で、自分が一番信じる道を選ばなければならない瞬間が、リーダーの孤独を象徴しています。

孤独をなくすために、メンバーと共有する大事さ

孤独に打ち勝つために、主催者はメンバーとのコミュニケーションを意識して取ることが大切です。何でも自分で抱え込まず、メンバーと課題や悩みを共有することで、リーダーの孤独は和らぎます。特に大事な意思決定の場面では、信頼できるメンバーに相談し、意見を聞くことが有効です。

共有することは、リーダーとしての責任を分散させ、仲間との絆を深めるだけでなく、新しい視点やアイデアを得るきっかけにもなります。一人では見えなかった問題点や改善点が浮き彫りになることもあり、結果的にチーム全体の成長にもつながります。

苦労を知るからこそ生まれる主催者コミュニティ

また、イベントの主催者はその苦労を知っているがゆえに、主催者同士のコミュニティが自然と生まれやすくなります。主催者同士が互いに助け合うことで、悩みや問題を共有し、解決策を見つけることができるのです。これらのコミュニティでは、リーダーとしての孤独や苦労を分かち合えるため、孤独感を和らげるだけでなく、実践的な知識やスキルも得られます。

主催者同士が交流することで、自分だけでは気づかなかった運営上の工夫や、他のイベントでの成功事例を知ることができ、次回のイベント運営に活かすことができます。また、同じ立場の人と話すことで、感情的なサポートも得られ、自分のリーダーシップに自信を持てるようになるでしょう。

リーダーにはタイプがある

すべてのリーダーが同じタイプではありません。リーダーにはさまざまなタイプがあり、そのスタイルによってアプローチが異なります。ここでは、リーダーシップのタイプをいくつか紹介します。

カリスマ型リーダー このタイプのリーダーは、周囲を引きつける魅力やビジョンを持ち、自然と人々を惹きつけます。自分の信念に基づき強力な方向性を示し、メンバーを鼓舞します。しかし、その一方で、他者の意見を取り入れる柔軟さを失うことがあるため、バランスを取ることが重要です。

民主的リーダー 民主的リーダーは、メンバー全員の意見を尊重し、協力して決断を下します。チームの協調を重んじ、決定プロセスにメンバーを積極的に巻き込むため、強いチームワークを築きやすいです。しかし、意見が分かれる場合、意思決定が遅れることもあります。

ビジョナリーリーダー 長期的な視野で計画を立て、未来を見据えたリーダーです。メンバーにインスピレーションを与え、目標達成に向けて進んでいくタイプですが、現実的な問題を見過ごすリスクもあるため、現実とのバランスが求められます。

サポート型リーダー メンバーの成長やサポートを重視するタイプで、常にチームメンバーのニーズに耳を傾け、指導やサポートを行います。このタイプのリーダーは、メンバーのモチベーションを高め、チームの団結力を強化する力を持ちますが、過度に依存されることもあるため、自立を促すことが大切です。

リーダーシップのスタイルは、一つの型に固定されるわけではありません。イベントの規模や目的、メンバーの特性に合わせて、リーダーシップのタイプを柔軟に変えていくことが理想です。重要なのは、自分に合ったスタイルを見つけつつ、チーム全体のために最適な決断を下すことです。


第6章:成功するためのアイデアと工夫:参加者を引きつけるポイント

イベントを成功させ、参加者を引きつけるためには、ただイベントを開催するだけではなく、工夫やアイデアを重ねることが大切です。特に、VRChatや他のバーチャル空間でのイベントは、テーマ設定や告知、イベント後のフォローまで、さまざまな要素を効果的に活用することで、ブランドプリファレンス(ブランドの選好性)を最大化し、参加者を惹きつけることができます。ここでは、成功するための具体的なポイントを紹介します。


ブランドプリファレンスの最大化:他のイベントと差別化できるテーマ設定


参加者に「このイベントは特別だ」と感じてもらうためには、テーマ設定が非常に重要です。他のイベントと差別化できる、ユニークで強烈なテーマを打ち出すことで、参加者の関心を引き、リピーターを獲得しやすくなります。特にニッチなイベントは、一般向けではないと思われがちなテーマでも、強烈な印象を与えることが可能です。

例えば「授乳喫茶キタリナ」というイベントは、現実では存在しないシチュエーション、哺乳瓶での授乳体験を提供しています。このテーマは、一見すると非常にニッチであり、ファーストインプレッションでは「一般向けではない」と感じられるかもしれません。ですが、この非日常的な体験や母性に触れるテーマが、特定の層には非常に強力なアピールになっているのです。このイベントは当初は小規模でしたが、長期間の実績とニッチな需要を満たすことで、現在では480人収容する規模にまで拡大しました。大人になってから授乳する・されるという特異な体験を求める人々にとって、強烈なインパクトを持ち、リピーターが多くつくイベントの成功例です。

このように、他では得られない体験や、ニッチなテーマを打ち出すことで、参加者の心に残りやすく、結果的にブランドプリファレンスの向上に繋がります。

イベントに沿った時間帯と日程の設定

イベントの成功には、時間帯と日程の選定も非常に重要です。例えば、日中にバーイベントを開催するのは雰囲気的に不自然です。イベントのテーマに合った時間帯を選ぶことが、参加者にとって「その場にふさわしい」体験を提供するための大きなポイントとなります。

VRChatでは、一般的に20~24時の間がユーザーの活動ピークですが、イベントの雰囲気や趣旨に合わせて時間帯を工夫することが大切です。たとえば、紅茶を楽しむ「紅茶集会」は毎週土曜日の15:00に開催されています。この時間は、アフタヌーンティーをイメージしたティーブレイクタイムにぴったりであり、参加者も自然とその時間に紅茶を淹れて参加しやすくなります。このように、イベントに「らしい」時間帯を設定することで、参加者がより深くその雰囲気に浸れるようになります。

告知のタイミングとSNSでの拡散

イベントの成功には、適切な告知タイミングも欠かせません。特に不定期や単発のイベントでは、1~2週間前から告知を始め、時間をかけて拡散していくことが重要です。初めてのイベントや単発イベントでは、しっかりとした準備期間が必要なため、告知は早めに行いましょう。

一方、定期的に開催されるイベントでは、常連客がつくと、告知は3日前程度でも事足りる場合があります。たとえば、毎週同じ曜日に行われる定期イベントでは、参加者が習慣的に参加するため、3日前の告知でも十分です。初期段階では告知のタイミングを長めに設定し、徐々に短縮していくことで、効率的な集客が可能になります。

SNSを使った告知やリポストの依頼も効果的です。特にTwitterではイベントの拡散力が非常に高いため、積極的に活用して、より多くの参加者にイベントを知ってもらいましょう。

定期的なイベントでリピーターを確保する

イベントを成功させ、リピーターを確保するためには、定期的な開催が非常に有効です。同じ形式で繰り返し開催することで、参加者が「また来たい」と思うような安心感を提供できますが、定期開催にはマンネリ化という課題もあります。これを防ぐために、季節イベントやコラボイベントなどを取り入れ、内容に変化を持たせましょう。

たとえば、ハロウィンやクリスマスなどの季節に合わせた特別イベントを実施することで、いつもとは違う楽しさを提供できます。また、他のイベントや主催者とのコラボレーションも、新しい参加者を呼び込み、既存の参加者にとっても新鮮な体験を提供する手段となります。これにより、定期イベントでもリピーターを飽きさせず、常に新しい魅力を感じてもらうことが可能です。

イベント後のアフターフォローを行う
イベント後のアフターフォローは、イベントの成功を長続きさせるために欠かせない要素です。イベントが終了しても、SNSで参加者との交流を続けたり、ハッシュタグを設定してイベントの写真や感想をシェアしてもらうことで、参加者の満足度を高めることができます。

特に接待型のイベントでは、参加者との1対1の写真撮影や、キャストによる手書き風のコメントなど、個別にフォローを行うことが効果的です。こうした小さな配慮が参加者に「特別扱いされている」と感じさせ、リピーターを育成する要素となります。イベント後の余韻を大切にし、次回の参加に繋げるためのフォローを忘れずに行いましょう。


第7章:イベント開催は水物である

悪用厳禁で。

ここからは今までの教科書的な話ではなく、著者の主観が多くなる部分です。綺麗な表面をお客様に見せるためにやっている打算や感情の部分が文中に入り混じりますので、できれば一部を切り取って公開する、など事実がねじ曲がってしまう可能性がありますので最後まで読み切っていただくことを推奨します。

イベント主催は情熱と企画力だけで実現するものではなく、多くの要素が絡み合い、不確定要素も多いために「水物」と言われることが多々あります。主催者がいくら準備をしても、計画通りにはいかないことも少なくありません。ここでは、イベントを成功させ、継続的に行っていくために大切な考え方や接客のコツについて紹介します。


目標は高く設定しつつ、妥協点を決めておく

イベントの主催をするからには「絶対成功させる!」という意気込みは大切ですが、その意気込みが必ずしも報われるとは限りません。多くの努力が自分の自己満足に終わることもあります。参加者全員が100%満足してくれるイベントというのは非常に難しいため、自分が期待しすぎてしまう「バイアス」を自覚しておくことが重要です。

イベント開催にあたり、「ここまでは成功」「ここまでは最低限」といった妥協ラインを設定しておきましょう。途中で退席する参加者や、テーマに関係ない会話で盛り上がるグループも出てくるのが普通です。こうした場面で100%の満足度を追求するのではなく、割り切りの姿勢を持つことが大切です。

無礼な行動や明らかに他の参加者に迷惑をかける行為があれば対処が必要ですが、許容範囲内であれば、ある程度目をつぶりつつ70%ほどの満足度を目指すのが現実的な目標です。

それでも「ダメな客」は存在する

どんなイベントにも、いわゆる「お客様は神様だ」という態度を振るう参加者が存在します。主催者やキャスト、関係者がいなければイベントは成立しないため、お客様以上に関係者が大切です。もし、「来てやっている」というスタンスで来るような参加者がいれば、無理に応対する必要はありません。イベントは善意のもとに成り立つものであり、相手がその前提を理解しないなら「別のイベントに行っていただいて結構です」と割り切りましょう。

ただし、こういった考え方をSNSで不用意に発信すると誤解を招き、炎上の原因になることもあります。イベント主催には大きなエネルギーが必要であり、それを消耗させる存在がいることで、主催側が負担を抱えるのは健全な関係とは言えません。善意の上でお互いに楽しむための場であることを常に念頭に置きましょう。

スケジューリングは余裕を持って計画する

イベント主催側が複数いる場合、提出物の遅れや予定変更はしばしば起こります。期日を設ける際には、余裕を持ってスケジュールを設定し、超過した場合も本当の締め切りまでに調整できるようなリスケジュールを考えておくことが大切です。

期日を守らない場合も出てくるかもしれませんが、その時は急かすだけでなく、次からは確実に守ってもらえるように再調整を促しましょう。締め切りを守ってもらうためには、何度もリマインドを送るなど、業務進行のための工夫も必要です。主催者は権限者ではなく、あくまで進行役なので、感情的な判断をせずに、次回の改善につなげることが重要です。

人間関係には相性があると割り切る

イベント主催やキャスト、さらには参加者同士でも相性の良し悪しがあります。気が合わない相手がいることは普通のことなので、そういった場合は無理に相手をし続ける必要はありません。スタッフ同士や参加者との関係性で相性が合わない場合は、役割を変えたり、相手を代わってもらうなどの柔軟な対応を取りましょう。無理に合わせようとしても疲れるだけですし、イベント全体の雰囲気を損なうことにもつながります。気を張りすぎず、適度なドライさを持って対応することがポイントです。

主催は見られていると意識する

日々のSNS発言もイベントの主催者としての印象に影響します。「疲れた」「面倒くさい」といったネガティブな投稿が多いと、参加者にとって不安材料になります。主催者はイベントの顔であり、参加者にとっての看板でもあります。自分の発言が参加者にどう見られるかを意識して発信するようにしましょう。

主催者としての心得として、SNSでの発言が原因でトラブルになったケースは多く、口が悪いと悪評が広まりやすいのが現実です。もし個人的な発言が多くなりそうなら、プライベートアカウントを鍵付きにし、公式のイベント広報用アカウントを別に設けるなどの対策をしましょう。こうした対応はちょっとしたテクニックですが、主催者としての信用維持に大いに役立ちます。

見かける頻度を増やして好感度を上げる

「ハロー効果」という言葉がある通り、人は顔を見かける頻度が増えるとその人物に対して親しみを感じやすくなります。イベント主催者としても、宣伝活動やSNSでの発信を通して、参加者との接触頻度を意識的に増やすことが大切です。

1日に1回でもなんでもない発言でも発信したり、SNSでの告知をリポストするなどして、自然と個人に興味を持ってもらえるように仕向けましょう。無理にする必要はありませんが、少しでも見かける頻度が増えることで、参加者に安心感を与え、好感度を高めることができます。

「また来てね」という言葉を意識して使う

イベントが終了した際には、集合写真やお見送りの時間を設けることが多いです。その際には「また来てね」という言葉を積極的に使うことを心がけましょう。人は「また来てね」と頼られたり期待されたりすると、行かないと「悪いな」と感じることが心理的に起こりやすいです。この小さな言葉を意識して伝えることで、自然とリピーターが増え、イベントへの愛着も深まります。言葉の力をうまく活用し、次回への参加を自然と促しましょう。

継続するなら熱意よりも使命感が勝つ

イベントの初期は「こうしたい!」という熱意が原動力になりますが、やがてその熱が弱まり、「やらなければならない」という使命感が主なモチベーションになります。最初の勢いだけで継続しようとすると、途中で失速しやすいのが現実です。そのため、無理のない頻度での開催を設定し、続けられる範囲で継続するのが理想的です。

毎月の開催だと1ヶ月以上間が空くため、主催者やスタッフが熱意を失いやすくなります。定期的なコミュニケーションや準備を行い、自然に熱を保てるようにすることが大切です。

継続することでブランドプリファレンスが高まる

イベントを長く続ければ続けるほど、参加者の安心感や信頼感が強まります。新規イベントには最初に話題性があるものの、半年から1年以上続くと安定した参加者層がつきやすくなります。長期間続けられるイベントは、それ自体が実績となり、新規参加者の信頼を得やすい特徴があります。

イベントに問題がなく、運営者や参加者との良好な関係を保てれば、老舗のイベントとしての安定感が増し、ブランドプリファレンスも自然と高まります。長期的な運営を見据えて、信頼感と継続性を意識した運営を心がけましょう。

フルインスタンス埋まる方が良い

VRChatのイベントでは、インスタンスの収容人数が上限に達し、「join戦争」と呼ばれる状態が起こることがあります。著者も意識的にその状態を作り出すことで、参加者に特別感を感じてもらうようにしています。参加できた人には「特別な体験ができた」という喜びが生まれ、リピーターとして定着する可能性が高まります。

この心理は、サッカーチケットの社会実験でも示されており、抽選で当選した人が2倍、3倍の価格でもチケットを売りたくないと感じる一方で、外れた人はチケットと同じ金額か、少し高額くらいで購入しようとします。これと同じで、イベントもフルインスタンスで参加のハードルがあることでブランド価値が上がり、参加者がイベントにより愛着を感じやすくなるのです。

それでも怖いものは怖い

さて、これで最後になりますが、ここまで自信満々に説明していると思っている方には非常に心苦しいですが、著者としてはイベントの直前ではフルインスタンス埋まるか、お客様を満足させられるか、など解決しない葛藤が心中にあり自宅にありながら「帰りたい」と連呼しています。
イベントの一つ一つの成功は非常に嬉しくもありますが、同時に次この人数が来てくれるのか、自分のやっていることは正しいのだろうか、など非常にナイーブな気持ちを持ち合わせています。
新しい季節イベントや告知、一つとっても非常に怖いものですが、前に進めることこそが良い方向に向かわせる一歩になります。
諦めず、怖いという気持ちに向き合いつつも良いイベントになるようにしましょう。


おわりに

19,000字、過去最長らしいよ。

ここまでの長文の読了お疲れ様でした。
イベント主催について少しでもアドバイスや後押しになれていれば幸いです。というのも、ここまで深く考えずともやりたいことを形にすることはできます。
「やりたい」が「はじめ時」の世界なのですが、VRChatの最初期に比べるとVRchatイベントカレンダーが毎日たくさんのイベントに埋まっています。それでもまだTwitterの告知がメインでイベントカレンダー登録していないイベントがあるくらい溢れています。
玉石混交に入り乱れる中、少しでも良いイベントを長く継続できるようにマーケットのシェアの取り方や私の主催しているイベントで考えている裏の部分なども含めました。
善意でイベントをしている方もいれば、チヤホヤされたい!という気持ちで主催をされている方もいます。
そんないろんな方が開催されるイベントはフレンドと共に過ごす時間とは別に新たな世界を見せてくれるきっかけにもなりますし、新たな出会いにも繋がります。

2024年8月を境にVRChatの参加者が増え、イベントの収容人数が慢性的に足りなくなった状況があります。
そういった状況がありますので、少しでもイベントの収容人数とイベントの種類が増えるようこうして筆を執った次第です。
イベントポスターの作り方などもありますので、やりたいなと思ったらそちらも併せてお読みいただければ幸いです。

最後になりますが、イベントを通じて色んな人との繋がりや障害があります。そんな経験を無料で味わえるのがイベント主催です。
もしよかったらあなたもイベント主催になってみませんか?

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。

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