アンドリュー・ワイエス 秋の大山崎山荘美術館
どこかで見たことある、丘の上の家の絵。ちょっと気になるけど、地味に遠い大山崎山荘美術館での開催。そんな小さな理由で、行きたい美術展リストには加えていなかった。
そんなある日、急遽の予定変更で大阪から京都に車を走らせている時に、「あ、大山崎だ。今なら行けるかも!」と少し行き過ぎたところで左折して引き返し、いざ美術館へ。どうやら、かなり気にかかっていたようです。
『丸沼芸術の森所蔵 アンドリュー・ワイエス展 ー追憶のオルソン・ハウス』は、12月8日までの会期、館内エリアは通路や階段も含めて完全撮影不可(テラスや建物間の外部スペースのみ撮影可)、観覧時間はコレクション展も含め約1時間、喫茶室での休憩と庭園散策を合わせると滞在1時間半強でした。
アンドリュー・ワイエス(Andrrew Wyeth)
アメリカの国民的人気の画家であったアンドリュー・ワイエス(1917–2009)は、人生のほとんどを生地フィラデルフィア郊外のチャッズ・フォードと別荘のあるメイン州クッシングで過ごしています。北海道のような場所だったのでしょうか、冬は氷点下になる丘陵地の連なる緑が豊かな土地で、移民の多い地域でした。非常に虚弱で学校には行けず、家庭教師から読み書きを習ったといいます。こうした背景からか、人種差別の厳しい時代にもかかわらず、ワイエスは地域に住む人々と普通に交流をしていたそうです。
「写実描写に非常に優れた技術をもって、心で捉えた抒情を伝える風景画」というのが、ワイエス作品を見たわたしの印象でした。
彼のドライブラッシュの技法や習作などを見て、当たり前ながらいまさら、表現のために技術を開発したり磨いたりすることに納得がいきました。技法やスタイルに振り回されず、本質を追求することが大切だと改めて思いました。
ワイエス展 観覧備忘録
館内撮影禁止ですが、作品リストは作品写真付きの冊子タイプで見やすいものでした。箇条書き的になりますが、気になった作品を残しておきます。
1.《オルソンの家》1939年
24. 《青い計量器》習作 1959年
36. 《幽霊》習作 1949年
大好きなコレクション展 民藝
この美術館には、民藝運動ゆかりの作品を中心に約1000件の作品が所蔵されています。わたしは民藝の作品がとても好きなので、コレクション展もいつも楽しみにしています。
ワイエス展に合わせた展示期間に68点が展示されています。半数以上はバーナード・リーチの作品で、河井寛次郎と濱田庄司が続きます。こんな焼物に囲まれて生活してみたい。
もう一つ、素敵な鑑賞体験になるのが、本館2階喫茶室の入口横にあるオルゴール。毎時ちょうどに美しい音色が聞けます。喫茶室でケーキを食べようとしていたら、店員さんから演奏が始まるとお知らせがありました。
喫茶室で企画展特製スイーツ
せっかくなので、お昼ご飯代わりにリーガロイヤルホテル京都による特製オリジナルスイーツをいただくことにしました。アップルパイかブルーベリーのチーズケーキか悩みましたが、後者の『The Olsons’ Blueberries ~クリスティーナのおもてなし~』にしました。
大山崎山荘美術館への行き方
JR山崎駅もしくは阪急大山崎駅から急な坂道を10分ほど上ったところにあり、駅前で無料シャトルバス(20分間隔)を待つ人も多いですが、わたしは歩いて行きました。ちなみに私は車で行きましたが、美術館には駐車場がないため、駅前のコインパーキングにとめました。最大料金が500~800円だったので安心です。
確かに急かもしれませんが、足腰が悪くない限りは歩いて行ってもよいのではと思います。シャトルバスを利用しても6,7割の距離のところで降りて、美術館入口まではいずれにしても歩く必要があります。
英国風山荘+安藤建築
大正から昭和初期に建てられた英国風山荘が復元整備された本館に、安藤忠雄設計の地中館(1995年)と山手館(2012年)がある。建築巡りで訪れてもよい場所です。