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東郷青児展と喫茶ソワレ

東郷青児、名前を聞いただけでは作品を思い浮かべることはできなかったけれど、チラシを見てこれは行かないと、と思い神戸まで足を延ばしました。

六甲ライナーの「アイランド北口」駅から階段を降りてすぐの神戸市立小磯記念美術館で12月15日まで開催されています。はじめて降りたちました。

東郷青児について

鹿児島生まれ東京育ちの東郷青児(1897-1978)、20代にはフランスでも学びピカソや藤田嗣治と交流している。前衛絵画の洋画家として活躍し、当時のモダンな女性の理想像を描き「昭和の美人画家」といわれていた。西洋の技法と日本の伝統を融合させた独特のスタイルが評価されている。実際、一般入場者の投票によって「大衆賞」を2回連続受賞しており、広く人気があったことがわかる。その一方で、美術界での評価は厳しく、大衆的でインテリアアートに過ぎないとみなされていたようです。

《望郷》1959年
大衆賞受賞作品

美しく強い瞳のモダンガール

確かにデザイン性の高いイラストのようにも捉えられなくもないけれど、個人的には、独特の雰囲気・魅力があって良いなと思った。特に、女性の強い眼差しが印象的でした。

《脱衣》1958年
《脱衣》の一部アップ ※目線が分かるように
晩年の絵は、まつげが長く目に被さり目が描かれないものが増えるようですが、私はまっすぐ見つめられている感じがするこちらのような絵の方が好きかな
《郷愁》1947年
《花炎》1965年
まつげが長い方の頃の絵
こんなクッキー缶をお土産でもらったら、絶対に小物入れとかに使いたい

もちろん前衛的な絵画も

滑らかに仕上げられた美しい色彩のモダンガールの絵が彼の代名詞的な作品だったからか、いわゆる前衛的な印象が私の中で薄れていたけれど、未来派にも参加していました。

かってな想像ですが、東郷青児は陽な人の印象です。

《パラソルさせる女》1916年
フランス留学当初に未来派運動に参加した時の作品
《サルタンバンク》1926年
東京国立近代美術館所蔵
※本展の出展作品ではありません
トリオ展(大阪中之島美術館)にて撮影

こんな作品も

《由美かおる》1976年
小さい頃、水戸黄門でのお風呂シーンが話題になっていたことしか実質知らなかったけど、こんなにも目力系の少女だったんだな
《舞妓》1955年
東郷青児にかかると舞妓さんもどこか洋風

小磯良平のアトリエ

美術館の中庭には、小磯良平のアトリエが移築され、内部を見学することができます。こげ茶の二階部分に、水色に塗られた窓やドアのある白壁の一階。神戸らしいオシャレなお家です。名前の通りこの美術館には、約2000点もの小磯良平の作品が遺族より寄贈されており、コレクション展も同時開催されていました。

観覧の続きは喫茶ソワレで

学生時代に二度ほど行った喫茶ソワレ。京都の西木屋町四条上ったところにあります。本展で東郷青児の作品が喫茶ソワレにあったと知り、時間を見つけて四半世紀ぶりくらい?に行ってみました。

《夜会の女》
《花》

ありました、ありました。店内入ってすぐの左手壁にかかっていました。ちなみに、小磯良平や他の画家、作家の作品も飾られています。オーナーのセンスですね。

絵の横に座ってしばし喫茶時間。昔から変わらない店内、そしてメニュー。

コップにも東郷青児の絵

昔は店内の雰囲気しか見ていなかったけど、こんなに見るべきものに溢れていたなんて…こうして思い出が更新されるのも楽しいものです。

1948年開店。「青い光は、女性が美しく見え男性は若々しく見えるから、店の明かりに使ったらどうか」というオーナーの友人からの助言によって、空想世界の色の中にいるような店内空間になっています。

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