子どもの発達を流れで捉える
絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。そんな、子どもの心を育てるということを、あまりかたく感じないでください。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今回は、子どもの発達を流れで捉えることを考えたいと思います。
あなたは、生活する中で様々な人と交流しながら生きています。そうやって、自分とは違う相手を感じながら、どんどんあらゆる人とつながっていきます。相手とつながることで、自分という存在をあらためて再認識できる。そしてまた、自分という存在をしっかり認識できるので、相手をさらに意識できるようになります。
このように、相手を意識できるようになることで、自分という存在もさらに意識できるようになるのです。自分と相手への意識に相乗効果が生まれるということです。
自分をしっかり意識できることは、自我の確立にとても重要です。自分という存在を意識できるからこそ、唯一無二の自分という存在に自信をもてるようになるのです。そうやって自尊心が高まることで、その人は生きがいというものを手に入れます。ですから、相手を意識できることはとても大切なことなのです。
では、そもそも相手を意識できるためには、どうしたらいいのでしょうか?それには、一つの基準が必要なのです。その基準があるからこそ、その基準と比べて相手がどんな人なのかということを理解できるようになります。その基準となるものが、自分です。
子どもが自分という存在を意識できるようになるには、自分でやろうとする主体性を育ててあげる必要があります。主体性を育てることで、自分という意識も育てることができるのです。その主体性を育てる過程で、親に依存的であった子どもが、親から離れていきます。母子分離が進むということです。母子分離が進むからこそ、社会に出てあらゆる人とつながれるようになります。
このように、子どもの頃の「自分でやりたい」という主体性を育てることは、その後の発達に大きな影響を与えることを理解いただけると思います。人の人生は、子どもの頃から始まって、それが一生つながっていきます。大人の頃に生じた問題の中には、実は子どもの頃の育ちとつながっているものが多く存在するのです。
ですから、子どもの今は、必ず将来につながる。そういった流れを感じながら、子どもに接してください。
今回はここまでです。