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片付けたら子どもたちの様子が変わる

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は、「片付けたら子どもたちの様子が変わる」というテーマでお話ししたいと思います。

あなたは、片付けは得意ですか?それとも苦手ですか?お家の部屋の様子、学校の教室の様子、ただそれだけのことで、子どもたちの行動が変わる。そのことについて、考えてみたいと思います。

例えば、発達障害のある方で、日常的なタスクの管理が苦手な人は珍しくありません。片付けや整理整頓が苦手で、机の上はゴミの山のようであったり、物を捨てられずに大量のゴミがあたり一面に広がっているという方もいます。これは、計画性とか、注意力とか、または実行機能の障害、そういった様々な要因によると考えられます。

そして、興味深いことに、自分で散らかしてしまったその光景の影響を受けて、さらに注意力が散漫になってしまう、そんな現象も起きるんです。部屋がゴチャゴチャしているから、そういったものに気を取られて、目の前の宿題に集中できないとか。ゴミが散乱しているから、ランドセルを乱暴に放ってしまうとか。そんな風に、周りの環境が落ち着かないからこそ、行動も落ち着かない。そんな現象が起きるんです。

例えば、こんなことを聞いたことはありませんか。街にゴミが散らばっていたりボロボロの空き家が立ち並ぶところでは、犯罪が起きやすい。そんなことを聞いたことはないでしょうか。その街の治安を保とうと考えると、街は綺麗にしておくべきなんです。

こんな風に、環境はそこで暮らす人の心に影響するものです。環境が落ち着いていれば、そこで暮らす人々の心は穏やかになる。逆に環境が落ち着かなければ、そこで暮らす人々の心も穏やかではいられない。もちろんそれは、子どもにも同様のことが言えます。

子どもが生活する環境がゴミで散らかっていたら、子どもたちは落ち着かなくなるんです。ゴミがなくて綺麗に整頓されている空間では、子どもは落ち着きを保てるんです。ですから、子どもたちの心を穏やかに育てようと思ったら、生活空間は綺麗にしたい。そういうものです。

じゃあ、空間を整理するには、どうしたらいいんでしょうか。

例えば、物の置き場を明確にする、というのは一つの方法です。「ランドセルはここ」、そんな風に物の定位置を設定してしまいます。そうすることで、物を片付ける場所が常に明確になり、子どもたちの行動がパターン化できるんです。このパターン化はとても重要な方法なんです。

その子に考えさせるというのではなく、反射的に行動できるようにしてしまう、ということです。この「反射的に行動できる」ということは、人間の考える負担を軽減させてくれるので、人の行動を楽にしてくれます。逆に「どこに置けばいいだっけ?」と考えさせる空間は、人に考えることを要求するので、人の負担を増やすんです。

子どもたちが学校から帰って疲れている時でも、何も考えることなく行動しやすいように、生活にパターン化を取り入れる。綺麗に片付いているスペースほど、そういったパターン化が取り入れられているものです。

今日は「片付けたら子どもたちの様子が変わる」というテーマでお話ししました。

だいじょうぶ、
まあ、なんとかなりますよ。

湯浅正太
小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて:https://yukurite.jp/)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

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