障害や病気のある家族がいる子どもたちへ:大切にしてほしい君たちの中の正義
こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今日は、障害や病気のある家族がいる子どもたちへ向けてお話ししたいと思います。もしも、身近にそんなお子さんがいたら、このラジオを聴いてもらえればと思います。
このラジオを聴いてくれている君には、大切な家族がいると思います。その家族の中に、みんなと同じように生活することができない兄弟、あるいはお父さん、お母さんがいるかもしれません。
そんな君にこのラジオで伝えたいこと、それは、「君の中にある気持ちを大切にしてほしい」ということです。
君が学校に行ったり、外に買い物や遊びに行った時、みんなと同じように生活できない家族のことを恥ずかしいと思うことがあったかもしれません。周りの人が自分の家族をどんな風に思っているのか気になって、変な気持ちをもったことがあったかもしれません。
でも、そんな君も、お家に帰ると家族で一緒にいることを普通に感じます。家族で一緒にいること、それを当たり前に感じて、みんなと同じように生活できないことも、当たり前に感じるはずです。だからこそ、外の世界を窮屈に感じるかもしれません。
そんな経験をしているかもしれない君に、知ってほしいことがあります。それは、人は実はみんな違う、ということです。みんな、同じようでいて、でも、違うものです。例えば、かけっこの速さも、覚える早さも、いろんなところが違います。
君に知ってほしいことが、他にもあります。それは、人はみんな助け合って生きる、ということです。例えば、生まれてきた赤ちゃんは、自分ひとりでは食べ物も食べられません。そんな赤ちゃんは、お母さんやお父さんに育ててもらいながら、色々な人にお世話になりながら、一人前の大人に成長します。
大人に成長して、そして、年をとります。年をとって、走る速さも、覚えるスピードも、ゆっくりになっていきます。年をとるとは、そういうことです。そして、周りの人に手伝ってもらいながら生活するようになります。そうやって、いつか命を終えます。
どんな人も同じではないし、どんな人も助けられる経験をするものです。
そのことを、人生を始めたばかりの若い人たちには理解できないかもしれせん。あるいは、机の上で勉強ばかりしている人にも理解できないかもしれません。だって、色々な人に出会わなければ、人ってどんなものなのか、人生ってどんなものなのかは学べないからです。
色々な人に出会って話をしていくと、「みんな、違うんだ」「どんな人も助けられるのだ」とわかってくるものです。今は理解できていない人も、いつか理解できるようになるでしょう。もしかしたら、その人自身が助けられる立場になってようやく理解できるようになるかもしれません。まあ、そういうものです。
僕は君に、家族を大切に思う気持ちを大事にしてもらいたいと思います。僕だけではありません、世の中の多くの人が、君の気持ちを大切にしてほしいと思っています。君の中にグチャグチャな気持ちをもつことがあっても、それも含めて「いいんだよ」と思っています。
マイペースにね。
だいじょうぶ、
まあ、なんとかなるよ。
ということで、障害や病気のある家族がいる子どもたちへ向けて僕が伝えたいこと、でした。