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子育ての集中力を高めるコツ

おはようございます。絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今日は、子育ての集中力を高めるコツ、というテーマで考えてみたいと思います。

その答えは、くどいようですが、親子のつながりを意識するということです。親がどんな行動をとって、子どもはどんな反応を見せたのか。子どものどんな行動に対して、親がどんな反応をしたのか。そういった親子の反応に意識を向けて集中すると、どんどん心の世界が見えてきます。「子どもの行動も、親の行動も、こうやってつくり出されていたのかあ」とわかってくるものです。

しかもさらに見えてくるものは、純粋な子どもたちの反応です。子どもたちは生きている世界をあるがままに受け入れています。あるいは、受け入れようと頑張っています。自分がどんな環境に置かれても、そこにいる自分を正当化するために、その環境を受け入れようとします。そういった純粋な子どもの心が見えてくるからこそ、いたたまれなくなるなんてこともあります。

そして、さらにさらに見えてくるものは、あらゆる人の心が様々なつながりの中でつくられていることです。すると、人の心が時代を越えてどんどんつながっていたことを理解するようになります。親子のつながりを意識して、子育ての集中力を高めれば、そうやってあらゆる世界が見えてきます。不思議ですが、そういうものです。

そんな風に人が生きるということの全体像が見えるからこそ、あなたの人生が見えてきます。必ず終わりがある、人としてのあなたの人生です。人生が、子どもの頃には長いと思っていたのにやはりとても短く感じる。人の心がどのようにつくられるかがわかると、人生の見え方は必ず変わります。

そんなことを思いながら、今日も早速コメントをご紹介したいと思います。
ラジオネームひのきさん、いつもありがとうございます。

「思えば私も親に対し、つながりが得られず見捨てられ不安があり、様々な困った行動を起こすなどでSOSを出していたのかなあと思います。本当に、向き合ってもらったり、つながることをあの時求めていたのだなあ、と思いました。

不安が生じた際に、人とのつながりの経験を子どもにさせることで、そんな経験が得られなかった自分も救える。以前のお話で驚きましたが、妙に納得で希望がもてました」。

ひのきさん、どうもありがとうございます。SOSを出していた自分に気づけるというのは、素晴らしいことですね。そのことに気づけるからこそ、他人のSOSに意識が向くようになります。子どものちょっとした仕草に、「あ、これがSOSなのかも」と気づけるようになるのですね。

過去に自分自身の親とつながりをつくれなかった人も、自分と子どもとのつながりをつくることで満たされていく。親が成長して変わっていくのは、そのためです。子どもの頃にやんちゃだった人が、大人になって変わっていく。「子どもができたら、立派になったなあ」なんて言われる理由は、そこにあります。

別に、その人は、子どもの頃にやんちゃをしたかったわけではないのです。わざと窓ガラスを割ってみたり、喧嘩をしてみたり、盗みをしてみたり。あたかも、その人がやりたくてやった、かのように言われてしまいますが、違います。本当は親とのつながりを求めていた。だけど親とつながれなかった。だから、つながりたくてもつながれない辛い気持ちを、叱られるような行為で発散していただけです。

そんな人でも、子どもとつながることで変わります。子どもの頃に自分の命なんてどうでもいいと思っていた人でも、子どもができて、その子どもとたくさんつながるからこそ、自分の命を終わらせられないと思うようになります。そうやって、子どもとつながるからこそ、親は変わっていきます。そういうものです。

それでは次に、ラジオネームあぴかさん。いつもコメントありがとうございます。

「私も母に抱きしめられた感覚がなく大人になり、母を受け入れられなくなりました。そして、母に辛くあたったりしていました。

私は今、自分の子どもたちとのつながりに毎日感謝できるようになりました。すると80歳を過ぎた母には笑いながら、『あんたは最悪なお母さんやったね〜』と言えるようになりました。母も笑いながら『ほんとやね〜』と言います。人間の成長はなかなか時間がかかるものですね」。

あぴかさん、コメントありがとうございます。人は、人としての心のカラクリを理解して、子どもや誰かとつながれるからこそ、心が楽になっていく。それは、とても大切な流れですね。

実は世の中には、人の心のカラクリを理解できていない人、人とのつながりの力を知らずに、生きづらさを抱えたまま生きている人がいます。人とのつながりではなくて、社会がつくった価値に翻弄されて、いっこうに人とつながれずに、永遠と何かを求め続ける人。自分の求めているものが、親とのつながり、人とのつながりであることに気づかずに、永遠と別の物を求め続けてしまう人。本当にいます。

あぴかさんが80歳を過ぎたお母さんに笑いながら、「あんたは最悪なお母さんやったね〜」と言って、そのお母さんも笑いながら「ほんとやね〜」と言えた。人間の成長はなかなか時間がかかるもの。そのことからわかるように、子どもを育てて、苦労を経験してみないと、「つながりがこんなに大切だったのかあ」と理解できないものです。

今まさに子どもをもつ親御さんの立場で、つながりの価値を理解できてない人が多いものです。「テストでいい点数をとる方が大切でしょ」「親がそばにいなくても、子どもは勝手に大きくなっていくわよ」。そんな風に思っている親御さんは少なくありません。その間違いに気づくのは、子どもが問題を抱えてから、あるいは子どもが大人になってからなのです。そうやって後になって、「つながりの大切さって、あの頃にはわからなかったあ」と後悔するのです。

あぴかさんのお母さんのように、色々な人生経験を重ねて、色々な人の人生にも触れてようやく、「あ、そういうことだったのか」と理解するようになる人は珍しくありません。つながりの大切さに気づいたその時には、子育てが終わっていることも少なくない。子育てが終わって、「私のあの時の対応で、この子のあんな行動がつくり出されたのかあ」と気づくものです。

それは、なぜなら教育です。みんなと同じようにできることがいいこと。テストの点数が高かったら立派。それで人の価値が決まる、なんて勘違いさせてしまう教育があったからこそ、人とのつながりの価値に気づけなくなっていた。

だから、つながりの価値を理解できるようになると、こう思うはずです。「親と子どもの心のカラクリを、もっと早くから教えてくれればよかったのに」なんて気持ちが生まれると思います。「人が求めているものって、テストの点数でも、偏差値でもなくて、人とのつながり。それがわかる教育があったら、こんな生きづらさを抱えずに済んだんじゃないの」なんて考えるかもしれません。

人生は短いものです。そんな短い人生を、本来人が求めるつながりを感じながら楽しまなければ、やはりもったいない。

そんな風に色々思うところがあります。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。

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