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戦争ではなく愛を

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。そんな、子どもの心を育てるということを、あまりかたく感じないでください。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今回は、戦争ではなく愛を、というテーマでお話ししたいと思います。

幼少期の子どもの体験は、その子どもの人生の骨格をつくるといっても過言ではありません。あたたかくて優しい頑丈な骨格があるからこそ、人生におけるどんな些細なことも、一つの幸せに変えられるようになります。人生における様々な体験が、有意義な経験に変わっていくということです。

そういった豊かな人生を築いていけるかどうかは、子どもの時期の体験、特に親から子どもへの豊かな関わりがあるかどうかにかかっています。親であるあなたのぬくもりを子どもが感じられるからこそ、あなたの子どもは他の相手に優しく接することができる。するとその相手も、あたたかい気持ちになる。笑顔になったり、優しい言葉でやりとりするようになる。それを見たあなたの子どももまた、笑顔になる。

このように、子どもが他人に対してあたたかい行動をとれることで、子どもの心がさらにあたたかく育っていくサイクルが生まれるということです。そうやって、子どもの心の中にしっかりした愛を育てることで、その後の人生は自動的に心あたたかい人生になっていくわけです。

子どもは親という安心できる存在を感じられるからこそ、様々な挑戦が可能になります。様々な挑戦をしながら自分の世界を開拓していき、自分というものを追求できる心が備わります。自分を追求できるからこそ、生きていて楽しいという生きがいを手にするのです。

もしも、虐待や戦争などのように、親とのあたたかい関わりをもてない事態が生じれば、安心した落ち着いた心が備わりません。心が穏やかでなければ、挑戦もできません。挑戦ができなければ、自分の生きがいを見出すことができなくなってしまうのです。そうやって、生まれてきたことを悲嘆してしまう心が生まれます。

人は、自分たちの生活を便利にするために社会をつくりました。自分と同じであることで安心する心の性質があることから、仲間という集合体をつくり、やがて国家へと発展させました。一方で、自分とは違うものを排除しようとする心の性質もあることから、自分たちとは違うものを排除するために争いを起こしてしまいます。それは、自分たちの社会の正義を示そうとするとも言えます。

そうやって、大人の社会の正義を振りかざすことが、多くの子どもの悲しみを生む出していく。僕たちはこれまでの歴史から、何度も何度もそのことを学んできたはずです。子どもの悲しみが、成長とともにいつしか憎しみに変わっていく。そういった子どもが大人となり、愛のない社会をつくる。それはとても窮屈な社会です。

このように大人の正義は、子どもの人生を乱暴に大きく変えてしまうほど危険なものでもあることがよくわかります。戦争という大きなスケールでなくとも、日々の生活の中にも大人の正義はたくさんあふれています。子どもに接するときの大人の「正しいだろう」「良いだろう」という判断の中には、いくつも「本当にそうか?」と思うことがあるものです。

子どもたちには、彼ら/彼女らの心に残る大人の愛を与えてほしい。大人の正義で子どもを振り回してはいけない。そういった気持ちをもつ僕は、戦争に強く反対します。

今回はここまでです。

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