子どもに機会を
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
今日は「子どもに機会を」というテーマで短くお話ししたいと思います。
あなたは、他人の気持ちを尊重できる人ですか?それとも、何かと自分の意見を通そうとしてしまう人ですか?
大人になるとわかりますが、上司であろうと、部下であろうと、他人の気持ちを尊重できるタイプがあることがわかります。いくらマナー研修を積んでも、アンガーコントロールの研修を積んでも、その人のパーソナリティはあまり変わりません。
社会人になって間もない若者であっても、自分の心を自制しながら、他人の気持ちを尊重できる人はいます。一方で、人生経験が豊富なはずの上司であっても、部下の気持ちを尊重できない方もいるでしょう。
それは、親御さんも同様です。子どもの心を尊重できる親御さんもいれば、そうでない親御さんもいるものです。子どもが「これをしたい!」と思った時、「じゃあ、やってみなさい」と言って、子どもに機会を与えられる親御さんはいます。一方で、「ダメ!親の言うとおりにしなさい!」なんて、子どもにそのチャンスを与えてあげられない親御さんもいるものです。
子どもに好奇心が生まれても、その機会がなかなか生かされない、ということです。
子どもの頃に抱ける好奇心って、宝の原石のようなものです。その原石を磨けるかどうか、つまり好奇心を生かして実践させてあげられるかどうかで、その子のその後の生きやすさは明らかに変わります。
こういった、子どもの心を尊重できる親の特徴には、どんなものがあると思いますか?それは、先を見通せる力を持っている、ということです。親の見通しの奥行きが深いほど、子どもは機会に恵まれて濃く深い経験ができるものです。
親の見通しに奥行きができるためには、その親に何が必要なんでしょうか?それは、やはり経験が必要です。経験があるからこそ、見通しが持てる。見通しが持てるからこそ、心に余裕が生まれます。そうやって、「いいよ、やってみなさい」なんて、子どもの心を尊重できるものです。
では、その親の経験って、どこに原点があるのでしょうか?それは、子どもの時代です。子ども時代に好奇心を生かす機会に恵まれるからこそ、あらゆる経験を積める。そういうものです。
そう考えると、好奇心を生かして経験を積めるかどうかって、世代間で代々つながるということがわかると思います。実際には、家庭の経済的余裕の格差によって、子どもの経験が明らかに変わってしまう。そんな事実があります。
そのことが明らかだからこそ、家庭に子どもの機会を任せるのではなく、社会が子どもたちに色々な機会を提供したいものです。どんな家庭的背景があろうと、好奇心が生かされて色々な機会に恵まれる。そのように、社会が子どもを育てるということを本気で考えたいものです。
今日は「子どもに機会を」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太
小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて:https://yukurite.jp/)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。