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今更?これから?おうちオフィスのこと

そろそろ築5年になろうとしている我が家。
自宅設計当時の私は、まだサラリーマン設計士でした。自宅の二階の書斎コーナーは、設計の際に夫の要望で作ったもの。
私が自宅で起業することになったので、夫の書斎コーナーをぶんどり、私の事務所としました。
階段ホールに奥行き600mm幅1600mmくらいのカウンターを設置しただけの小さなおうちオフィスです。資料などは隣の書庫スペースに置いています。

コロナのために、おうちで仕事をすることを余儀なくされた方、やってみたら意外と通勤しなくて良いし、家事も同時に出来るし、リモートワーク向いてた!という方、いろいろだと思います。企業の方でも、リモートワークが推奨されるケースもあるかと思います。

いろんな方が、いろんなおうちオフィスのことを書いていらっしゃってますね。ネット環境だとか、機器のスペックなどについては明るくないので私も大変参考になりました。

使いやすい小さなおうちオフィスの設計は、使いやすいコンパクトなキッチンの設計に似ているな、と感じます。自身も家で仕事をしている住宅設計者が、こんなおうちオフィスが使い良いなと感じるポイントをいくつかご紹介します。

①作業スペースを出来るだけ広く確保する
料理の作業効率は作業スペースの面積に左右されるといっても過言ではない、と思います。作業スペースは、まな板を出して材料を切ったり、ボウルに材料を混ぜたりするのに使うスペース、だけでなく、冷蔵庫から出した材料を「とりあえず」置くところ、レシピ本やスマホ・iPadなどを置くところ、粗熱を冷ますために置いておくスペース、など、調理の工程の中で、「とりあえず」「一時的に」ものを置いておくところがあると作業がスムーズです。
オフィスの場合も同じ。
パソコンを置く場所だけでなく、資料を広げたり、作成したものをチェックする場所、調べ物をする場所、などスペースに少しだけ余地があると作業しやすいと思います。

②ある程度の収納量
作業スペースを確保するためには、ある程度の収納が必要です。
なんでもかんでもデスクの上に出しておくと、結果的に作業スペースとして使えるエリアが圧迫されるばかりか、関係ないものが目に入るところにあると、今やっている作業に集中できない、なんてこともあります。
仕事の時は、今作業していることと関係のない資料や図面は適宜片付けておく(しまう場所を決めておく)こと。
仕事のデキル先輩建築家に教わったノウハウですが、これを暮らしに応用すると部屋が片付きます。

③他の作業との関連性
家で仕事を始めてから、とても良かったなと思うのは、家事が仕事の息抜きになること。残業続きでへとへとになって帰ってきてから家事をするのはとてもストレスフルでしたが、今は仕事の休憩に、気分転換に家事をすることが出来るようになりました。
キッチンを設計するときにも、食器洗いや料理の下ごしらえと他の家事が同時にできるような動線や、キッチン脇に奥さま専用のちょっとした家庭の事務作業もできる小さな家事コーナーを計画しますが、家で仕事をするのであればなおのこと。
洗濯機を回している間や、煮込み料理をしている間に、仕事が一つ片付いてしまう快感!
雨が降る前に洗濯物をとりこんだり、宅急便の受取も持ち越さずにいられることもおうちオフィスの良いところです。

④そのためだけのスペースにする
キッチンに立ったら、今から料理に関する作業をする!と心構えが出来ます。
おうちオフィスも、ここに座ったら仕事をする!と決め、出来ればそのスペースで違うことをなるべくしないようにすると、集中できるそうです。
これもやはり、スペースを確保するために整理整頓がしやすい計画になっていることが重要だと思います。

上記の仕事のデキル先輩に教わったのは、仕事の効率化と集中に大切なのは、「とにかく捨てること」ということ。
私は打ち合わせの時話したことや決まったことの記録に、関連する資料など、怖いのでなんでもとっておく方なのですが、それを必要な時にすぐに取り出せずに探すのに時間がかかるくらいなら、捨てた方がよい、とのこと。
それは、時間が惜しいから、というだけでなく、物を所有することで奪われる時間や、それを考える脳の記憶のエリアを出来るだけフリーにしておきたいからなのだそうです。
ふーむ、なるほど。良いお話を伺ったので、なるべく捨てるようにはしていますが、まだまだ捨てる訓練が必要なようです。
でも、それが出来るようになったら、スペースは小さくても使いよいキッチンやオフィスは作れるなあと感じています。

一級建築士事務所ゆくり設計室 松山千晶


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