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EDMってそもそも何?EDMの種類とそれぞれの特徴の完全解説

アルファベット三文字の“EDM”(イー・ディー・エム)。そもそもEDMとは「Electronic Dance Music」(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の略。直訳すると「電子の・踊る・音楽」となります。つまり、シンセサイザーやドラムマシン、サンプラーなどの電子楽器を利用生み出す音=”電子音“を含む全ての音楽ジャンルとなります。

EDMの歴史

EDMの起源は 1960 年代のジャマイカにまでさかのぼることができます。そこのアーティストは、オープンリールのオーディオテープレコーダーで複数のトラックを重ねて流すことによって、新しい形式の音楽を作成しようとしました。Dub music(ダブミュージック)と呼ばれるこの特定のスタイルの音楽は、ナイトクラブやバーで人気を博し、本質的にはディスコに先行する、EDMの最初の形式でした。

ディスコ時代が終焉を迎えようとしていた1970年代にも、同様のことが起こりました。Frankie Knuckles(フランキー・ナックルズ)という男が、さまざまなジャンルを融合させ、テンポを調整し、パーカッションを加えることで、新しいサウンドを生み出そうとし、ハウスミュージックが誕生しました。その音楽スタイルはすぐさまに大衆に浸透しすぐに世界中に広まりました。

ですが、90年代のレイヴシーンでは、当たり前のように薬物が蔓延していたため、世間的に見ると危ないイメージがありました。なので当時の政府やメディアはEDMに敵対的だったそうで、特に政府はレイヴ文化の発展を阻止する為の法律と政策を制定したりしていました。

しかし、2000年から2010年にかけて、エレクトロやトランス界隈から健全かつ大衆向けのEDMが発生し、それらがメインストリームに浮上したことで、大衆の人気があったアーティストやバンドまでもがEDMを取り入れはじめ、危ないイメージはだんだんと薄れていきます。そして今、EDM は音楽業界全体で最も盛況で人気のあるジャンルの一つとなりました。

それでは簡単にEDMの歴史がわかったところで、EDMの中でも特に有名なジャンルをピックアップしてそれぞれのジャンルの歴史や曲の例などを簡単に紹介していきたいと思います。

Big Room(ビッグルーム)

Big Room(ビッグルーム) は、多くの人がEDMと言われればこのジャンルのことを指していると思うのではないでしょうか。これは文字通り、フェスティバルや大バコでのプレイを前提とした、スケール感が大きい、BPM128前後の曲のことを指しています。Big Roomはシンプルなリズムと、わかりやすく派手なシンセのドロップ、ブレイクからの強烈な盛り上げが特徴となっています。

当初はElectro House(エレクトロハウス)の派生だったビッグ ルームは、2010 年代初頭にSwedish House Mafia(スウェディッシュハウスマフィア)、Martin Garrix(マーティンギャリックス)、Avicii(アヴィーチー)、David Guetta(デビットゲッタ)、Calvin Harris(カルヴィンハリス)、Tiesto(ティエスト)などの有名なアーティストによって急成長を遂げました。そのため、すぐに世界のダンスミュージックフェスティバルの多くのメインステージで頼りになるジャンルの 1 つになりました。


House(ハウス)

ハウスミュージックは、1980年代初頭にディスコの派生から生まれたダンスミュージックです。フランキー・ナックルズなどの影響力のあるアーティストによってシカゴで始まり、米国の他の大都市 (デトロイトやニューヨークなど) を引き継いで、すぐにヨーロッパやその他の地域に広がりました。アンダーグラウンドのカテゴリーを超えて、ダンスミュージックの中で最も有名で人気のあるジャンルの 1 つになりました。

特徴としては、BPM115〜130周辺の、規則的で反復する4つ打ちの曲であり、誕生した当初はRoland TR-707、TR-909、TR-808などのシンセサイザーやドラムマシンを用いて作られたリズムパターンに、ソウルフルなボーカル、そしてキャッチーなシンセサイザーの音で構成されていました。ハウスミュージックは、テクノやトランスなど、数え切れないほどの他のジャンルの生みの親であり、長年にわたってさまざまな形に派生、変化し、現在ではDeep House(ディープハウス)、Progressive House(プログレッシブハウス)、Tech House(テックハウス)、Afro House(アフロハウス)など多種多様なハウスが存在しています。

Deep House (ディープハウス)

Progressive House(プログレッシブハウス) 

Tech House(テックハウス)

Afro House(アフロハウス)


Techno(テクノ)

Techno(テクノ)とは、1981年にアメリカのデトロイトで誕生したダンスミュージックおよびクラブミュージックのことを指します。一般的にテクノが誕生した場所はデトロイトと言われているが、より具体的にはテクノの生みの親とされているホアン・アトキンス、ケビン・サンダーソン、デリック・メイら「ベルビルスリー」が通っていたミシガン州ウェイン郡の人口約3,300人しかいない田舎町ベルビルにある学校Belleville Schoolから始まりました。

BPMは120〜150周辺。生音ではなくシンセサイザーやドラムマシンなどの機械音で構成され、規則的かつ反復した四つ打ちが特徴。テクノとはどういう音楽かを簡単に説明すると、ハウスミュージックにダークなテイストを加えたサウンドを指します。

現在でもテクノは進化し続けており、テクノの中でもBerlin Techno(ベルリンテクノ)、Detroit Techno(デトロイトテクノ)、Acid Techno(アシッドテクノ)、Hard Techno(ハードテクノ)や他にも様々なテクノの派生があります。

テクノの礎を築いた代表的な曲

Berlin Techno(ベルリンテクノ)

Detroit Techno(デトロイトテクノ)

Acid Techno(アシッドテクノ)

Hard Techno(ハードテクノ)


Trance(トランス)

Trance(トランス)はドイツで生まれ、EDM の最も人気のあるスタイルの 1 つです。1980年代中期にハウスの派生として生まれたとされています。トランスは 110 ~ 150BPM の範囲で、短いシンセサイザーの旋律を際限なく繰り返し、うねるような雰囲気を出すのが特徴です。その反復されるリズムやメロディーが、さも脳内の感覚が幻覚や催眠を催す「トランス状態」に誘うかのようであることからトランスと呼ばれているそうです。

代表する有名なDJ/プロデューサーは、Armin Van Buuren (アーミン・ファン・ビューレン)、Tiēsto (ティエスト)などが挙げられます。


Dubstep(ダブステップ)

1990年代後半に南ロンドンで生まれたエレクトロニック・ダンス・ミュージックのジャンルの1つ。一般的に、やや暗め、重めではありますがボーカルをメインにはせず、リバーブという広がりを感じさせる音ができるエフェクトを効かせ太いベースの音とサンプリング音などを組み合わせているという特徴があります。1990年代後半に生まれましたが、2005年辺りから急激に人気を集め始めた印象があります。代表的なアーティストはSkrillex (スクリレックス)、Flux Pavilion (フラックス・パヴィリオン)、Excision (エクシジョン)などが挙げられます。


Drum & Bass(ドラムンベース)

イギリス、ロンドン南部で1990年代に誕生した電子音楽のジャンルの1つ。非常に速いテンポの変則的なドラムビートに、うねる様なベースが重なるドラムとベースが主体となるダンスミュージック。BPMは165〜185が多く、高速で複雑なシンコペーションを用いたブレイクビーツサウンドとキック、スネアやベースを強調した重低音が特徴です。


Garage (ガラージ)

1990年代前期から中期にかけてイギリスで生まれたEDMのジャンルの一つ。ハイハット、シンバル、スネアドラム、キックドラムを構成に含みシンコペーションやシャッフルを用いて演奏されるパーカッシブなリズムが特徴的であり、パターンにはハウスの4つ打ちのキックドラムを用いたものや、変則的な「2ステップ」のリズムを用いたものがあります。BPMは130 BPM前後が多い印象。


Grime (グライム)

Grime (グライム)はガラージなどのハウス系クラブミュージックに、ラップやレゲエの要素を加えた音楽ジャンルの総称。正直EDMのジャンルに入るかは際どいところですが、一応触れておこうと思います。

2000年代にイギリスで生まれ、若者の間で人気となりました。長年イギリスのアンダーグラウンドなジャンルであったのですが、2010年代後半のストリーミング配信サービスの普及、それに伴ったヒップホップの世界的な人気を背景に2020年現在、グローバルチャート上位に複数のアーティストが顔を並べるなどグローバルな人気を得ています。代表的なアーティストはSkepta (スケプタ)など。

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