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小学校1年生のクラスで国際理解教育

昨日、母校の小学校1年生のクラスで「国際理解教育」の外部講師ボランティアをしてまいりました。
以下、その時の教案と授業の流れ(一部再現)、使用したPPTの一部を公開します。

インタラクティブな授業展開を試み、小学校1年生の子ども達とどれくらいやれるのか未知の経験でしたが、実際には、教案で想定していたやりとりを遥かに超える、豊かな対話を繰り広げることができました!

後日、子どもたちが書いてくれた感想文を送ってくださるそうで、楽しみにしています。

テーマ:ちがうってなんだろう?
目的:違うものへの態度を養う。

1.導入 自己紹介

みなさん、こんにちは。
私の名前は、ユン有子といいます。日本人です。
でも、今、来ている服は、日本の服ではありません。どこの国の服か分かりますか。
S: フランス、アメリカ…

この服は韓国の服です。みんな韓国って国、知ってる?

S:知ってる。聞いたことある。韓国ドラマみたことある!よくテレビで見る。

そっか、これはね、私が結婚式の時に来た服なんです。
韓国では、お祝いの時にこの韓国の着物を着ます。

世界地図

じゃあ、これを見てみましょう。これはなんですか。

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世界地図みなさんが住んでいる国はどこですか。S: 日本!

地図でどこにあるか分かるかな。(来て、指さしてもらう)

S: えー、日本、小さい。

じゃあ、韓国はどこにあるか知っている人。ヒント、韓国は日本の隣にあります。ここが朝鮮半島で、半島の半分から下が韓国です。

私は、3×年前、みんなと同じ●●小学校の1年生でした。

S: えー、すっごい大昔!

そうだね笑

そのあと、大学に行っている時に、中国語を勉強するために中国に留学に行きました。中国は韓国の隣ここです。大きいですね。中国のこのあたりに行きました。飛行機で3時間半くらいのところですね。

そこで、韓国人の夫と出会って、結婚して、韓国で14年くらい生活していました。子どもが1人います。

国籍とアイデンティティ


じゃあ、質問です。みんなは何人ですか?

S:日本人・お父さん、お母さんは●●人、●●さんは●●人・・・

①そっか、ここにいるみんなは日本人なんだね。/
②そっか、じゃあ、このクラスには●個の国の人がいますね。
③そっか、みんなの知っている人の中にも外国と繋がっている人がいるんだね。


じゃあ、みんなに問題です。
日本人のお母さん、韓国人のお父さん。じゃあ、子どもは何人になるでしょう。

①日本人 ②韓国人 ③両方  手あげてもらおうかな。(3択問題)

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はい、答えは、全員正解です。私の息子は、最初は両方だったんだけど、18歳になったらどっちか一つを選ばないといけないので、「日本人」を選んだんだけど、「自分は何人だと思う?」って聞いたら、「両方」って答えてました。自分が何人であるかということと、自分が何人だと思うかということは、同じではないことがあります。

話せる言語

じゃあ、私は何語が話せるでしょうか。

私は、ペラペラではないけれども、英語が話せます。
みんなもこれから学校で英語を勉強することになると思うから、話せるようになると思うよ。最初は、へたくそでも、間違っていいんだよ。使えば使うほど、上手になるからね。
他には、中国語、韓国語、あと、ほんの少~しだけスペイン語が話せます。

2.外国と日本では何が違うが考えてもらう

じゃあ、今日は、みんなといっしょに「ちがうってなんだろう?」ということを考えてみたいと思います。

まず、日本と外国で考えてみましょう。外国って、どこのことかな。

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世界には、だいたいどれくらいの国があるか知ってる?

世界には今、197の国があります。だいたい200個あるね。
じゃあ、日本と外国、どんなことが違うと思いますか。

S: ことば、食べ物 (板書)

違い:ことば‐挨拶

日本ではどんな挨拶言葉がありますか。そうだね。「おはようございます」は、いつ言う挨拶ですか。

うん。昼は?夜は?そうだね。日本語の挨拶は朝、昼、夜、と時間によって言い方が違いますね。朝、友達に言うときは何て言う?先生に言うときは?言い方が違うよね。
じゃあ、他の国の言葉の挨拶、誰か知っている子はいるかな。

S: Hello, Hi

それは、何語かな。英語だね。その挨拶は朝、昼、夜、いつ言うと思う?
韓国語の挨拶も、いつ言ってもいいんだけど、日本語みたいに友達に言うときと丁寧に言うときは違います。
「안녕하세요」です。みんなで言ってみようか。

안녕하세요 アニョハセヨ 안녕하세요 アニョハセヨ
うん、すごく上手です。

韓国でもお辞儀をして挨拶をします。안녕하세요。アニョハセヨ
いいよー、じゃあ、私が韓国人の役をするから、韓国人と挨拶する練習してみようか。

●●くん、안녕하세요(お辞儀)←教室内うろうろして、何人かの子と挨拶ごっこ。

韓国人みたい!すごく上手、韓国で通じますね!
(事実、子ども達たちはカタカナ変換せずに聞いたままを発音して、すごく上手でした。)

日本も韓国も挨拶する時にお辞儀をするけど、お辞儀をしない国もありますね。スペインでは、どうすると思う?頬っぺたと頬っぺたを合わせて、こうやってキスするんだよ。

S: えーー!

うん、私も恥ずかしかったから、しなかったけどねw

では、聞きます!みんなが話しているのは何語ですか。日本語で話している国は、他にあると思いますか。

S:ある/ない

残念ながら、ないんですね。日本語は日本でしか通じません。
日本と外国で違うことの一つは、「ことば」ですね。

違い:ジェスチャー

他にもこんなのあります。●●さん、(「おいでおいで」のジェスチャー)

S:(来ようとしてくれる)

●●さんは、(「おいでおいで」のジェスチャー)をどんな意味だと思いましたか。

S:こっち来て

そうだよね。でも、アメリカやヨーロッパの国などでは、なんと「あっち行け」という意味になちゃうんです。

S: えーー!

意味が全然、違うから間違えたら大変だね。

インドには、こんな動作もあるよ。「ごめん、今、急いでるんだ、これだから(小指をたてる)」どんな意味だと思う?

S: 約束がある!

トイレに行きたいという意味だそうです。

じゃあ、日本と外国では、こういうのをジェスチャーというのだけど、「ジェスチャー」が違います。(板書)


紹介:韓国のお正月、食習慣紹介


じゃあ、他に違うこと、どんなことがあるかな。では、この写真を見てください。これは、韓国の私の家でのお正月の風景です。
なんかみんなの家と違うことがあったら、なんでも言ってみてね。

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S: おはし、おはしが鉄、りょうり、おせちじゃない…

じゃあ、この動画を見てください。お父さんが昨日、お昼に取ってくれた動画です。なにか日本と違うことあるかな。

S: りょうりが全部あかい、魚の食べ方、お皿…

はい、こんなにたくさん違うことが出てきました。

いろいろな人種の人


では、この写真を見てください。

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この写真は私の韓国の家族の写真です。見て、外国人だって分かるかな?
S: 分かる/分からない

「分かる」と言った子には分かった理由を聞く
「分からない」と言った子には、どうして分からないと思ったか聞く

分かると言ってくれた人と、分からないと答えてくれた子がいるね。

じゃあ、この写真はどうかな。

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外国人だと思いますか?
S: 思う。

どうしてそう思いましたか。何が私たちと違うと思った?

S: 顔がなんかちがう、顔の色、髪、服装・・・(板書)

そうだね。でも、実は、見た感じ外国人みたいだけど、実は、日本人かもしれない。
「●●人」というのは、見ても分からない違いなんです。

3.「目に見えるちがい」と「目に見えないちがい」について考えてもらう

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違うことには、「目で見える違い」と「目に見えない違い」があります。

じゃあ、今まで、言ってくれた違いの中で、目に見える違い、目に見えない違いはどれかな。
(板書のリスト中から、答えやすいものを選んで、聞く)

例)ことば、何人かどうか、はだの色、おはし・・・

今まで、外国のことを話してきましたが、私たちの間でも見ただけでは分からないけど、違うことってたくさんあります。

例えば、

●●さん、何色が好き? ●●くん、何色が好き?(聞く)

「何色が好き」これは、目に見える違い?見えない違い?

S: 見えない違い。聞かないと分からないよ。 

●●さん、学校が休みの時は家でなにして遊ぶのが好き?

●●くんは何して遊ぶ?(聞く)

へぇー、そうなんだ。これは、見える違い、見えない違い?そうそう、見えない違いだよね。

今日のテーマは「ちがうってなんだろう?」だったけど、
もう黒板に書ききれないくらい「ちがうこと」ばっかりになりましたね。

4.「ちがう人」とどのように接するか考えてもらう (多文化共生)

さて、最後の問題です。みんなに、ぜひ考えてもらいたいことがあります。

この写真はどこですか? 

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S: 教室

そうだね。さて、今日から、新しいお友達がクラスにやってきます。
誰かなー誰かなー。
はい、やってきました。

この子です。この子どんな子だと思う?

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S: 日本人じゃない


どうしてそう思った?でも、日本人かどうか見ただけで分かりますか?そうそう、それは、目に見えない違いなので、見ただけでは分からないよね。

この子はアリーナちゃんといいます。ペルーという国からお父さんの仕事の都合で、家族で日本に来ました。アリーナちゃんは家では、スペイン語で話しています。日本語がまだあんまり上手じゃありません。

アリーナちゃんは、初めて日本の学校に来て、今、どんな気持ちかな。

S: ドキドキしている。分からないことがたくさんあって、どうしようと思ってる。楽しみって思ってる…。

いいね、いいね!分からないけど、そう思っているかもしれないね。
アリータちゃんがもしも、何も言わなかったり、下向いて黙ってたら、どう思う?アリータちゃんは、おとなしい子なのかな。

S: ううん。ことばが分からないから。

じゃあ、日本語があまりできないアリータちゃんとどんな風にお友達になったらいいと思う?

S: 名前をいう!

それ、すっごくいい考えだね。名前は分かるもんね!じゃあ、やってみせて。私、アリータちゃんの役ね、日本語分からないと思ってね。

(一緒に演技する)

他には、どうやってお友達になろうか?

S:仲良くなる!

仲良くなるって、どういうことかな。

S:良いことをしてあげること!分からないことを教えてあげること!いっしょに遊ぶこと!

みんなすごくいいね!でも、ことばが分からないアリータちゃんとどうやって一緒に遊ぶ?

(沈黙)

S:スペイン語で話す!ぼく、スペイン語ちょっと知ってるんだよ!(ウノ、ドス、トレス…)

わぁ、すごい。1,2,3ってことだよね。どうして知っているの?

S: お母さんが教えてくれた。

スペイン語で話してあげるというアイディアはすごくいいね!アリータちゃん、嬉しいと思うよ。でも、スペイン語が話せない人はどうしたらいいかな。

S:連れてってあげる。みせてあげる。ことば(日本語)を教えてあげる!

そうだね、すごくいいことが考えてくれたね!

私がスペインで暮らしていた時にね、私はスペイン語あんまりできないし、スペインの人はあんまり英語ができる人がお店にはいなかったから、英語も通じなくて、お互い分かる言語がなかったんだけどね、スペインのお店の人達はみんなすごく親切で、何かを教えてあげようとして、スペイン語で一生懸命助けてくれようとしたの。

ゆっくり話したり、何度も行ったり、動作をつけて教えてくれたり、紙に書いたり、絵を書いたりしてくれて。
(絵を描くのが好きって言ってくれた子を見ながら)

そしたらね、だんだん何を言っているのか意味が分かるの。
スペイン語も少しずつ、分かる言葉が増えてくるしね。
みんなも日本語しか話せなかったとして、「話せないから助けてあげられない」って思わなくていいんだよ。

じゃあ、例えば、みんなはここの教室だけで勉強するの?他の教室に行くことある?

S: 図書室!

じゃあ、アリータちゃんを図書室に連れていってあげるときはどうする?

(沈黙)

「アリータちゃん、図書室に行こう」って言ったら、言葉が長すぎて分からないかもしれない。
例えば、「図書室」とだけ言って、図書室を指さして、「行く」って言いながら動作にする。

じゃあ、アリータちゃんに鉛筆貸してもらいたい時、なんていう?

S:「鉛筆」(ポーズ)「貸して」

うん。いいね!「鉛筆」っていうとき、物を指さしたらいいかもね。「貸して」で動作もつけるといいかもね。

5.まとめ

私も最初、韓国に行ったとき、言葉が全然わからなくて、みんなといっしょに遊べなくて、よく泣いていました。でも、たくさんの人が助けてくれたし、だんだん韓国語も分かるようになって、自分でいろんな事ができるようになりました。


日本には、たくさんの日本語が分からない子どもたちが学校にいます。
話すのが上手でも、日本語を読んだり書いたりするのが難しい子もいます。

これから、みんなのクラスや生活でそういう子に出会うと思います。その子達も、今日、みんなが黒板にあげてくれたみたいに、たーくさんの違うことがあります。

・世界には197個の国があって、違うことばっかりなんだということ
・違うことには、「見える違い」「見えない違い」があることを勉強しましたね。

今日のおはなしは、「ちがうってなんだろう?」ということでしたが、

違うっていうことは、楽しいことです。
どんな国があるんだろう、どんな人がいるんだろう、どんな暮らしをしているんだろう。「違うこと」を知るのはワクワクして、冒険みたいだよね。

ぜひ、そんな子たちとたくさんお友達になって、たくさんの違うことに出会って、たくさんの新しい事にチャレンジしてほしいな、と思います。

感想

子どもたちは、言いたいことがたくさんあって、我こそはと手を挙げて、ものすごくたくさん意見を言って、質問をしてくれました。

授業が終わった後、休み時間に、子どもたちがよって来てくれて、

私のお姉ちゃんはカナダに行ったことがあるんだよ。
僕のお父さんね、今、ポーランドに行っているの。
ねぇ、英語で「バイバイ」ってなんていうの?  

どうしたら、英語が話せるようになりますか。

など、話は尽きず、多文化共生の現場の一つである学校。
子どもたちの可能性と手ごたえを感じました。


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