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あなただけの学びの価値

私は算数ができなかった。

小数に入ってから算数が分からなくなり、小学3年生の算数のテストで30点を取って、先生に叱られて以来、自分は勉強ができない子なんだと自認するようになった。

授業も、いつも何かがぼんやりしていて、「分かった」と思うことは基本的にないまま、大人になった。「勉強ができなかった」という自己認識のせいで、私の勉強に対するセルフイメージはずっと低いままで、その筆頭が「算数」だった。

さて、40歳になって、私の母校である小学校で、外国に繋がる児童生徒の入り込み支援をするようになった。

その子は、複数の言語環境を移動しながら成長し、
日本語母語話者のために設計されている一斉授業には、ついていくことが難しかった。

しかし、クラスのスピードについていけないだけで、学ぶ事ができないわけではない。

その子は、いつも一生懸命だった。

でも、学校の授業はどんどん先に進んでいく。
分かることはないまま、ずっと置いてけぼり。
それは、すごく辛いことだと思う。
その子にとっての社会に参与できないのだから。

私は、私のコンプレックスが算数なんだったら、今から算数にチャレンジすればいいんだと、学校支援に入るようになってから考え始めた。

「勉強についていけなかった子どもの私」と、目の前にいるその子の姿が重なった。

「その子」を助けてあげたかった。

それで、40歳の大人の私は、「その子」のために学び始めることにした。

私が今から算数を始めて、何かを達成したら、「何歳からでも学び始めることができるんだよ」と自分の言葉で語ることができる。

それで、お友達にお願いして、小学校1年生の算数から教えてもらうことにした。
小学生の時には認知できなかったが、40歳の大人の私は、何が分からないのか言語化できるようになっていた。

私は数字の「1」を「1個」だと思って、その概念のまま固定していたので、かけ算で、すでに、つまづいていたことが分かった。
「1」の多義性について理解し、今まで生活の中に登場していた数々の数字について、分からないままでいた沢山の事を理解するようになった。

私のお友達は、この3年間、毎週金曜日の夜に40分、忍耐強く私に付き合ってくれた。
彼女は、天性の教育者だと思う。
「必ずできるようになる」と強く確信してくれ、私は安心して学習を進めることができた。

そして、ついに今日、私は小学校の算数課程を修了した。
40年間できなかったことをやり遂げることができて、感慨深いものがある。

今でも、算数は苦手だと思っている。
でも、今は、できないとは思っていない。
だから、数学課程に進むのを楽しみにしている。

人よりもできなくてもいい。
ペースもゆっくりだけど、
今は、算数を学ぶことが楽しいと思っている。

私は「その子」に言いたい。

学びたいと思ったら、いつからでも学べる。
だから、みんなと比べなくてもいい。

あなたの学びは、あなただけのもの。
あなたの学びから、あなただけの価値が生まれる。

あなたが生みだす価値は、社会に必ず還元される。
それを必要としている人がいる。

あなたの学びは、あなただけのもので終わらない。
あなたは、社会に必要とされている。

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