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松江(8)堀川遊覧

 10月最終週に弟夫婦が山陰旅行に来てくれた。一緒に出雲大社に参拝し、松江城や堀川遊覧を楽しみ、おしゃべりし笑った。
 堀川遊覧は松江城の堀を50分ほどかけて一周する。松江は水の都と言われるように川や堀、そして宍道湖がある。ただ自然のままにしておけば、藻が繁殖し、いつの間にか外来種の魚や亀が増えてしまうので、市民の手で一斉掃除など行い美しさを維持している。船からは秋風の中で、徒歩やドライブで見るのでは想像できない低い地点から松江城や石垣を見上げることができる。乗船客数は10~12人。向かい合わせに座る。11月から炭団のこたつが入る。10月だったから長い掛け布団が船内に入っていた。乗船は前(舳先)から。すぐ靴をぬぐ。
 堀には17の橋がかかっていて、その下を航行する。一番低い橋は水との高さが1メートル弱。そこで遊覧船は屋根を下げる。だから定員がそろうと、船頭さんの合図で「伏せ」の練習をする。この遊覧船は市内観光の足にもなっていて、一人1500円払えば一日中乗り降り自由。ステキなことだが、途中客が初めての乗船だったら、それまで乗っていた客と一緒にこの「伏せ」の練習を繰り返す。(笑)
この船は手漕ぎではなくモーターで航行する。
 今回乗った船の船頭さんは女性。他の船頭さんと同じように豆しぼりの手ぬぐいで頭を覆い、稲わらで編んだ笠をかぶり、半纏を着る。堀に生息する鳥や亀を見つけて教えてくれる。シラサギ、かいつぶり、おしどりが気持ちよさそうに泳いでいる。亀は枝にのぼって甲羅干し。江戸時代の武家屋敷や道の狭さ、人々の生活の話など聞いていると21世紀の今を忘れそうになる。橋の下を通過するときは練習した「伏せ」をし、船内にいる客たちと次第に連帯感がうまれる。松江小唄をよく響く声で聞かせられ自然に拍手が起きる。
 この堀を船でめぐる企画が生まれたとき、周辺に住む市民から「洗濯物が干せない」と反対されたとか。今は石垣や道路のキワを通るときは、マイクを使ってのガイドはやめて、静けさを維持し、と歩み寄った工夫があったらしい。市民の手で初夏にはアジサイ、秋には菊やツワブキが植えられ、旅情を誘う。
 
写真を撮り忘れ、慌てて船のイラストを描きました。(笑)
ゆうこの山陰便り №224


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