恵比寿様(1)卵が嫌い
都会に住み、核家族で暮らすのがフットワークもよくスマートな暮らしだと思っている人が地方に住むと何が煩わしいかといえば、親戚やご近所とのお付き合いらしい。こちらに来て、親戚の葬儀や法事に参列したり町内会の回覧板を届けたりすると、ああこれだなと思う。けれども想像したほどでもない。これはきっと私の年齢からくるものだと思う。
ご近所の人など何回聞いてもこちらは、顔はおろか名前や家の位置など覚えられないが、あちらはもうすっかり「東京からきた奥さん」を知っているらしく親しく挨拶して下さる。私が毎月山陰便りを出して東京はじめあちこちにこちらの情報を出しているなぞ、知らないで~~。(笑)夫は町内会の役員をしているので、秋の町内レクレーションに一緒に行こうということになりついて行った。私はこれを「遠足」で人間ウォチングをしようと目論んでいた。行き先は美保関。しばらく前にドライブしたので様子もわかっていたが、「遠足」ともなると、プライベートで行くのとわけが違い家の中でも次のような会話になった。
その一。
「ゆうこさん、美保関は鳥がダメなんだよ」は姑の話。
私「エッ、トリは飛ぶ鳥?」
姑「ええ、恵比寿様は鶏が嫌いだから・・・小学校の遠足には鳥に繋がるものは持っていかないの」
私「ゆで卵、卵焼き?じゃ、から揚げも?・・・お弁当困りますねえ」
姑「そうなんですよ」
こうなるとどうして?と知りたくなる悪い癖が頭をもたげる。
その二。
「美保関の旅館は朝食に卵料理はでないらしいの」「食堂でも卵丼、親子丼もないとか・・・」