恵比寿様(3)国譲り
神話の時代、出雲の国は大いに栄えた。アマテラスは繁栄する出雲も併合したいと思った。配下の神様を遣わし、傘下に入るように命じたが、使者は目的を果たせなかった。最後に、結論がなかなか出ないので脅しをかけ、オオクニヌシに決断を迫った。
困ったオオクニヌシは出雲から美保関にやってきて、息子である恵比寿様に相談した。結果、譲ることに決めた。条件は出雲に社をたてること、この先は政治の表舞台から去り、人々の縁を司る役目を担うもの。
戦わずして話合いで併合が決まった。だから国譲りという。この相談の様子は毎年12月に行われる諸田船神事で伝承されている。
でもこの話はどうにも納得がいかない。出雲の国はスサノオノミコトに代表される武力の国。八岐大蛇の尾から出た鉄剣に象徴される優秀な武器も豊富だ。その上、玉造温泉の地で今でも加工されるメノウの産地で財政的にも豊かだ。
出雲大社の隣に島根県立古代歴史博物館があり、1984年、出雲市斐川町の荒神谷遺跡で発見された弥生時代の銅剣358本が展示されている。続いて銅鐸6個、銅矛16本が出土。これら史料は見事な武器や祭祀に使う道具を作ることも出来たことを証明している。大陸との交易があり、出雲平野は大規模で耕作する米も豊富。水もいい。暴れ者のスサノオ、ふりかかる危機を忍耐で乗り切るオオクニヌシ、3代目は釣りと女が好きなエビス、王朝の存族は難しい。歴史にifはないけれど、出雲が日本の中心都市だったら・・と勝手に想像する。
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