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海の幸(5)
山陰の名産品でお勧めの一つが魚。一度食べたら忘れない。魚にまつわる話が多い。
美保神社の御祭神である恵比寿様は釣りが大好き、鯛を釣る。七福神の中におられる釣り竿をかかえる恵比寿様を機会があったら見てください。
年末になると娘さんの実家から嫁ぎ先に大きなブリが贈られる。お節の食材だ。「私の実家はしてくれなかったわ」「主人が大きなブリを買ってくれたわ」「今どきの若い人はマルの魚はおろせないわねえ」(マル:一匹まるまるの意味。最初はわからず魚って丸くないのに、としきりに思った)年末が近づくと女達の話題にあがる。
11月解禁になるカニ漁。松江の町ではカニ小屋が立ち、お腹一杯リーズナブルな価格で食べられる。学校給食に一人一枚ずつ出る。カニの茹で方は公民館の料理教室で学ぶ。
テニス選手の松江出身錦織君が実家に帰ってノドグロを食べる、といったので、よく売れた。規格外のノドグロが時々店頭で安売りされるから南蛮漬けにする。
和風旅館の朝食に出されるのはシジミの味噌汁とあぶった干しカレイ。鯵ではない。
昨年初めて山陰にやってきた弟夫婦が境港の水産物直売センターで朝どれを大量に買い込み帰って夜宴会をしたとか。「うまかったよ」と嬉しそうに繰り返す顔は忘れられない。
カニ漁が終わると岩ガキと本マグロ、白いか、トビウオが魚店にならぶ。
先日、2022年4月にリニューアルオープンした境港水産物直売センター(https//sanmaki-direct.jp)まで出かけた。このセンターは12軒の水産物販売店が販売競争をしている。例えばマグロは赤身もトロも絶品なのは言うまでもないが、本マグロのサクは重さに変化を持たせ、赤身の値段のトロを並べる。細かく切ってヅケ丼にと買いやすくしている。(私は醤油:酒:みりんを1:1:1で半日漬け込む。先月友人に連れられていった店のヅケ丼を思い出し、出し巻き卵を焼いて細かく切りご飯に混ぜて楽しんだ。)どこの店にもない鯛をフィーレで並べる。皮がなければ刺身だが、ポワレでどうぞと店員がささやく。岩ガキは夏場にたべることが出来るカキ。鳥取県のブランド品で夏輝(なつき)という名前で売られている。大きさ、重さで値段が違う。
「写真、撮っていいですか?」と聞けば、「お客さんしか撮影の許可をとりませんよ、どうぞ」と笑顔だ。どの店も私を「おねえさん」と呼ぶのはご愛敬(笑)。「えっ?私はすでにおばあさんよ」と思いながら財布をあける。今回はマグロやイカを購入。2軒のレストランや購入した品をイートインで食べることも可能だけれど、一目散に冷蔵庫が待っている我が家に帰る。そういえば鬼太郎グッズを取り揃えたお土産店もあった。
年間70万人もの人が訪れる・・・は少しだけ疑問だけど、いいものを安く買えるのはウソではない!
ゆうこの山陰便り №231加筆修正