第6章 命日 ②「私の言葉、子供の視線」
いよいよ話が終わりに近づき、メモを取る手を止めてもらい、前を向くように言った。
「今日、何月何日ですか?」
正しく答える子や1日ずれた日を答えた子、何日だっけなと考えている子もいた。
「実は、2年前の今日、勲さんはお亡くなりになりました」。
―児童たちの目つきが変わったようだった。教室は静まり、みんなが私の方を見た。
「ですから、今日は天国にいらっしゃる勲さんのことも思ってくださったら嬉しいです。
勲さんは『戦争ほど残酷なものはない、戦争ほど悲惨なものはない、平和ほど尊いものはない』という言葉を大切にし、私達に残してくれました。この言葉だけは、どうか忘れないでください」。
スライドに写る勲さんのお言葉を瞬時に書き写す子供達を見ながら話を結んだ。
***
子供達の質問がとてもよかった。「ファットマンの大きさは?」「世界で最初に核兵器を作った人は誰ですか?」。
ファットマンの大きさは、いつも講話で語っているのだが、なぜか今回は忘れていた。
「いい質問をしてくれてありがとう。大きさはね、直径が1.5メートル。私の身長が159センチだから、それと同じくらいある。縦はその2倍、3メートルを超えます」。
咄嗟に、私の身長で例えるというアイデアが出た。多分子供達は実感としてわかってくれたと思う。
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