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2024年9月議会・一般質問(1.カーボンハーフ実現に向けて、2.PFAS汚染実態調査について、3.新型コロナ感染による重症化をふせぐため、区独自の負担軽減をについて、4.羽田新ルート撤回について)

2024年度第3回定例会 

私は日本共産党目黒区議団の一員として区政一般について質問します。
大きな1点目、カーボンハーフ実現にむけて
危険な暑さが記録された7月の全国平均気温は、気象庁が1898年から統計を取り始めて126年間で最も高くなりました。
アメリカの科学誌「サイエンス」では、産業革命前に比べて 世界の平均気温が1.5度を超えると 地球規模で影響をもたらし、地球環境が回復不可能な状態になると警告しました。今私たちは地球の破壊か 持続可能か、という岐路に立たされています。
都内では10年間で高層ビルなどの再開発によるCO2の大量排出、樹木の伐採により、Co2の吸収は弱まり、地球環境を悪化させています。
昨年3月に環境基本計画が改定されましたが、気候危機の転換点にいる今、区としてもう一段階上の危機感を持って、環境対策を強化し、他区に遅れを取らないスピード感のある取組と、多くの区民と危機感を共有する取組が求められます。以上を踏まえて3点質問します。
(1)気候区民会議を設置せよ、についてです。
目黒区では地球温暖化対策地域協議会があり、企業や団体が参加して温暖化対策が協議されています。しかし幅広い区民が参加して問題を協議する場がありません。気候区民会議は特定の業界や利害関係者の強い影響を受けにくく、多様な区民に共通する意見を反映し、広く受け入れられつつ、効果の大きな気候危機対策を具体的に提案することができ、気候危機対策を強力に前進させて行ける会議体です。思い切って、今こそ幅広い区民が議論できる仕組みが必要です。
我が党は2021年に気候危機問題で活動している若者に 立ち上がった思いや危機感、訴えを聞いたところ、「気候危機を解決できる時間が、残りあとわずかしかないことを知り、死にたいと感じるほど、衝撃を受けた。それでもあきらめるわけにはいかないから、声をあげている」と発言した若者もいました。
未来の担い手と活動充実のため、1人1人が当事者意識を持って議論をする気候区民会議を設置するべきだと考えますが、いかがでしょうか。

(2)国や都の助成制度も含めた環境対策全体がわかる”一覧をつくり、区民に周知することともに相談窓口を設置せよ、についてです。
カーボンニュートラルを実現するため、国や東京都、区で補助金制度が実施されていますが、自主的に補助金制度を使って対策を考えていくうえで、全体像がわからないという問題があります。東京都の補助金は特に多く、業者向けのものもふくまれているため、結局読んでも、次のステップへ進めないという現状があります。区民が、個人や世帯で出来る環境対策を推進していくうえで区の助成制度だけではなく、国や都の助成制度も含め、全体がひとめでわかる一覧をつくり、区民に周知することともに、気軽に相談できる相談窓口を設置するべきだと考えますが、いかがかでしょうか。

(3)緑被率ではなく樹冠被覆率の目標を策定し引きあげるべき、についてです。
樹冠被覆率とは「ある土地の面積に対して、枝や葉が茂っている部分の割合のことを言います。目黒区では「みどりの基本計画」で緑被率20%を目標としていますが、緑被率は壁面緑化や屋上の芝生も含まれ、CO2の吸収やヒートアイランド対策として実効性に乏しい。気候危機対策として、欧米各国では酷暑緩和とCO2吸収・ヒートアイランド対策を目的とした冠被被覆率を上げるための具体的な政策がとられています。環境省の「まちなかの暑さ対策ガイドライン」では街路樹で緑の陰をつくることを推進。樹冠被覆率をあげることは日射や地面からの熱が大幅に減らし、体感温度や暑さ指数を下げ、Co2を減らし、生物多様性の保全も期待できる環境対策です。
2023年5月に改定されました環境基本計画に「豊かなみどりの形成」の項目では“民有地の樹木など、まとまった緑の減少を最小限にとどめるとともに、緑の保全や創出”と“住民がこかげのある街なかを歩くことで、みどりと触れ合い、大切さを実感できる機会を提供していく“とあります。まさに樹冠被覆はこかげのある街中を実現し、環境基本計画にある地域の防災、減災、ヒートアイランド対策にも効果があります。
東京大学の「都市・ランドスケープ計画研究室」の研究員が今年7月に発表した「東京の樹木チャレンジ:2013年から2022年にかけて東京の樹冠被覆率の減少」という論文があります。この論文の中で目黒区の樹冠被覆面積は2013年には12.6%あったものが、2022年は9.2%に後退し、変化率はマイナス26.8%にもなっていました。千葉大学名誉教授は「剪定は直営管理から外部委託になり、職員の削減や頻繁な人事異動で事務的発注になった。落ち葉の苦情があれば苦情がでないよう剪定するように発注していることも要因」と警鐘を鳴らしています。樹木の葉が茂っている路面温度は直射日光があたり続けている路面と比較すると20度違うという研究データもあります。私たちは日常生活でもこの夏、温暖化による異常気象で公園や街路樹の木陰の涼しさを実感したことが多かったのではないでしょうか。目黒区はカーボンハーフ実現のため、樹冠被覆率を環境政策の根幹の1つに据え、目標を策定し、引きあげていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

大きな2点目、PFAS汚染の実態を調査すべき、について
発がん性が疑われ、泡消火剤やフライパンの表面加工、ファーストフードの包装紙、半導体製造などにも使われる有機フッ素化合物の総称をPFASと言います。その数4700種類以上あると言われています。環境中に分解されないため、「永遠の化学物質」とも呼ばれ、長期間にわたり体内に取り込んでしまうと免疫低下、胎児や幼児の成長低下、がんなどの関連性を指摘する研究結果が数多く報告されていることから、世界的にも規制の動きが強まっています。
目黒区では2023年第3回定例会においてPFAS問題、マイクロプラスチック問題で人工芝の環境影響・健康被害調査してほしいという陳情も出されました。
米国では1940年代から1950年代にかけてPFASが製造され、大手化学企業の工場で使用され、多くの健康被害を発生させました。大手化学企業を相手に20年に渡る裁判で2017年、3500人分の和解金762億円勝ち取るなど、裁判が後をたちません。米国環境保護庁は昨年、許容値をPFOS、PFOAの暫定目標値をほぼゼロに近い値に更新、勧告値はPFOS,PFOAとも4ナノグラムとしています。1ナノグラムを容積でたとえると、たて20m、よこ50m、深さ1mのプールの中の1mlになります。
日本では製造、輸入等が原則禁止された「化学物質の審査及び製造棟(とう)の規制に関する法律」ではPFOSは2010年、PFOAは2021年に禁止されました。PFOS,PFOAを作っている工場が日本には3つあり、2013年までに自主的に製造中止をしましたが、人工芝は対象となっていないことが東京都環境局に確認してわかりました。
東京都環境局が2023年6月に公表した「2022年度」の地下水調査の結果、区内の最大値は29ナノグラムでした。
厚労省は2020年度、水道水の水質管理の暫定目標値として、PFOS、PFOAの合計1リットル当たり50ナノグラムに設定したが、米国に比べ目標値が数十倍から数百倍のため、多くの市民から緩すぎると怒りの声が上がっています。
環境省の「PFAS専門家会議」の委員でもあり、多摩地域や大阪府、愛知県の市民のPFASの血中濃度を検査している京都大学医学科環境衛生学研究所准教授はインターネットのニュース番組で
「1人1人に対する影響度合いはちいさいので、沢山の方に参加してもらってその中で非常に血中濃度が高い方がどういった病気の確率が上がっているのか、こういった調査していかないといけないわけですが、多くのデータがないと立証しにくい。とりあえず目の前の問題をなんとかしなければいけないということを、行政が、まだ問題がはっきりわかっていなくても、PFASの影響がわかっていなくても、影響が出ないように先取りしていく必要がある」とおっしゃっていました。
区としてPFAS汚染の数値を注視していく必要があると考えます。以上を踏まえて2点質問します。
(1)給食を作る際に、PFASが使われている調理器具などはなるべく使用しない方がよいので、まずは区有施設の調理器具などのPFAS汚染の実態を調査し把握すべきと考えるがいかがでしょうか。
(2)人工芝からもPFAS汚染が出ていることから、区立小学校の校庭8校、区立中学校校庭1校、区立体育施設のテニスコート4施設、14面の人工芝のPFAS汚染の実態を調査し、把握すべきだと考えるがいかがでしょうか。

大きな3点目、新型コロナ感染による重症化をふせぐため、区独自の負担軽減をについて
新型コロナの感染者数は9波や10波ではそれぞれ累計1000万人以上の感染者が出たと推計されています。昭和大学名誉教授は11波では累計1500万人以上が感染すると警告しました。新型コロナが2類から5類に引き下げられ、3月末で公費が打ち切られたことにより、高額な治療薬の処方を断る患者や検査を受けない人がでてきています。
新型コロナ感染拡大のもとで後遺症も深刻になってきており、コロナ後遺症治療の第一人者でもあるクリニックの院長の話によると感染した人の23%に後遺症が見られるとのことです。感染を広げない、感染しても重症化させないために次の感染拡大に備え、重症化リスクの高い人や施設への負担軽減が求められています。
以下、3点質問します。
(1)新型コロナワクチン接種への更なる助成を国や東京都に求めるとともに、助成額の引き上げをおこない、無料で受けられるようにすることについてです。
高齢者は物価高騰で生活の厳しさが増しています。収入格差によって区民に命の選択を迫ることがないよう、感染拡大を防ぐとともに重症化させない、後遺症患者を増やさないことが重要です。新型コロナワクチン接種への更なる助成を国や東京都に求めるとともに、60~64歳までの基礎疾患のある人、65歳以上は国や区の補助で自己負担は3500円を予定していますが、本来、国や都が助成し、無料にするべきであるため、目黒区として国に助成を求めるとともに、区としても助成額を引上げ、ワクチン接種を無料で受けることが出来るようにするべきだと考えますが、いかがでしょうか。
(2)高齢者施設、障がい者施設、保育園など子ども施設への感染拡大防止対策等の支援についてです。
感染者がでると広がりやすい24時間逃げ場のない特養ホームでは利用者への感染は命にかかわるため、感染拡大防止対策としてマスク、消毒液はかかせません。接触が多い保育園では感染が広がると家庭内感染を引き起こすことにも繋がるためマスクや消毒液の消費量が膨大です。感染症に対する特段の注意が必要な福祉施設は感染症対策への備品購入が経営を圧迫しています。新型コロナウイルス感染症が2類のとき、区は福祉施設に対して、検査キット、マスク、消毒液等の購入するための支援を行っていました。5類になった今も新型コロナの感染拡大の波は続いており、2類の時と状況はかわっていません。感染拡大防止対策として福祉施設への支援を積極的におこなうべきだと思いますが、いかがかでしょうか。

(3)低所得者に対し高すぎるコロナ治療薬や検査費用などのコロナ治療にかかる医療費支援についてです。
 新型コロナウイルス感染症が2類から5類になったことで公費補助がなくなりました。これにより検査を受けない方や、早期服用で後遺症を減らすことが出来るコロナ治療薬は高額であるため、断らざるを得ない人も増えています。コロナ後遺症は深刻な症例もあり、命の格差を生まないためにも目黒区として、低所得者へのコロナ治療にかかる医療費支援を行うべきと考えるがいかがでしょうか。

大きな4点目、区民の命と安心して暮らせる住環境を守るため、羽田新ルート撤回について
今年7月29日、私は羽田低空飛行見直しのための議員連盟総会に参加しました。議題は固定化回避検討会が2年間1度も行われていないこと、検討会が開かれていない理由、新ルートによる増便の効果、以前から住民側が求めていた従来ルートでの運用による実績資料の提出など、国交省・航空局首都圏くうこう課の環境企画調整室長らも出席し、報告と質疑が行われました。
国交省が発行している「羽田空港のこれから」の資料には海上ルートでは1時間当たり82回が限界であるため、羽田新ルートが必要だと説明してきました。今回参加した総会では羽田新ルートの時間帯と従来ルートでの1時間ごとの離発着の運用実績の資料が配られました。海から入って海から出る従来ルートで、1時間82回が限界だと説明を受けてきましたが、1時間当たり83回から95回まで運用出来ていることがわかりました。以上を踏まえて2点質問します。
(1)落下物について区は国交省に説明を求めたか、についてです。
国交省が作成した「羽田空港のこれから」の資料には落下物はないとしてきましたが、今年3月27日に提出された我が党の宮本徹衆議院議員の質問主意書の答弁で、羽田空港において報告された着陸後の航空機の機体確認等で判明した部品欠落件数は2021年から2024年までの4年間で1798件あったことが明らかとなりました。また全国の落下物の中には1キロ以上の落下物が42件あり、一番重いものでは97.3キロもありました。1キロでも上空から部品が落ちてきたら大惨事となり、絶対あってはなりません。区は落下物について国交省からの報告、または国交省に働きかけ、今回、明らかになった落下物の状況について説明を求めてきたのか伺います。

(2)国に対し、新ルート撤回せよというべき、についてです。
青葉台4丁目の区民からは「今年3月下旬ごろから羽田新ルートによる騒音が激しくなっている」という声、下目黒3丁目の区民からは「騒音で精神的におかしくなりそうだ」という声、目黒4丁目の区民は「事前に示されたルートとは違うルートを飛んでいて、うるさい」と様々な声が区議団に寄せられています。視覚障がいのある方は目の代わりである町に溢れる様々な音を聞き分けていることを奪われ、乳幼児は騒音によって精神的に不安定になります。落下物や騒音から区民の命と財産を守るため、国に対し、新ルートは撤回せよというべきではないか伺います。

以上、壇上からの質問を終わります。


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