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ユーコン川を2人で下る②レイクラバージュからアッパーユーコン

湖の中にあった小さな島。水鳥のコロニー

6月3日 川は、すぐに大きなラバージュという大きな湖に入った。黒い雲が広がってきて、風が吹き始めていた。湖の水は、溶けた氷河が流れこんでいるのでめちゃくちゃ冷たい。この日は、だんだん向かい風が強くなったが、なんとか岸のそばを焚火休憩したりしながら進み、川地図にあったやぐらのあるGOODCAMPを見つけ終了。

6月4日 朝から雨。快適なやぐらの中から、しぶしぶ昼頃スタート。しかし、スタート直後からずっと強烈な向かい風と冷たい雨にさらされる。余裕なくて画像がない。

向かい風で進まないし、靴と靴下がぬれて体が冷えてきていた。レインウエアは着ているが、座って漕いでいるので、しずくがレインウェアの上をつたって腹のあたりに水が溜まっていく。それが時折こぼれて足元が濡れる。そして、強風と相まって身体がどんどん冷えていく。

普通に明るい白夜の午後8時、小さな岬を回り込んだところで焚火の煙が見えた。冷たい雨の中、上陸して種火をもらおうと思って、近づいて行ったらドイツ人のカヌーイスト4人が焚火にあたっていた。我々と同じようにユーコンの川下りを始めたばかり。

「こんにちは(こんばんは)。今日は寒いね。体が冷えてしまって。火にあたらせてもらっていい?」
「どうぞどうぞ。今日はお互い寒いよね。俺たちもさっき火をつけたばかりだよ。」
彼らはこう言って、でも一番暖かい場所を僕らにあけてくれた。
ありがたかった。これで、ようやく生き返った気がした。
その横で、でっかいドイツ人が斧で木をがんがん割っていた。

彼らの中で英語の話せる一人に、こんな冷たい雨の中、どうやって火をつけたのか聞くと、針葉樹の一番下にかろうじて引っ付いている乾いた枯れ枝を集めると、雨の中でもすぐ火がつくことを教えてくれた。
"This is good starter." 
お互い片言の英語同士、話すのが楽だった。

しばらく焚火にあたらせてもらってから、お礼を言って、さっそく教えてもらったことを実行に移してみた。

まだ雨は降っていたが、なんと一発であっさり火がついた。

焚火の周りでぬれたものを乾かす

ほっとした。
一旦火がつくと、集めた薪を乾かしながらどんどん火を大きくできた。

針葉樹の一番下にかろうじて引っ付いているような枯れ枝を集めると、雨の中でも火がつく。
我々と同じようにカヌーでユーコン川を下っているドイツ人のカヌーイストたちに教えてもらったこと。
ほんまにありがとう。
装備にAXE(斧)入れておけばよかったな。

少し湾になったここのビーチは風が弱かった。靴下乾かし中

次の日、すべてのものが焚火の臭いやけど、乾いたものを着て、快晴、追い風。最高。
出発。

焚火の匂いに包まれている
出発!!

レイクラバージュが終わり、アッパーユーコンへ入っていく。流れがあると進むのが速い。当たり前のことがうれしい。
時折、冷たいにわか雨が降るので荷物にシートをかけた。雨にはナーバスになっている。

右端はデジタルカメラのストラップ。
流れがあるって最高。

アッパーユーコンは、上陸しやすいところが限られていて、それが川地図に載っている。こんな図でわかるんかなあと地図を買ったときは思ったのだけど、これが実によくできていて、漕いでいて川地図と川と岸の特徴を見比べて、「あ、この先は中州があって右」とか、「左に流れ込みと砂州があってキャンプ地」というように、現場で景色を見ながら勘が働くようにできている。ユーコン川を何度も下った人の感覚がそこに込められている。

川地図:右がDawsonまで 左がDawsonからCircleまで
今回のキャンプ地わかりますか

6月5日 キャンプ適地を見つけて上陸。ここに泊まったカヌーイストたちの跡もあった。なんと手作りテーブルまであった。快適。

パエリアとRickard's のRED LAGER。Rickard'sはオンタリオ州のブルワリー。カヌーはたくさん荷物が積める。
妻が野点をしてくれた

フォールディングカヌーに乗った大柄な白人男性2人が、大きな声であいさつをして目の前を漕いでいった。
同じ時期に旅している者同士、抜いたり抜かされたりしながらユーコン川を流れていく。
野田友佑さんの本に書いてあったとおりだ。
空はずっと明るいまま。

続く

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