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モロッコの配車サービスでひったくりにあった話


モロッコにはUberみたいな配車サービスアプリ『inDrive』っていうのがあって、安いし安全だって聞いてたから使ってみることにした。  
その日は散歩してたんだけど、気がついたら20:30くらいになってて、急いでアプリを開いてドライバーを手配。地図で自分と車の位置が見えるはずなのに、ドライバーから「正確な住所を教えて」ってしつこくメッセージが来た。ちょっと怪しいなと思ったけど、「位置情報が微妙なのかな」くらいに思って、近くのカフェに移動してその住所を送った。  

その後、iPhoneで車の写真を確認しながら道路を見てたら、いきなり猛スピードのバイクが私のiPhoneを掴んで通り過ぎようとした。何が起きたのか一瞬わからなくて、呆然としてたんだけど、配車サービスがキャンセルされてるのを見て『やられた』と気づいた。ドライバーがグルだったわけだ。  

でも、iPhoneは無事だった。実は、首にかける紐をiPhoneケースにくくりつけてたから、持っていかれなかった。
iPhoneは地面に落ちて画面保護カバーが傷ついただけ。あれは、たまたまその日の昼に靴磨きのおじさんが靴紐を売ってたのを買って、iPhoneにくくりつけてたおかげ。治安があんまり良くない気がしてたから、かっこよくはないけど対策としてやることに決めた。
その時は本当にあの場所で靴紐を売ってくれたおじさんと、自分の用心深さに感謝した。  

もともとついてた紐は金具が壊れた



それ以来、そのアプリを避けてたんだけど、便利だから使わざるを得ない時もあるなと思って、対策を考えた。  
まず、名前を強そうな感じにして、写真も怖そうなものにすることに。名前が浮かばなかったから、ハワイにいる男友達に相談したら、『ソフィア、マーガレット、イザベラ』って案がメッセージで来た。なんとなく『イザベラ』が殺し屋っぽくて強そうだから採用。写真はショッピングモールで下からのアングルで撮ることにしたけど、怖い顔が全然できない。もともとゆるい顔をしているから、何回撮っても怖くならない。モールではおしゃれな人たちが買い物してる中、変な顔して写真撮ってる自分がじわじわ面白くなってきた。  
それでもなんとか笑いを堪えながら「強そうな」写真を1枚撮れた。  

私が思うイザベラの顔


これで配車サービスも安全に使えると思ったんだけど、結局ドライバーがまた住所を聞いてきたのが怖くてやめてしまった。疑心暗鬼になってしまっている。今日は電車で帰ろうと決めて、駅までの道は『イザベラ顔』で歩くことにした。  

駅に着いて切符を買おうとしたら、クレジットカードが使えない。お札も使えないし、手元にコインもなかったから、周りの人に両替を頼むことにした。みんな親切で、「タクシーの人に聞いてみたら?」って教えてくれた。配車アプリのせいでタクシーに不信感があったけど、言われた通りタクシーのおじさんに頼んでみた。おじさんは無言で私のお札を掴んで運転席へ。正直『このまま走り去るんじゃ…?』って心配したけど、ちゃんとコインに両替してくれた。  

疑った自分が申し訳ないのと、おじさんの親切が嬉しくて胸がいっぱいになった。駅に戻ると、さっき親切にしてくれた人たちが「大丈夫だった?」って声をかけてくれたりして、モロッコって治安は悪いけど、いい人もたくさんいるんだなと改めて感じた。  

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