3度目のフィリピン滞在記5
018/2/23 Fri. ドライブ&Angeles cityでライブ
photo by Ian Penn
Manila Biennaleで対バンだった女のコバンドは、バンド名が「Male gay」というんで、彼女らはゲイではなく女のコたちなんだった。訂正〜。あと、歌のうまいMartinくんは我が後輩、下間正已くんに激似だったなー。あの夜は、わたしは早々に失礼したけど、MartinとJoeeはカラオケに行ったんだって。運転の荒いw美女はCat Cat(カットカットに聞こえる)といって、彼女とJeonaは彼氏持ちだからさっさと帰ったそうな。ずーっと一緒にいると、誰が誰のことを好きで、でも相手は友達としか思ってなくて、とか、いろいろわかってきますね。
今日はIan Pennくんの街、Pampanga州のAngeles(アンヘレス、天使)でライブがあるんで移動日。バス旅行はしたことあるけど、人のクルマで友人たちとってのは初めてなんでアガる。朝はベッドでかちゃかちゃ。相変わらず風邪治らず。鼻が出てきた。シャワるかどうか迷ったけど、そんなに汗かいてなかったからやめとく。体が暑さに慣れてきたかにゃ? 昼前に出ようっていってたけど、ギリギリまでJoeeは今夜のポスター画像(fb用)作ってたし、IanはBaguio他、3月の自分のツアーのん作ってたし、万事そういうペース。日本だと「もう1か月前なのにイベントページできてないのヤバい!」とかなるけど、時間感覚が違うわけですね。これは私見なのですが、のんびりペース(フィリピンとかインドネシアとか韓国も)の国をキッチリせかせかペースの大日本帝国が支配した結果、両者の時間感覚の宿命的相容れなさによって、ますます酷いことになったんじゃないかと。日本人から見ると怠け者にしか見えないからといって。。。全然そんなことないんだが。彼らは実によく働く。自分の機嫌をとりながら、自分のペースを守って。わたしもそうありたい。
パッキングが上手なJoeeを「Mother Packer」と命名。トランクに機材をギッチギチに詰め込み、Mati用のスペースを作る。わーい、犬ちゃんとドライブだぉ!
途中のJollybeeでChescaを拾って高速へ。ここまでJoeeがドライブ。サービスエリアのフレンチカフェで昼ごはん買って、Ianに運転交代。全員車中でmgmg。わたしはカルボナーラスパを買ったんだけど、可愛い箱に入ってて、味もグー。思うに、フィリピンの人々って、味覚が優れてるんだと思う。機内食を食べてるみたい。すっとばす焼畑(と思ったら暑すぎて自然発火してるらしい)、ヤシの木、青空。。。飛んでるんじゃない?
ドライブ中はいろんな言葉が流行るもんだけど、すべてを肯定するコウペンちゃんの話題。キュレイターに「作品どけろよ」って言われてもニコニコパフォーマンスしてたJeonaって、ひょっとしてスーパーポジティブなコウペンちゃんタイプ?「そうそう、彼女はコウペンちゃん」「新しい彼氏ができたてで、ハッピーすぎるってのもある」「そーそー、前彼と別れた時に撮影があったんだけど、彼女始終メソメソしてるかと思うと突然狂いだしたりして、まいったー」ふむ、にんげんだもの。覚えた新しい英語Ointment(かゆみ止め)。あと、危ないバイクに遭遇したときは「死んでしまえ」と言えばいい、とお教えしておきました。「しぃんでしまえー!」
後部座席でご一緒したChescaとおしゃべり。彼女とJoeeが女性のためのサウンドアートグループ「Heresy」(魔女っぽいニュアンスの英語?)のメインらしい。TinaとTusa、そしてわたしをブッキングしてくれたのもHeresy。ライターで編集者のChescaはJoeeのメンターでご意見番らしい。「新しいプロジェクトが立ち上がるたびにChescaに相談してからやるやらないを決めるようにしてんのよ」とJoee。
テキスト世界の人らしく、いろいろ教えてくれる。「Maganda(美しい)の語幹がGanda(きれい)よ。ガンダー!っていうと感じたままを伝える風だけど、Maをつけてマガンダー!っていうと、もっと叙述的なニュアンスになるの。美味しいのMasarapも、ふつう「うめえ!」ってときは語幹だけでSarap!って言った方が伝わるわね」なるほどなるほど。フィリピン語、やたらMのつく単語ばっかで、Mの項目だけでフィリピン語の辞書のほぼ全ページが埋まっちゃうんじゃないか(あとはKから始まる言葉がやたらと)と思ってたけど、語幹で辞書ひくわけですね。ふーむ、辞書買ってみようかなぁ。英語から自在にタガログにスイッチする車中の会話を聞いていて、けっこう何について話してるかわかる気がしてきた。
しかしPampangaの言葉はタガログと全然違って、Ianは地元だからわかるけど、実家があるだけのJoeeは聞いてもわかんないらしい。Manilaからさほど離れてないのにね。ビッグ・カントリー。
午後3時をすぎてPampangaに入る。阿蘇山のように雄大なアラヤ山に抱かれた自然。ちょっと九州っぽい。IanおすすめのPSAU(Pampanga州立農業大学)の実験農場に立ち寄る。Ianが「友達だ」というガリガリのおじいさんがひたすら穴掘ってたりして、いい感じ。カカオ、パパイヤ、マリーゴールド、様々なベリー類、アンパラヤ(ゴーヤ)、レモングラス、なんかわかんないけどデカい瓜などなどの畑、ハウス。すげー音量で鳴いてるヤギ小屋(エサの効果を検証したりするための実験用)に行ったら、普段全然吠えないMatiが興奮してワンワン。ヤギどもを黙らせた。職員の人に注意された。パシェンシャナ〜(ごめんなさい)。
彼らのショップができたばかりだとゆーので寄ってみた。最近全然物欲なくて、今回も必要なもの以外買わなくていいやと思ってたけど、火がつく! サツマイモにタマリンドの石鹸だとー? うっわ、日本だと確実に5000円超える蜂蜜が300php(600円とちょい)だとー? バカスカ買いまくってトータル800phpしなかった。「醜い日本人まるだしでごめんなさい」「買ってあげて、買ってあげて!彼らをサポートすることになるからねっ」ーーみんなはハニーワイン(甘くて喉によさそう)、タマリンドのワイン(ほんのり酸味があってキュっとした味で、目が覚めそう)や、なんとかベリーのワイン(高血圧、高コレステロール、食欲不振などに効くらしい。養命酒か? しかしワインとして十分うまい)をバカスカ買っていた。
そして正式な昼食としてAbe’s Farm Events Village Country Cuisine & Spaへ。Abeは土地の言葉で「お父さん」。うわーー、ネイチャーリゾートですやん! 竹と木で作られたフィリピンの伝統的な邸宅が美しい森の中に突如現る。ずばり「新婚旅行で泊まりたい宿ナンバーワン」です。一晩2000phpで泊まれるのよ。もちろんSpaもプールも使い放題。パートナーとステイしたい時は言ってね、アレンジするから、とChesca。日本だとカプセルホテルのお値段でねぇ。。。ぜひお願いしたい。スタッフの一人が中川家礼二さんに激似でした。
食事がまた素晴らしくて! ミルクフィッシュ入りのシニガン(スープ)はヤム芋で美しい紫色、やさしい酸味、サーラップ! 日本でも食べる魚みたいだけど、よくわかんないやつをカリッカリに揚げたん。お米のテンペーー発酵食品。インドネシアの豆のテンペとは違って、鮒寿司のご飯みたいにベタベタ。これを微かな苦味のあるレタス風の葉っぱに包んで食べる。地野菜の温サラダ。羊歯(しだ)のサラダ!ーーこっちではポピュラーらしい。海ぶどうみたいにプチプチ。どれもこれもうまかった。「持ち込みワイン、グラスもらって飲んでいいすか」「Hindi pewede(ダメです)」みんなでコソコソらっぱ飲み。
夕焼けがはじまりかけてる。Biennnale会場でいっぱい吊るされてた貝のシェードのランタンがここにも。LEDライトアップもセンスあって綺麗。庭の巨大ブランコへ。揺られてあおむくと梢の間に白い月が。。。天国? あたしもう死んでるんじゃない? そーよYukoはEdsa通りでジプニーに轢かれて死んだのよ。そーかー、死んだかー、それもいーなー。しぃんでしまえ。ふふふ。
Angelesの街に入る。コンクリートづくりの四角い家や店が沖縄やバリ島の田舎を思わせる。唐突に現れる立派なカソリック教会(Chesca曰く「金持ちの集会場よ」)。穴ぼこだらけのガタガタ道。ジプニー、トライシクル、バイク、クルマ、犬たち。。。
お世話になるChescaのパパの別荘へ。別荘っていっても、2ベッドルームの小ぢんまりしたフツーのお家。別荘というより別宅か。パパの化学メーカーは、PSAUが上得意だというから、仕事できたときのための家だな。ご近所さん(管理人さん一家?)にはフィリピン名物、めっちゃ可愛い子どもたちが群れてて、たいへんよろしい。
最近、こういう普通の他人さまのお宅拝見が続いてるけど、飾ってあるものとか絶妙にダサ可愛くてよいですねー。「ねーねー、ちゃんとしたコーヒーなかったっけ? インスタントだけだっけ?」お母さんに電話して、Chescaがコーヒー入れてくれた。とっぷり暮れた。天頂に半月一歩手前のが明るく輝く。オリオン座とシリウスがありえない高さ。あー、南に来たんだなぁ。
7時10分に出るから、それまでリラックスして。シャワー浴びてもいいよ、とIan。いつも心配になるけど、言ってた時間は軽々と超える。でもまぁ気にしなくていいや。生理2日目のJoeeはソファでぐったり寝てる。わたしは鼻水たれ子でまいった。Chescaが風邪薬くれた。荷物をまとめ直して小屋入り。
会場のkalye lakandula galleryへ(ラカンドゥーラ通り画廊)。ちっちゃな可愛いギャラリーに高校生?(制服姿)の若者たちが集ってた。けど、みんなタバコがんがん吸ってビールがぶがぶ飲んでた。壁一面の絵画。いくつかはとても気に入った。オーナーは著名な写真家で、お名前失念(すごい勢いでみんなに紹介されるので、とても覚えきれない)したけれど、5,60代? なんでも90年代のピナツボ火山大噴火の決定的写真を撮ったフォトジャーナリストだそうで、彼の写真はナショナル・ジオグラフィックに掲載された、と。どうりでJayさんとこみたいにクラシックカメラのコレクションがあると思った。コニカ、オリンパス、ペンタックス、ヤシカも! こんなお父さん的な人のギャラリーに毎日通ってたら、いいアーティストがバカスカ育ちそう。彼は、そう、此花の後々田さんに感じが似ていました。
セッティング。わたしはスっと終わったけど、Joeeがケーブル1本忘れてきて苦闘。あんなにパッキングがうまいのに、たった1本のケーブルの不在に苦しむ。助けたいけど助けられない。コート(ステージ)では誰でも一人、一人きり、なの。でもIanが調達に成功! なんて男なの!?
彼らの言葉はタガログじゃないからタガログ語サンプリングとかしてもピンとこないかもなぁ。ボルテスVの歌も若い子は知らないだろうし(マルコス政権下で最終回が放送禁止になった事件)。「鰐の涙」の本は持ってきたけど、どうしよう。。。Chescaがすかさず見つける。「わー、古典的名作よ、これ!なっつかしー」若いRobynnとかはポカン。小林多喜二「蟹工船」みたいな感じかなぁ、無理もない。そーか、わたしが下手くそなタガログ朗読するより、彼女に朗読してもらえばよかった。選んだクライマッックスシーンを教えると「泣いちゃう!カナシー(TT) 学生時代に読んだけど、再読しなくちゃ。練習するから、これ借りといていい?」どーぞどーぞ。
Ianと彼の妹のRobynnのデュオでスタート。Robynnは「安室さまですか!?」って美しさ。25歳のIan(クルマで干支の話になった。彼は酉。Chescaは子。Joeeは丑)より4つ年下。兄妹でやるのは初めてというけど、素敵なハーモニー。Ian退場してRobynnのソロ。ギター超うまい! 少しブルージーなフォークソングにヤられる。めっちゃいいですやん! せっかくだから今日はブルースを歌いましょう。憂歌団の「パチンコ」をうろ覚えで歌うのんからスタート。拍手喝采きたぉ(喜)。
我ながらサイコーの出来だったけど、録音のスィッチ入れ忘れてて残念。ま、音楽って空中に消えていくところが素敵ですから。2016年のフィリピン滞在で録りまくった音源をいっぱい使った。いろいろ蘇った。
ステージ終わったら、オーナーの友人と思しきお年寄り(あたしと同年代ぐらいだが)がPampanga風のピザくれたー。めっちゃおいしー、Salamat po! こういうのがいい出来だった時の証ですね。San Miguel Pale Pilsenのボトルが空きかけると誰も彼もが買ってきてあてがってくれる。ミュージシャン冥利につきます。
Joeeのステージの後半から参加することになってた。ちょっとウトウトしつつ(失礼)見てたら、ちっちゃなマラカスを彼女が放ってきた。やりましょー。彼女の美しい曲たちに合わせてジャムる。mizutamaくんがくれたというおもちゃのクラリネットとか、PCのサンプルとか、カセットノイズとか。。。楽しかったけど、後半はもう意識が飛んでたなー。睡眠不足が続いてるからにゃー。朦朧音楽〜。最後に代表曲「She is a fish」(中国人の友達の詩にJoeeが曲をつけた)を一緒に歌ってお開き。わー、もっとやってよーー! 次回はもっと観客が多いはずだよ(オーナーさん)。お片付けして辞去する。
Chescaんちで家飲みしよーってことになったんで、ヘンドリック(ギャラリーの若い衆、彼の名前だけはジミヘンを想起して覚えた)が同乗して帰宅。彼、ちょいちょい出てくる日本語がうまいんで、てっきり来日経験があるのかと思ったらないらしい。YMOが好き。細野晴臣サイコー。山下達郎と竹内まりやも好き。うわー、話合いそう。でも、もう瀕死なんです。持ち帰ったAbe’sのごはんをIanがあっため返してくれる。残り物でも超うまい紫シニガン! でも、もう飲み食いは終わりな感じです。午前2時ですしね(いつもよりは早いけど)。シャワってキングサイズのベッドに飛び込んだとたん、しぃんでしまった。