旭川いじめ事件 犯人情報を拡散してはいけない理由
まず書いておく。このいじめ事件の加害者の死を望む。こいつらのやったことは女子高生コンクリート事件の加害少年と同じ拷問も含まれている。決して許される事ではない。この国は法治国家であり、人間が人間に私的制裁をしていいわけではないが、こいつらがゴ・ジャラジ・ダのゲゲルの標的になることを望む。
だが同時に書いておく。加害者の名前を特定し、拡散する事はあってはならない。別に「加害者の更正」だとかそういう事を言うつもりはない。理由は以下の通りである。
冤罪発生率がほぼ100%
最近ネットで外道な事件が起こるたびに、全く無関係な人間が「犯人」として情報が拡散される事例がほぼ100%セットでついてくる。
東名高速あおり殺人事件で福岡の会社経営者が加害者の親族だとデマを流された事例が持ち上がるが、川崎少年リンチ殺人事件では全く無関係な女子中学生が犯人として個人情報がバラまかれ、大津いじめ殺人事件でも無関係な人間がデヴィ夫人に犯人呼ばわりされて情報が拡散され、常磐道煽り運転事件ではガラゲー女の正体として「会社経営者の女性が犯人である」という内容のデマ文章を愛知県豊田市議会議員が拡散した。スマイリーキクチ事件でも「女子高生コンクリ事件の犯人が芸人になった」というデマを漫画家が著書で書いている。
つまり、世間の注目が集まるような事件が起こるたびに、無関係な人間が犯人だとして個人情報を拡散する馬鹿が現れるのだ。冤罪事件発生率はほぼ100%である。
旭川いじめ事件の加害者の情報はざっと見たが、根拠があるわけでもなんでもない。冤罪かそれとも本当なのかこちらからは判別出来ない。これまでのデマ拡散事例やデマや冤罪であった場合の結果の重大さを考えれば、情報は拡散すべきではないのだ。
今回の場合、「加害者」とされている少年少女の住所まで晒されており、誹謗中傷どころか危害を加えられるリスクが高いし、まして自宅突撃をほのめかすTwitterユーザーもいる。
いじめ加害者ではなく拡散した人間にデマの責任はある
この手の指摘があると「加害者の情報を外部に漏らさない警察や教育委員会が悪い」「だから冤罪が発生する」という指摘があるが、それは違う。デマが拡散するのはデマを流した奴と拡散した奴が100%悪い。
個人的には少年犯罪者も凶悪な場合は実名報道はするべきだと思うし、この事件のいじめの加害者も法で裁かれるべきだとは思う。だが犯人がどれだけ外道だろうが犯した罪に対する責任が大きかろうが、(加害者本人が拡散した場合は別として)デマ拡散の責任はいじめ加害者にはない。デマを流した奴とRTした奴に全責任がある。法律に問題があるなら選挙で改正してくれる政治家に投票すべきなのだ。
もっと的確な言い方をすれば、「デマ情報を拡散した人間」は別のいじめの加害者になるのである。
裁判でもデマを流した奴に対しては「事件加害者とは独立したデマ拡散の責任が存在する」という司法判断が出ている。損害賠償も数十万から300万単位で出ているし、刑事告訴され送検まで行った事例もある。RTに対しても責任は当然生じる。
私たちに人を裁く義務はないのだ。加害者の名前が晒されないことで私たちにもやもやしたものは残るだろうが、それが何だというのだ。遺族はもっと辛い中でいじめの撲滅を望んでいるのだ。もしいじめを憎むのであれば、いじめのタスクになるような行動は絶対にするべきではないのだ。
仮にいじめ加害者の情報が本当だったとしても
私が生まれる前の事件だが、福岡猫虐待事件を知っているだろうか。多くの人が実刑を求めたが「社会的制裁を受けている」という理由で減刑になり、執行猶予がついている。
仮に、もし本当に加害者情報が真実だったとして、いじめ加害者が後々裁かれる事になった場合「社会的制裁を受けている」という理由で罪が軽くなる可能性は非常に高い。特に今回は直接殺害したと認定されていないので、そのリスクは非常に大きいだろう。どう見ても今回の事件のいじめ加害者は更正不可能な将来監禁リンチ殺人犯しそうな予備軍にしか思えない中で、そういう事があってもいいのか?
つまり、貴方がいじめ加害者に厳罰を望むのであれば、特定祭りや拡散祭りに参加せず批判するべきだ。
もし「冤罪なんて知るかよ、そいつが誹謗中傷されようが危害を加えられようが関係ない。悪いのは少年法と教育委員会と旭川の警察だ。俺は加害者を裁きたいんだ」という人は、もうそれはいじめ加害者の側の人間なので、誰かを傷つける前に治療を受けてくださいとしか言いようがない。