へびだいすき
私はヘビ年のせいかヘビが割と好きだ。
私の家は築100年が来る日本家屋で複数の家族が同居できる広さを持っているのだが、よく梁にアオダイショウが棲みついていた。
このアオダイショウはこちらの地方では「ねずみとり」と言われて、家でも非常に重宝されるのだが、巨大になるとニワトリを呑むことがある。
そのため大きなアオダイショウは川に流すことになる。
ちなみにヘビは「水妖」と言われることもあり、川に流したからと死ぬわけではない。
単に遠くに逃がすだけだ。
祖父の弟に当たる人、私たちは「おじやん」と呼んでいた人がアオダイショウを川に流す役割を引き受けた。
アオダイショウは大きなものは150cmとか言われているが、3mくらいはあったのではないか。
「おじやん」は体にアオダイショウを巻き付け、頭としっぽを持って、近所の川に流しに行った。
そうしないと逃げられたり、手や場合によっては首に巻きつかれたりして往生するからだったのではないか。
家ではアオダイショウなのか、そうでないのか風呂上がりに脱衣所にいると天井に「どん」と何かが落ちる鈍い音をよく聞いた。
ちなみにヤマカガシや「はみ」と呼ばれるマムシはそこいらにうじゃうじゃいる。
ヤマカガシとマムシは比較的色が似ているのでときどき近寄って確認して、結果マムシだとさすがにぎょっとする。
飼っていた犬や猫もしょっちゅうマムシに咬まれるのだが、人間と違い、彼らは毒がまわっても意外に軽く済むようで、一度などは獣医に連れていったら、
「放っておいたら治ります」
とあっさり言われたことすらある。
人間には致命傷のことがあるので、今勤務している病院の中に生えている木には、「ハブノック」という忌避剤が吊るされている。
ハブノックがマムシに本当に効くのだろうか、という疑問はあるが他者に確認しても「分からん」という回答なので私もそのままにしている。