生者の情熱、死者の幽玄。 よさこいと阿波踊り。
みなさんは、よさこい祭りと阿波踊りをご存じでしょうか。
おそらく、「聞いたことはある。」「なんかで見たことはある。」
ぐらいの御認識ではないでしょうか。
この2つの踊りは隣接する高知と徳島の2県で行われる演舞でありながら対称的な存在です。
ご存じの方ばかりと思うのですが、よさこいで踊り子が手に持っているのは
鳴子です。
よさこい祭りはお盆の時期に行われます。
本来盆踊りとは帰ってくる死者と共に演舞するものなのですが、よさこいはその由来からして異なります。
歴史
1950年(昭和25年) 南国高知産業大博覧会で「よさこい踊り」が披露される。
1954年(昭和29年) 第1回よさこい祭り開催。
1957年(昭和32年) 地方車を使用し始める。
1972年(昭和47年) ニースのカーニバルに招待される。
1991年(平成3年) 前夜祭スタート。
1995年(平成7年) 後夜祭スタート。
もともとは「阿波踊り」に対抗する形で誕生しました。
鳴子は単に「リズム楽器」として使われたのかもしれませんが、
本来この道具は「追い払う」ための道具です。
よさこいの歌詞は
※ ヨッチョレヨ ヨッチョレヨ
ヨッチョレ ヨッチョレ ヨッチョレヨ
ヨッチョレ ヨッチョレ ヨッチョレヨ
高知の城下へ来てみいや(ソレ)
じんまも ばんばも よう踊る
鳴子両手に よう踊る よう踊る※
土佐のー(ヨイヤサノ サノ サノ)
高知のはりまや橋で(ヨイヤサノ サノサノ)
坊さん かんざし買うをみた(ソレ)
よさこいよさこい(ホイ ホイ)
二、(※~※くり返し)
言うたちー(ヨイヤサノ サノ サノ)
いかんちや おらんくの 池にゃ(ヨイヤサノ サノ サノ)
潮吹く 魚が 泳ぎよる(ソレ)
よさこい よさこい(ホイ ホイ)
三、(※~※くり返し)
土佐はー(ヨイヤサノ サノ サノ)
良い国 南をうけて(ヨイヤサノ サノ サノ)
年に お米が二度取れる(ソレ)
よさこい よさこい(ホイ ホイ)
よっちょれ、よっちょれは「どいてくれ、どいてくれ」の意味で、
演舞を邪魔しないでくれ、と言う意味です。
もちろん、単に「踊ってるから道を開けて欲しい」と言っているのでしょうが、ある意味、死者に対しては決別の意志を表しているようにも感じます。
実際「よさこい」は死者との融和を楽しむというよりは、生きている人間が自身の生を謳歌するための祭りで、最も楽しんでいるのは踊っている本人たちです。
対して阿波踊り
女踊りにしても、男踊りにしても招き寄せるような手の動きが特徴的です。
この阿波踊りで用いられる音曲は「よしこの」と言われ、歌詞は
ハアラ エライヤッチャ エライヤッチャ
ヨイ ヨイ ヨイ ヨイ
阿波の殿様 蜂須賀さまが
今に残せし 阿波踊り
ハアラ エライヤッチャ エライヤッチャ
ヨイ ヨイ ヨイ ヨイ
笹山通れば 笹ばかり
猪 豆喰て ホウイ ホイ ホイ
笛や太鼓の よしこのばやし
踊りつきせぬ 阿波の夜
ハアラ エライヤッチャ エライヤッチャ
ヨイ ヨイ ヨイ ヨイ
踊る阿呆に見る阿呆 同じ阿呆なら
踊らにゃ損々
ハアラ エライヤッチャ エライヤッチャ
ヨイ ヨイ ヨイ ヨイ
この歌詞からも理解できるように、回りの人全てを踊りに招き寄せています。
それは生きている相手に限らず、そこに存在する霊魂も招いているのでしょう。
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