山ペンギン 9 すりやけど
イマドの腹に火傷を負った。
前日、どうしても山女か岩魚が喰いたいと言い出し、腹が立ったので
イマドの腹の毛を多めにむしったあと、毛バリにした。
その後奴がアルバイトに出掛け、ホバークラフト掃除をした結果、
羽毛が薄くなっていた腹に火傷を負って帰ってきた。
痛そうかというとそうでもない。ただ、「見苦しい」感じがする。
そもそもいつぞや感電して全身が焼けたときだって本人(鳥)は平気だった。
だが、病院に行こう。
まず考えたのはあの「獣医」だが・・。
再度「イタチ」と言われたら、どう対処していいかわからない。
いちかばちか人間の病院に行ってみる。
「イマド様ー」
呼ばれた。
「保険証をお願いします。」
イマドが手渡す。
「持ってるのかよ!!」
そうだ。やつは働いている。アルバイトだが。
じゃあ、国保?こいつ、日本国民なのか?
「まさか住民税も払っているのか・・?」
さまざまな疑念が頭をよぎる。
そもそも、なぜ誰も違和感を感じないんだ・・。
皮膚科に受診した。
「いきおいよく滑ったための摩擦による火傷ですね。」
そのまんまの診断名が下った。
「抗生物質と塗り薬を出しておきましょう」
毎食後3日分の抗生剤と1日2回の抗生剤&ステロイドの軟膏。
「包帯を巻いていたほうがいいと思います。」
包帯・・・。
回りの羽毛ですべって巻けないだろう・・・。
心で突っ込んだが、看護師は手際よく傷の部分にガーゼを貼り、羽毛を避けて包帯を巻いた。
「毎日取り替えてくださいね。」笑顔の看護師。
オレがか?・・。
「新しく毛が生えるまで仕事は休んだ方がいいですね。」
「はい。有休あるので大丈夫です。」
オマエ有休あるのかよ!!
オレなんか、ブラックで18時間通しとかあるのに・・。
しかも公休すらまともに取れない・・。
先月なんか、15連勤があった。
主任の顔が浮かぶ。
「この人がいなければとうに辞めてるな・・。」
現実には「この人」がシフトを決めているのだが。
有休をもらったイマドはスーパーにでかけ、
何を思ったのか「キンメダイ」を買ってきてさばいている。
今日はキンメの煮つけか・・。
若干楽しみにしていたが、
帰ってきたら、味噌汁になっていた。
ところでイマドの有休は3日に及んだが、残りまだ2日あるということだ。
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