赤いチュチュと涙の道化師
ガラスの靴は砕け散る。
飛び散る飛沫(しぶき)で衣装は白から赤に。
踊る足は血で染まる。
哀れなるかな踊り子よ。
流れる血を紅にして、
唇に差して笑顔を作る。
嘲られ、笑われ
小銭を顔に投げつけられて
涙を流しておどけた芝居。
哀れなるかな道化師よ。
虚偽に塗れた虚無の中、
嘲笑の中でおじぎする。
カーテンコールの呼び声に、
並んだ踊り子と道化師を見る。
そして、すべてが嘘と目を覚ます。
哀れなるかな観客よ。
汝らの見たものはすべて虚偽。
嘘偽りのこの世界。
悲劇だけが心に刺さる。