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山ペンギン 52 釣りをしよう。

オレは釣りが趣味だ。

渓流に行って、せせらぎを聞きながら自然に溶け込み、竿を振る。

それがイマドが来てからは釣りが義務になり、釣れなくなると焦ってしまうようになった。

「はあ…今までのように純粋に楽しめないのかな…」

イマドの腹毛をむしっているだけに、釣れないと気持ちが落ちてくる…と言うかなんでそれほどイマドのために魚釣らないといけないんだ…

分散投資とコンビニバイトで毎日マグロの柵は買えるくらい稼いでいると言うのに…

おっ!当たりがあったが、竿を引くタイミングがずれて…バラしてしまう。

「あなたが逃がしたのは銀シャケ?それとも金目鯛?それとも鉄干?」

後半海のもんじゃねえか。

久しぶりにそのネタ絡みの女神が出た。

「女神さま…そこに立たれると魚が逃げて…」

「あら、ごめんなさい…」

ジャブジャブジャブ。
「よっこいしょ。」

…もう帰ろうかな…。

「もったいないですわ。私、誰も来ない沢を知ってます。」

「本当ですか?」
「25kmくらい歩きますけど。」
「帰ります。」

「あ、氷室に先月の魚が凍ってますわ。持って帰ります?」
「それはありがたいです!」

少し歩いていつぞやの氷室に入る。

「どうぞ。」

…………2m近いシイラが凍っていた。

イマドが食べるかどうかわからないが、そのシイラの一部を切り取って四角い柵にしてそのまま持って帰ることに。

「家に着く頃食べ頃ですわ。」

それはありがたいが、そのシイラは誰が釣って誰が食べるのか、

気になってたまらないが聞きそびれてしまった。


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