【Vol.4】エンパワー①:与える人であれ
前章のネットワーク・インスパイヤのキーワードを通じて、世界で活躍するグローバル女子(グロ女)のイメージが、少しずつ沸いてきたのではないでしょうか。
(前章をご覧になっていない方は、以下をどうぞ)
● Vol.2・ネットワーク編
● Vol.3・インスパイヤ編
本章では、3つ目のキーワードとなるエンパワーについて説明します。
エンパワーは直訳すると(力や権限を)与えるという意味ですが、それによって個人の自律性を促すことにもなるという視点から、自律性の促進といった意味でも使われます。
本章では、一人一人の自立性促進に寄与という点に着目していきましょう。
与える人であれ ~Give and Give~
Give & Take(ギブ・アンド・テイク)というフレーズ、誰しも一度は聞いたことありますよね。何かを与えたらその見返りに何かをもらう、また何かをもらったらお返しに何かをあげるという、相互補助の意味です。
今回私はここから更に一歩踏み込んで、グロ女の皆さんに、Give & Take(ギブ・アンド・テイク)ならぬ、Give & Give(ギブ・アンド・ギブ)というアプローチをご紹介したいと思います。
これは「Take(テイク)としての見返りを期待せず、自ら進んでGive(ギブ)をする人になりましょう」といった意味がこめられています。
確かに、いきなりそう言われてもピンとこない方も多いかもしれませんね。
では、まず私の実体験をご紹介しましょう。
見返りを求めないやさしさ
時はさかのぼって、1999年。私がアメリカに留学した時のことです。
初めての留学ということで、たった一人で飛行機に乗って、アメリカの地、それも南部ルイジアナ州のド田舎にある、モンロー空港に降り立ちました。
予定では、渡航先の大学の担当者が空港まで迎えに来てくれているはずだったのですが、空港についてもなんと誰もいない。当時はUBERのような配車サービスアプリなどもないし、渡米したばかりで携帯電話も持っていなかったし…。さてどうしよう、と困り果ててしまいました。
オロオロしてたら、そこにいたある一人のアメリカ人男性が私を見つけて、どこに行くの?と声をかけてくれたのです。
まだ英語もろくに話せなかった私ですが、何とか事情を説明すると、
「オッケー、ちょっと待って」
といって、すぐさまタクシーをキャッチ。運転手さんに、私の行き先の大学と、留学生課の場所を伝えてくれたのです。
あの助けがなければ、私はアメリカ到着初日に一体どうなっていたことか。今思い出しても感謝しかありません。
たくさんのやさしさ
その日以外にも、私はアメリカで、右も左もわからないような日本人女子留学生を優しく助けてくれる人達に何度も出会いました。
学生寮の申込登録をを手伝ってくれた人。
スーパーでの買い物を一緒にやってくれた人。
私のつたない英語を理解しようと、一生懸命耳を傾けてくれた人。
ルイジアナ名物のレストランに連れていってくれた人。
履修登録手続きを一緒に進めてくれた人。
運転免許の取り方を教えてくれた人。
週末のバーベキューに誘ってくれた人。
バスや電車の乗り方を教えてくれた人。
ローラースケートで遊んでくれた人。
ここには書ききれない、たくさんの温かい心遣いが支えてくれたのです。
見返りを求めない、一人一人の優しさがあったからこそ、今の私がいます。そして、その時に助けの手を差し伸べて下さった方々の顔を、私は今でも覚えています。
これから世界で活躍するグロ女の皆さんも、このように与える人であってほしいのです。
どこに住んでいるかは関係ありません。日本にいても、海外にいても、いつでもどこでも与える人になれますよ。
確かに、ドメスティック女子(ドメ女)がそう思うのも無理はないかも。
でも、ちょっと待って!興味深いデータをご紹介しましょう。
与える人になろう
ペンシルバニア大学ウォートン校の組織心理学者、アダム・グラント氏の著書「Give and Take: A Revolutionary Approach to Success」によると、人は主にGiver・Taker・Matcherの3タイプに分けられるそうです。
さて、この中で、会社の組織で一番成功したタイプはどれでしょうか?
彼の研究によると、この中で最も役職と給与が高かったのは、Giverの傾向をもった人達だったそうです。
GiverよりもTakerの方が自分の利益のために行動するので、成功しやすいのでは?と思った方もいるかもしれません。確かにTakerは短期的には有効なようですが、「あいつは自分のことしか考えない利己的なやつだ」と周囲から見られるようになり、結局長期的にはマイナスの結果になるとのこと。
成功するには自己中ではダメってことですね。
ミレニアル世代の「エンタイトルメント」
1980年代前半から1990年代半ばまでに生まれたミレニアル世代を皮肉って表現する、Entitlement(エンタイトルメント)という言葉があります。
直訳すると権利という意味で、
「私はこの権利を与えられて当然」
「あなたは私のためにこれをしてくれて当然」
といった態度を表現する言葉です。
まず私に必要な権利を与えなさい。そしたら私はあなたへお返ししますよ、という発想のようです。
言いたいこともわからなくもないのですが、これではまるでTake & Give(テイク・アンド・ギブ)。
これだから今の若者は…といった、ステレオタイプな判断をするのもいかがなものかと思いますが、そう感じている人が多いのも事実です。
グロ女の皆さん、自分中心に考えるTakerではなく、与え続けるGiverなマインドを持ち続けていきましょう。これこそ、エンパワーの第一歩です!
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