継続してインプットしたことを今ここで一気にアウトプットした結果

来月98歳になる女性患者さんのところに週一度、鍼灸マッサージ施術に伺っている。

年末年始の間に、軽い脳梗塞を
発症したと娘さんから伝えられて
お顔を見るとあまり変わりないように見えたが立ちあがろうとして
立ち上がれなかった姿を見て

いつもと違うと感じた。

そして、辿々しい声で
「立、ち、上がる、の、が、
こ、わ、い...」今にも泣き出しそう。

娘さんにしがみついて、やっと立ち上がる。歩き出せば杖を使って
ベッドまで自力で歩けた。

ゆっくりといつものように
体を確認しながらほぐしていく。

とにかく不安でシクシクと泣きながら、また辿々しい声で訴える。

いつもと違う。精気がない。

このおばあちゃまは、いつもマッサージ中に昔の思い出を昨日のことのように鮮明に何度も何度も聞かせてくれた。

あまりに鮮明に話してくれるので聞いていてその情景が思い浮かぶほど。

何度も聞いているうちに、私もその場面を見てきたみたいに覚えてしまった。

今日のおばあちゃまは、不安でいっぱい。そんな顔をしていた。

だから、今日は私がおばあちゃまに昔の話をし始めた。

すると、おばあちゃまは
目を大きく見開いて私を見た。

「そう、そうなのよ！昔は...」

そして、またいつものように
昔の話をしてくれた。

女学校を無遅刻、無欠課、無欠席。
しかも5年間。家から1時間かけて電車とバスと徒歩で通った話し。
父親が毎日靴を磨いてくれて送り出してくれた話し、etc...。

イキイキと大きな声で話す
おばあちゃまは、いつもの
おばあちゃまだった。

あぁ。戻ってきてくれた。

もっともっと、昔の話を聞かせてください。また来週も元気なお顔を見せてください。

いつもインプットしていたことを
アウトプットしたことで、意外なところで役に立った。

なんでも無駄なことは、ないなと
今日強く感じた。