さよならGoodbye#20
第20章 そして由美さんと・・・
その日は朝から雨が激しく降っていた。
「せっかくの休みの日なのに・・・」彼は、そうつぶやきながら、ベッドから起き上がった。
玄関ドアの隣の窓を少し開けて隣の香山里佳子の部屋の様子を伺う彼・・・
その時、ガラステーブルの上に置いていた携帯電話が、着メロのメロディを流した。
当時、流行っていたU2のSundayBloodySundayと言う曲だった。
「はい、もしもし・・・」
しばらくの無言・・・
「もしもし」かよわい声での返事があった。それは由美さんだった・・・
「由美さん?由美さんでしょ?ずっと心配してたんですよ!でも連絡はしないで欲しいと
ご家族の方から言われていたので・・・」
「ごめんなさい・・・もう会わない方が良いかなと思っていたの・・・でも・・・」
「でも、本当の気持ちを伝えたくて・・・」
「本当の気持ち?・・・」
「うん、会えないかな?」
「もちろん、今から行きますよ!どこに行けば良いですか?」
携帯から激しい雨の音・・・
「今ね・・・晃君のアパートの前・・なの」
「えっ?」
あわてて、外に出る彼、、傘もささず、、
「由美さん、、、」
「晃君、、、私、、、突然ごめんなさい」
「とにかく、こんなところじゃ何なので、、、」
「うん・・・」今にも泣きだしそうな彼女の肩を抱く彼・・・
雨は一段と激しくなっていく・・・