ふくのこと(葛藤)
自分の猫に注射針を刺す(=痛いことをする)という行為は少なからぬ葛藤がありました。
猫は私が保定袋を手にするのを見ただけで、いえ見なくても準備の気配を察しただけで逃げ出していましたから皮下補液は猫にとって嫌なことだったのでしょう。
猫が嫌がることをする自分。捕獲して保定袋で抑制して注射する私。
大義があるとしても正当化できない感情がいつもつきまとっていました。
ごめんねといいながらできるだけ痛くしないようにと集中して、輸液剤を入れる最中はかわいいね、えらいなあ、がんばってるね、こんなすごい猫見たことないよ、もうすぐ終わるからね、などと声をかけ続け、空いた左手で頭やあごを撫でたりねこじゃすりでこちょこちょしたりしてご機嫌とりを欠かしませんでした。
補液が終わったら好きなおやつをほんの少量ですがご褒美にあげるようにしていました。
猫は保定袋のひもとファスナーをゆるめると漫画ならスポーン!という効果音の文字が入るような勢いで袋を脱ぎ捨て、その勢いのまま部屋の隅に逃走するものの、すぐにおやつおやつとUターンして戻ってきました。
おやつを食べ終わるとそのときそのときの気に入りの場所で毛づくろいしたり、くつろいで過ごしていました。
補液の効果で身体が楽になっていたのだと思いたいです。
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