スタートアップにもESGが必要な理由
ESGは大企業や投資家だけが気にかけていれば良いものでしょうか。
いいえ、違います。
スタートアップにも初期からESGの観点は必要と言えます。その理由を解説したいと思います。
1. スタートアップの事業活動は利己的のみでは限界あり
起業する動機として、お金持ちになりたいから、周囲に認められたいから、などを一番に挙げた場合、その願望は叶えられる可能性はありますが、企業の目的が”自分の為”である際には限界が生じます。もちろん、誰かの課題を解決する事がビジネスですが、特に急成長を目指すスタートアップの場合には、多くの人の賛同を得る必要があります。
はじまりは、創業者の経験や想いからであっても、考えるべきはその製品やサービスのユーザーであって、自分本位では多くの賛同を得る事は難しいでしょう。
2.企業文化は一日にしてならず
企業の雰囲気や文化はそこに関わる人々によって、長時間をかけて形成されていきます。ESGへの取り組みは、企業文化やビジョンの一部であり、必要になった時にいきなり出来上がるものではありません。何故それをやるのか、を社内の全員が納得して浸透するには、上場準備に必要だから、投資家に言われたから、などの消極的な理由ではなく、トップが積極的にコミットして早期から取り入れておくべきものでしょう。
3.社会・世界の動きを無視できない
スタートアップは、スモールビジネスとは違って、社会的影響や責任がより大きなものだと言えます。気候変動や人権問題などは全世界で注目されている人類共通の課題であり、政府のみならず、特に先進国における企業に於いては、そういった社会問題を無視する事は企業責任を無視する事と同義となってしまいます。スケールアップを目指すスタートアップとしては、ごく初期の段階から、業種の如何を問わず、自分達が目指す社会的な立ち位置というものを意識しておく必要があります。
4.スタートアップはより多くの応援を必要とする
すべての事業では、もちろん多くの応援が必要ですが、スタートアップの場合には、株主、顧客、社員、仕入先、地域社会など、すべてのステークホルダーからの応援があってこその急成長実現が背景にあると思います。利益追求に走り、環境や人々にネガティブインパクトを与えながら拡大する事業では、応援者が減る事はあっても、増える事は難しくなるでしょう。もちろん、増収増益の体制を築く事は事業成長の重要事項ですが、その手法は倫理的で正しく統治されたものである必要があります。
5.リスク管理に効果あり
ESGは、環境への配慮、社会的課題への取組み、ガバナンスを主とするもので、全体的な企業の在り方、取組み、管理を包括して考える事ができます。何が正しいか、の指標がある事で、事前にリスクを洗い出して対処するという意味では、大きなリスクヘッジ要素となります。後で大きな問題になるよりは、事前に問題となりそうな箇所を見つけ、ごく初期の段階で対処することが出来れば、経営へのネガティブインパクトを回避することが出来ます。
勢いでガンガン進みたいスタートアップではありますが、行く先にどんなリスクが潜んでいるのか、は早めに知っておくに越したことはありません。
まとめ
私自身もスタートアップ創業者で、同時に上場企業の社外役員であり、またベンチャー企業が上場するまでを従業員として経験しています。その経験を踏まえて、いかなる業種のスタートアップであっても、ごく早い段階からESGの概念を認識した方が良いと考えています。
利益に直結するものではないと考えられがちですが、長期目線では、このESGが欠如している企業では、財務的にも大きなリスクを孕むことにも繋がります。非上場だから、まだシード期だから、という事ではなく、事前にこの概要を知っておく事は後の自分達の為になるものであるのは間違いありません。
おわりに
私が創業したスタートアップ、サスティナシードは社会問題に取り組む皆さんを応援し、持続可能な社会を実現する事をミッションとしています。
現在はサスティナビリティに特化した購買・寄付型クラウドファンディングプラットフォームとSDGsに取り組む企業の求人情報サイトのベータ版を運用しています。ご興味のある方は是非お気軽にお声がけください。