ジェンダーギャップとインポスターシンドローム
日本のジェンダーギャップ問題については、オリンピック組織委員会の元委員長の発言を機に、「それはおかしい。」とおかしなものをおかしいと言えるようになってきたように思います。
しかしながら、世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数によると、わが国日本は2020年と2021年では、156か国中、121位から120位という、(2020年は153か国)わずか1ポイント上昇したのみで、相変わらずの状況です。
ビジネスのシーンでも、思い切りバイアスがかかった状態で女性の仕事のポジションを位置づけている企業も数多く存在しているのではないでしょうか。
女性は出世したがらない?
経営者やマネジメントポジションの男性が、「管理職比率を上げるにしても、女性は出世したがらないのですよ。」と話すのを何度か耳にしてきました。果たしてこれは事実なのかと調べてみたところ、アデコの調査記事がありました。
実際に管理職に就いた女性の85%が上司からの打診を受け入れることで管理職に就任しているそう。そのうち25%はしぶしぶ引き受けたと回答していますが、引き受けたのは事実。自発的に昇進を希望したのは約10%。
この調査の対象がそもそも管理職であった事を差し引いたとしても、「女性は皆出世したがらない」という訳ではなさそうです。
しかしながら、男性管理職の方々が意味するような、積極性に欠けるような箇所が存在するのも事実なようです。
インポスターシンドロームって何?
積極性に欠けるように見える箇所を探ってみると、インポスターシンドロームではないか、という事が見えて来ました。
私が初めてこの言葉を聞いたのは約2年前のことです。元外資系銀行CEOの方に教えて頂き、早速調べてみたのでした。
インポスターシンドロームを直訳すると、インポスター=詐欺師 シンドローム=症候群 「詐欺師症候群」。誰に対する詐欺かと言うと、なんと自分自身に対してだそう。
「私なんて大したことない」「これが出来たのは自分の力ではなく、周囲のおかげ」などと考えてしまう、自分を過小評価してしまうということなのです。
●十分なスキルや経験があるのに、何となく自信が無い。
●自分のキャリアに自信がない。
●仕事で成功した時、自分の力ではなく、運が良かっただけ、サポートのおかげと考える。
男女関係なくこのように感じている人が居るそうですが、特に女性に多い傾向のようです。
私自身、2002年にガラスの天井を突破したとマガジンの説明に記載していますが、実のところ当時勤めていたベンチャー企業の社長から、「次は何がやりたい?」と聞かれた際に、「社長のアシスタントになりたいです!」と答えていたのです。幸いにも(笑)それを無視して子会社社長に抜擢してくれた経営陣の皆さんに今では大感謝です。
インポスターシンドロームの弊害と原因
インポスターシンドロームの最大のデメリットは、失敗や批判を恐れて挑戦をやめてしまうこと。失敗した際に、「やっぱりね。」と考えてしまい、それ以上を目指さなくなってしまうそう。裏返すと、失敗した時のセーフティーネットのように、いい訳として自信のなさを使ってしまうという状況が生まれてしまうのです。
何故、自信のなさを感じてしまうのか、の原因は無意識の中にあるようです。子供時代の経験、家族からの批判、社会、文化など、トラウマのようになって保守的に居ようと考えてしまうそう。
どうやって克服する?
このインポスターシンドロームを克服するには、以下が大事だそう。
1.自分が成し遂げた事を素直に自分で褒めてあげる。
「良くやったね!」「凄いね!」と言われた際、「ラッキーだっただけよ。」とか、「xxさんのサポートのおかげです。」と今まで謙遜して答えていたのを、素直に「ありがとう。」と受け取ってみましょう。
2.今に集中する。
後先の事を考えて、起きてもない事に不安になったり、変える事の出来ない過去の失敗を思い出したりせず、「今」目の前にある事だけに集中しましょう。
3.完璧主義をやめる。
完璧な人は一人もいません。ちょっとぐらい間違えたり、失敗したり、ミスしたりすることは当たり前。間違えたなら、それを糧にして次はもう少し上手くやろうと思えばOK!
4.自分への期待値や責任が重い時には優秀な人に頼ってみる。
自分では苦手な事でも、それをすらすら楽にやってのける人が居るものです。出来ないことに押しつぶされる前に、出来る人と一緒に乗り越えるようにしましょう。「ちょっと教えて欲しいのだけど」「この箇所を助けて欲しい」など、一声かけてみましょう。
5.自分を褒める。
人に褒められると嬉しいように、自分でも自分を褒めてあげましょう。人前での発言ではなく、家で鏡を見ながら、「頑張ったよね!偉いぞ私!」と事あるごとに是非言ってみてください。気持ちがきっと上がるハズ。
失敗や批判は誰でも怖いものですが、それはチャレンジした人だけが知る事の出来る結果で、とても貴重な物なのです。
まとめ
ジェンダーギャップの克服は、組織や社会全体のバイアスをなくして考えること、個人が自信を持つことがスタートラインではないかと思います。
なかなか瞬時に変わるものではありませんが、少しずつでも皆にとって良い状況になるよう、発信を続けて行きたいと思います。