ラメシュワラム観光 l 思ったよりラーマーヤナだった。
ラメシュワラム、タンジャーヴール、ティルチラパッリ旅行記。前回はこちらです↓
無事パンバン橋を堪能し、ラメシュワラム(ラーメシュワラム)に到着した。
ラメシュワラムは、古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」の舞台で、ラーマ王子が魔王ラーヴァナにさらわれた妻シーターを助けにランカー島(スリランカ)へ渡る際に橋をかけた場所、とされている。
ちなみにこのラーマ王子はヴィシュヌ神の化身である。
ラーマーヤナは簡単に言うとマリオみたいな話。奥さんを魔王にさらわれた王子が、弟と協力して魔王の住処へ奪還しに行く。
魔王の住処ランカー島に行く過程で、無敵の猿、ハヌマーンが仲間になるのだが、この辺りのエピソードは桃太郎に近い。
さらにこのハマヌーンはかなり無敵で、孫悟空のモデルになったとも言われる。
ハヌマーンはヒマラヤの上の方をスパーンと切って飛んで持ってきたりするとんでもない能力の持ち主だ。もうハヌマーンがひとりで全部やったらいいんじゃんと思う。
ということで、「ラーマーヤナ」は私はマリオ+桃太郎+孫悟空の話、と記憶している。でも本気で読むとたぶん全然違って面白いらしいので、興味がある方はちゃんと本を読んだ方がいい。
もっと奥が深くて複雑なんだと思う。たぶん。
ラメシュワラム駅
終着駅なので、長旅をしてきたインド人がたくさん降りる。
ホームでごはんを準備して大胆に食事していたり、駅の椅子に洗い物を干していたり、だいぶ自由である。
チェンナイに比べると、日差しが強くてとにかく暑い。
我々は駅前で前日入りしたドライバーと待ち合わせており、無事合流できた。まずは朝ごはんを食べに近くのカフェレストランへ。
駅前で前日入りしたドライバーと待ち合わせて、まずは朝ごはんを食べに近くのカフェレストランへ。
レストラン Arudra Veg Restaurant
ここはドーサの種類が豊富。他のインド店と同様に not available が多いのだが、マサラドーサと野菜が入ったドーサが美味しかった。
メニューが多いお店にあるあるのだが、いろいろ調べて味と食材のバランスを考え抜いて注文をするとほとんどが「not available」で、結局選択の余地もなかったという結果になる。
最初からできないものを消しておくとかしておいて欲しい。
朝食後、まずはラメシュワラムの先っぽ、スリランカの近くまで車で移動した。
先っぽに行くまではきちんと整備された真っ直ぐな道路を走って行ける。両側が海で、とても眺めがよい。途中、古びた漁師の家がいくつか見え風情がある。
ラメシュワラムの先端
しばらく走ると、みんなが目指すラメシュワラムの先端に着く。ここは家族で記念撮影しているインド人観光客でいっぱい。
背伸びするとスリランカが見える!とはしゃいでいたら、25 km 先だから見えないよ、とインド人に真面目に返された。
ちなみにここインド南東端とスリランカを結ぶ7つの島をアダムスブリッジ(タミル語でセートゥ)と呼ぶ。
「ラーマーヤナ」で主人公ラーマ王子がこの島を飛び石のようにしてランカー島に渡ったと言われる。
望遠鏡を1人20ルピーで覗くことができて、解説のおじさんが「真ん中に見えてる突起がスリランカの灯台だ」と説明してくれる。
確かに小さな突起物が見えるが、事実関係は確かめようがない。
早く行きたいなスリランカ。
少し離れたところでは泳いでいる若者たちがいた。
漁師たち
市街の方へ戻る途中、漁師たちが作業しているのを見かけた。
近くまで行ってみると、鰯のような魚がかかった網を砂浜の上でひたすらバッサバッサ動かして、魚を地面に落として集めるという作業をしていた。
けっこう勢いがあるので、動画を撮っていたらこっちに鰯が飛んできた。
見ているとなかなか面白いが、もうちょっと違う方法はないのか。
漁業を見た後少し走ると、砂浜に遺跡のようなものを発見。
この近くの道路には出店が出ていて、貝で作ったお土産などを買える。
ただ、ここは割り高で、もうすこし陸側の駅舎跡地にあるマーケットの方が品数が多くて安い。
Dhanushkodi Beach ダヌシュコディ
このあたりは最果ての漁村ダヌシュコディ。
イギリス領時代にはダヌシュコディまで鉄道が通じ、船がスリランカとの間を往来していたそうだ。
現在は静かな白い砂浜が広がり、廃墟となったキリスト教会も見られる。
道路からビーチにかけて、お土産屋さんが商店街のように並んでいてとても活気がある。どこでも似たような物を売っているが店によって値段が違うので注意。交渉必須だが、英語はあまり通じない。特に貝の工芸品はかなりきれいでクオリティもいいので、ギフトに喜ばれそう。
海側へ歩いて行くと昔の駅舎や教会が遺跡として残っている。
海風にさらされてかなりぼろぼろだが、その周りが色鮮やかな貝製品と観光客で賑わっているので、そのコントラストがなんとも粋である。
ビーチは白浜で割ときれいなので泳ぎたくなるが、インド人がみんな服全部着て泳いでるので、寄せても寄せなくても勇気がいる。
ここでは珍しい樹脂のドリンクを飲んだ。ソーダで割って氷で冷やしてくれるので普通に美味しかった。
衛生面は個々の免疫力によるので保証できない。
KothandaRamar Temple コザンダラーマール寺院
ここは完全に江ノ島。
海上に浮かぶように小さな島があり、中にはラーマーヤナ所縁の寺院がある。魔王ラーヴァナの弟ヴィヴィシャーナがラーマ王子に降参した場所だと言われている。その流れでランカー島に橋を架けることになったとかなんとか。ということで、この寺院にはラーマーヤナの絵が飾ってあったりする。
水に浮いた石が見れると聞いて寺院に入ったが、なかった。
以前はあったが今は博物館に移ったらしい。
水に浮いた石というのは、ラーマ王子がランカー島に行くために橋を架けるときに使っただとかなんとか。
ちなみにこの神社の周りには売店があり、特にココナッツをその場で割ってもらって飲める。緑よりオレンジ色の方がちょっと高くて甘い。70ルピー
江ノ島のあとはランチへ。
ランチのあとにクルージングをする予定であったので、その周囲でシーフードを食べられるところを探した。
南東端のラメシュワラムだけあって、建物の壁がカラフル。窓の飾りがおしゃれな家もちらほら
JKR Resort & Spa内のレストラン
残念ながら数カ所のシーフードレストランはさまざまな理由で入れず(作れる料理が限られているとか)、四人とも次の旅が控えており、この旅で万が一にも体調を壊すことがあってはいけないので、屋台も避け、結局ホテル内のレストランに落ち着いた。
メニューをみるまで気づかなかったが、ベジレストランだった。
かなり上品な場所で、スプラウトとカッテージチーズの入ったプロテインサラダというオシャレな代物を食べることができた。
グレイビーもナンも美味しかった。中庭にはプールがあって宿泊客が気持ち良さそうに泳いでいた。ラメシュワラムで数少ない高級ホテルなんだろう。
Siva Boating
このあたり一帯をクルージングできる。
何時に出発するかの時間の記載はない。
待っている人に聞くと、最低20人客が集まると乗船開始らしい。
待っている間に遠くの沐浴場を眺めていると、水に入って行く人がたくさん見えた。
そのあとすぐに小さなバスで団体客が来て、乗船となった。
スピードはかなりゆっくりで、ちょっと沖まで行ってUターンして返ってくるのみ。観光地ツアーやアナウンスなどは一切なく、30分くらいひたすら走ってるだけである。
沐浴場や、ラーマナータスワーミ(Ramanathaswamy) 寺院のゴープラムが沖から見える。
ちなみに桟橋のボートに向かって右側、よーく見ると海底に小さなリンガとガネーシャの石像がある。
ラーマナータスワーミ Ramanathaswamy 寺院
「ラーマーヤナ」によれば、ヴィシュヌ神のアバターであるラーマ王子は、スリランカで魔王ラーヴァナと戦うときに犯したであろう罪をすべて許してほしいとシヴァ神に祈っている。
時間がなくて外からみるだけにしたが、ラーマナータスワーミ寺院の本殿にはふたつのリンガ(シヴァの象徴)があるらしい。ラーマ王子が無敵の猿ハヌマーンにリンガのための石を探しに行かせている間、「時間かかるわ」と言ってシータが浜辺の砂でリンガを作ったそうで、結局ふたつとも祀られるようになった。
そんなこんなで、本殿のリンガはシヴァ神、ラーマ王子はヴィシュヌ神なので、この寺院はどっち派にとっても聖地となっている。
ちなみに寺院内には22の聖なる泉があって、巡礼者は泉に入って身を清めるらしい。なので回廊は水浸しらしい。
沐浴場 Agni Teertham
ガイドブックに載っている有名な沐浴場である。
インド洋とベンガル湾が交わる位置にあり、日の出に合わせて沐浴する巡礼者が多いらしい。
訪れたのは夕方だったがかなりの人だったので、早朝はさぞかし大盛況だろう。
沐浴中の巡礼者をじっと見ていると、頭まで沈んでは出て沈んでは出てを繰り返していた。
なんだか苦しそうだったが、これが儀式なんだろうか。
沐浴した後どうやって帰るのか不思議だったが、向かいにちゃんとシャワーと更衣室があった。
パンバン橋 Pamban Bridge (道路)
そろそろ夕方なのでタンジャヴールに向かう。
ラメシュワラムに来る時は線路の方のパンバン橋を通ってきたが、平行に道路の橋もかかっている。海の上の道路から360度海が見渡せるのだ。
隣には電車で乗ってきた線路があるが、普通に人が歩いている。あの人たちは何処から来たのか。。
新たに工事中の橋もあり、工事現場を眺めることも出来る。
電車が通る時間に合わせるとまた一興。
夕暮れはなんともムーディーだ。
電車が通る時間に合わせられるとまた一興。
ここでラメシュワラムともお別れだ。
想像していた以上に、ラーマーヤナ所縁の場所が多かった。
「ラーマーヤナ」は史実から生まれたと言われている。
紀元前1500年ごろからインドに侵入したアーリア人が、南方の原住民を制服していく過程の英雄譚をもとにつくられ、登場する悪魔はインド原住民なんだそうだ。ラーマ王子の南進はアーリア人の南進の史実と重なる。
2世紀ごろに現在のような神話としてまとめられ、やがてラーマ王子はヴィシュヌ神の化身と見られるようになった。
しかし、このラーマーヤナにはさまざまなバージョンがあり、南インドでは魔王ラーヴァナが好意的に描かれていることが多いらしい。中には苦行を重んじるラーヴァナが正義役で、北インドから悪のラーマ王子が攻めてくるという逆設定もある。
こういうところからも、北インドのアーリア人、南インドのトラヴィダ人の対立の歴史がみて取れる。
インドで知らない人はいないラーマーヤナだが、地域によって話が全然違ったりするのかもしれない。
いろんなインド人に由来を聞いてみると面白そうだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?