エジプト旅行⑥ l ルクソール東岸観光、カルナック神殿は広大すぎて迷子になる
午前中は西岸で王族の墓や祭殿を堪能したあと、午後は東岸を回るスケジュールになっていた。ルクソールは見どころが多いので1日で全部回るとかなりハード。でも夜にはカイロに戻る飛行機に乗らなければいけないので、好奇心を引っ張り出して頑張ってついて行くしかない。
古代には「死者の街(ネクロポリス)」と呼ばれた西岸に対して、東岸は「生者の都」と呼ばれ、西岸と比べて現在も生活の中心として華やかなところである。ホテルやレストランも多い。中でもカルナック神殿とルクソール神殿が見どころだ。
ガイドさんはこれから行くカルナック神殿がエジプトで一番すごいから楽しみでしょー!!と言って興奮気味に語ってくれたが、すでに午前中で疲れ切った我々との温度差をすごく感じた。
でも確かにカルナック神殿はスケールが違った。
カルナック神殿
ガイドさんも自信をもって勧める、エジプト最大級のカルナック神殿。2000年かけて増築されて今の広さになったそうだ。
日本人のガイドブックでさかれる割合が少ないのが不思議なくらい、歴史を感じさせる素晴らしい建築だった。
カルナック神殿は、「アメン大神殿(巨大)」「ムート神殿」「メンチュ神殿」からなるが、一番有名なのは広大なアメン大神殿なので、アムン大神殿をカルナック神殿として観光する人が多いようだ。
中王国時代には、地方小集落だったテーベ(現ルクソール)で地方神であるアメン神を祀る神殿だった。テーベが首都になるとアメン神は太陽神ラーと合体し国家最高神になる。
古王国時代にはファラオ自身が神とされていたが、新王国時代にはアメン神が絶対的神で、ファラオはその神の庇護のもとにある存在となった。そのため、歴代のファラオはこのアメン神信仰の地に、神殿、オベリスク、神像などを立派に建てることで信仰心を示したそうだ。
ハトシェプスト、トトメス3世、セティ1世、ラメセス2世などが主な神殿を建設し、長期間にわたって増築を重ねているためまとまりのない感じになっている。
カルナック神殿は壮大で全てがすごいが、中でも大列柱室がすごい。134本ものレリーフみっちりの柱が整然と並ぶ。アメンヘテプ3世が着工し、ラメセス2世が装飾したこの大列柱室は1285年頃に完成したそうだ。柱に刻まれたレリーフも美しいが、なにより壮大な大きさの柱が並ぶ様子は壮観。
柱は傘のように上部が広がったものと、蕾のようなものがある。太陽が当たる部分にある柱は花が咲く様子を表すため上部が広がっているらしい。
続くハトシェプスト女王のオベリスクも圧巻である。
女王がアメン神とトトメス1世に捧げたというオベリスクは、エジプト国内で最大の29.56m
当時は先端に金箔が塗られてキラッキラだったとか。見てみたい。。
オベリスクの手前で右側に曲がると、聖なる池が見える。
ここにはスカラベの石像があり、周りを回ると願いが叶うとか。
先ほど書いたように、この神殿は古代エジプト中王国時代、新王国時代、グレコローマ時代に渡って建築され続けたので、やたらと広い。
途中からはちゃんと整備されていないエリアになっていて、よくわからないまま自由に散策していると迷っていつのまにか立ち入り禁止区域に入ってしまう。このカルナック神殿は係員がたくさん見回っていて、意外とちゃんと怒られた。
さて、カルナック神殿(アメン大神殿)を散策したあとは、その副殿として建てられたルクソール神殿へ向かった。
ルクソール神殿
アメンへテプ3世とラメセス2世により建築されたバランスの良い神殿で、こちらはあまり大きくないため観光しやすい。市街地の賑わった界隈にあるので観光にも便利。ということで、カルナック神殿よりこっちの方が人気があるのかもしれない。欧米人の観光客もたくさんいた。
暗くなると全体的にライトアップされて、入口付近にディナー会場が設置されることがある。これはツアー会社が主催していて、タイミングよく申し込めればここで素敵な屋外ディナーをいただけたりするらしい。
ルクソール神殿を建てたアメンへテプ3世のあとのファラオはお気に入りのアクエンアテンであるが、このファラオはアメン神信仰を捨てアマルナに遷都したため、この神殿は放置され荒れに荒れ果てた。
次にファラオを継いだツタンカーメンが修復して一部を完成させ、その後の圧倒的ファラオ・ラメセス2世が仕上げた、という歴史を持つ。
途中で主軸が10度ずれているのは、神殿の正面を太陽が昇る東側に向けるためだったそうだ。
入り口にはラメセス2世が造ったオベリスクがそびえ立っている。当時は2本あったが、現在は1本しかない。もう1本のオベリスクはムハンマド・アリがフランスにあげてしまったので、現在パリのコンコルド広場にある。
ムハンマド・アリはオベリスクをあげたお礼としてフランスから綺麗な時計台をもらって、シタデルに設置している。
実は2本ともあげてしまうところだったそうだが、1本目が渡ったあとでフランスとエジプトの仲が若干悪化してきたため、1本だけで済んだらしい。
ルクソール神殿の個人的な見どころは、ツタンカーメンと王妃の像。あまり大きいものではないが、進んでいくと右側にある。
この像の後ろに回ると、王妃の右腕の指先がツタンカーメンの肩の方まで回されてるのが見える。なんともほっこりする。
そしてここ、何故かイスラム寺院が内部にある。後の時代に建てられたものらしい。神殿が発掘される前にうっかり建ててしまったという話もあるが、ガイドさん曰く、わざとここに建てたんだろうとのこと。その辺の経緯は深掘りしなかったが、ムスリムが多い国なので、そういうこともあるのかもしれない。
奥へ行くと、これまた何故かキリスト教を感じさせるフレスコ画がある。
ここはローマ時代に改造された部分で、ローマ皇帝を崇拝するための造りになっているそうだ。ガイドさん曰く、ここでキリスト教徒がお祈りしていたらしい。
先ほど見たカルナック神殿をぎゅっと濃縮してまとめたものがルクソール神殿のような感じがした。
もともとはカルナック神殿の「副殿」として建てられたから当たり前なのかもしれない。
スフィンクス参道
ルクソール神殿とカルナック神殿をつなぐ3500メートルの参道である。
両脇にすごい数のスフィンクスが並んでいて圧倒される。夕暮れどきからはライトアップされてとてもムーディ。地元の人にとっても良いお散歩コースのようで、ルクソール神殿から歩いていく人がいっぱいいた。
さて、足早だったがルクソールもだいぶ満喫した。これからカイロへ帰るため空港へ向かう。
ルクソール空港
ポップな外観のルクソール空港。
荷物検査がやたらと細かくて時間がかかる。空港入って飛行機乗るまでに3回も同じ手荷物検査がある。これはテロ対策であり、観光行の安全を第一に考えているためなのは理解できるが、とにかく相当段取りが悪いので、もうちょっとシステム化して手際良くやっていただきたいところである。
カイロ空港に着くともうどっぷり夜。ここからご飯を食べにいく元気もなかったので、軽食を買ってホテルで食べることにした。
جاد
32 Al Haram, Kafr Nassar, Al Haram, Giza Governorate 3524002 エジプト
ガイドさんが寄ってくれた店。夜遅くにテイクアウトでシャワルマとハンバーガーを購入。対応が早くて良い。地元の人がいっぱい買ってたので、愛されるファストフードなんだろう。
カイロのホテル Turquoise Pyramids view Hotel
ピラミッドは5階のレストランからよく見えるそうだ。一般的には宿泊客は朝食をそこで食べるのでプラミッドビューを見るらしい。
我々は深夜にチェックインして朝6時にチェックアウトしたので、残念ながら朝ごはんはホテルで取ることができなかったのと、早朝は霧がかかっていてピラミッドは見えなかった。
シャワーのお湯は溜まったお湯を使っていくタイプのシステムで、長く使うとお湯が出なくなる。寒いときは辛いかも。
シャワースペースが狭いため洗面台とトイレの方まで水浸しになるので注意が必要。でも割安なホテルなので値段相当だと思う。
さて、明日は最後の観光、そしてこの旅最大の目玉、白砂漠キャンプへ向かう。
ここはあまり歴史的な予備知識もいらないし、エジプトのファラオに想いを寄せて考え込むこともないので大自然を満喫するのだ。