チェンナイ観光 l カーパーレーシュワラ寺院 Kapaleeswarar Temple
ヒンドゥー教の寺院に行った。
チェンナイに来てちょうど1か月経つが、ちゃんと寺院を訪れるのは初めてだ。
チェンナイ市内を走っていると、至る所にゴープラムと呼ばれる台形の建物を見かける。
ヒンドゥー教の神話に由来するさまざまなテーマを基にしたレリーフが、精巧に彫られているカラフルな建築物だ。
今回はチェンナイで一番大きなカーパーレーシュワラ寺院を訪れた。
ここはシヴァ神を祀っている寺院で、チェンナイで一番敷地が広く有名だから行ってみるとよいとドライバーの A さんに勧められた。
A さんはヒンドゥー教徒で、参拝はだいたい金曜日に行く。
カーパーレーシュワラ寺院は大勢の人で混み合うから、いつも参拝は違う寺院に行くらしい。
ここは神聖な寺院ではあるが観光地化しており、周囲には客引きのリキシャやガイド、物売りが多くいた。
外国人も見かけたし、若者は寺院内で自撮りをして盛り上がっていた。
ヒンドゥー教寺院には靴を脱いで裸足で入る。
しかし出てきた西洋人観光客は靴下を履いていた。見慣れない光景だが、観光地だから許されているのかもしれない。
靴を脱いでいると、「靴預けた方がいいよおじさん」が現れる。
ここに置いておくと、盗まれる可能性がある。きれいで良さそうな靴だから、あっちに預けるべきだ、と。
この「靴預けた方がいいよおじさん」は曲者で、かなり法外な金額を要求されたりするらしい(ネット調べ)
預けたい方は、ちゃんと値段を確認した方がよい。
結局サンダルはそのまま置いておいた。
基本的に、盗られて泣くほどつらい物はインドには持ってきていない。
でもサンダルがないと帰り道で犬の糞とか踏むと困るから、戻ってきた時にちゃんとあるといいなぁと思いながら寺院へ入った。
おじさんはそのあと違う外国人に声をかけていた。
入り口を入ると、正面にお参りするお堂があり、ヒンドゥー教徒が列をなしていた。
お参りセット(葉っぱとお花)や5cm ほどの小皿に入った蝋燭を手に持っている人が多い。
ちょうどお坊さんが祭事をする時間だったようで、奥で火を焚いていた。
火を一部こちらに持ってくると、皆ありがたそうに、その煙を身体にかけていた。
日本でいう常香路のようなものだろうか。
お参りセットを貰い受けたい人や、小皿の蝋燭に火を受けたい人が次々と手を伸ばし、お坊さんが矢継ぎ早に対応していた。
お坊さんの姿が見えると、離れたところにいる人たちも、手を合わせて上に高く上げるような動作をしたり、床に座り込むようにして祈ったりしていた。
敬虔な信者が多いのだと思うが、”姿を拝むだけでありがたい” という雰囲気があり、やはりカースト制度のバラモンの存在を感じずにはいられなかった。
根強いカースト制度の話も、インド人に聞いたリアルな今をそのうちまとめて記事にしたいと思う。
ちょうど祭事のタイミングで来れて貴重な体験をすることができたが、
このお堂の内部は写真禁止だった。
ここ以外なら寺院どこでも写真撮っていいよと言われたので、周りを一周。
床がすごく熱い。
本日は晴天で、床が太陽熱で熱板のように熱くなり裸足では数メートルと耐えられない。
だが、床の一部に道のような白い部分があって、ここだけあまり熱くない。
地面の温度が上がらないようにする塗料が塗ってあるのだそうだ。
気の利いたことをしてくれる。
インド人もこの白い道を歩いていた。やはり彼らでも熱いんだろう。
ヒンドゥー教寺院はお昼から夕方まで閉まるので、午前に参拝する人が多いようだ。
日陰で気持ちよく休めるスペースもあり、家族や親戚との団欒の場所にもなっているのかもしれない。
メインのお堂の裏には、床にうつ伏せになりお参りしている人たちがいた。
その床を見ると、こんな印が。
さらに行くと小皿に入った蝋燭がたくさん燃えているところがあった。
南インドのヒンドゥー寺院では時代が経つにつれ中心祠堂が小規模なものとなり、それに反比例するかのごとく、ゴープラムが巨大化したそうだ。
この寺院も、ゴープラムの圧倒的存在感の割に教徒がお参りするお堂は小さい印象があった。
ヒンドゥー教寺院をはじめとするドラヴィダ建築の原型となったファイブ・ラタという7世紀の建築物がチェンナイの南のマハーバリプラムにあるのだが、ゴープラムの建築はその中の一つ、ビーマ・ラタを多層化したものという説がある。
ぱっと見はあまり似ていない気がするが、時代変化を追っていくと少しずつ今の形態に近づく姿が理解できるんだろうか。
ファイブ・ラタはここで訪れています。
南インドにはヒンドゥー教寺院が多くそびえ建つ都市も多いので、今後いっぱい見に行き建築を比較する予定だ。
ちなみに帰る時に自分のサンダルはちゃんと残っていました。よかった。
寺院を出た後、お昼ごはんに肉が食べたくなって、インド人の中で google review 評価の高い肉専門店に行った。
そこではランチが食べれるということでビーフステーキを期待したのだが、残念ながら牛肉と豚肉のメニューは置いていなかった。
インド人に人気ということはそういうことだ。
牛肉や豚肉が食べられるお店はチェンナイにたくさんあり、家の近くにも美味しいビーフバーガーの食べられるお気に入りのカフェがある。
しかしそういう店は大抵が外国人向けで他の料理の価格設定も高く、ノンベジのインド人も来られるのは富裕層だけである。
チキンのハンバーガーとラム肉のサンドイッチ、バナナスムージーをオーダーした。
ちなみにこのお店はイートインがテラス席のみ。
今日の気温は34度、体感温度44度。
ひぇーと思うかもしれないが、扇風機を効かせてくれて日陰だと、外でも快適に過ごせる。
東京でこのくらいの気温だとテラスでランチなんてあり得なかったけれど、
チェンナイでは、気温から想像するほど実際は暑くない。
自宅のバルコニーでお茶したりもする。
東京はヒートアイランド現象で体感温度が上昇する一方、ここには土と緑がいっぱい残っているからなんだろう。
日本は最近猛暑のようで、帰国する頃にはさらに気温が上昇していると思うと心が折れる。