タンジャーヴール観光 l いま超話題の映画 PS1 の舞台
ラメシュワラム、タンジャーヴール、ティルチラパッリ旅行記。前回はこちらです↓
ラメシュワラムを堪能したあと、車でタンジャーヴールに向かった。
この街の発音、日本人はタンジャヴールと呼んでる人が多いと思うが、正しくは「タンジャーヴル」なんだそうだ。
でも wikipedia がタンジャーヴールになっているので、ここではタンジャーヴールで記載する。
タンジャーヴールはイギリス統治下においてタンジョール(Tanjore)と呼ばれていた。
伝説によると、タンジャーヴールは「タンジャンの地」という意味であり、この地がヒンドゥー化する以前に棲んでいた悪魔タンジャンに由来する。
仙人の修行を邪魔する悪魔タンジャンがヴィシュヌ神+ドゥルガー女神と戦って敗れ、自分の名前を地名に残してほしいという願いが叶えられたらしい。
悪魔の名前をつけてあげるっていうのもなんだか妙な話だ。
前回のラーマーヤナでも魔王がインド原住民に由来するという話があったが、こういう昔の話は悪魔が土着の神の要素も持っていたりして、完全な善悪に分けられるものでもないんだろう。
Marhaba Restaurant アラビア料理レストラン
ラメシュワラムからタンジャーヴールに向かう途中で夕食のため入店。
ラメシュワラムでシーフードが食べれずノンベジランチだったので、肉とシーフードが食べたいという要望を満たす店がこちら。
南インドの田舎でノンベジを食べようと思うと、アラビア料理など、イスラム系料理が多くなる気がする。
夜遅めだったためか not available 料理も多かったが、肉料理はとても美味しかった。特にビーフ・チュッカという食べ物、味が濃くしみててパクパク食べた。
デフォルトはおそらく相当辛い。less spicyと頼んで作ってもらって、我々はぎりぎり食べられるレベルだ。
向かって右隣の店でお菓子やジュースが売っている。
スパークリングジュースやぶどうジュースなど、ワインボトル風のジュースはクリスマスにこどもに喜ばれそうだ。
タンジャーヴールに着いたのはかなり夜遅くだった。
ホテルは北の方なので、街を突っ切った際にブリハディーシュヴァラ寺院の前を通った。
少しライトアップしていたので降りたが、そんなにきれいじゃなかった。
ホテル GReaT Trails Riverview Resort Thanjavur By GRT Hotels
タンジャーヴールで泊まったのはコテージ風のホテル。
名前の通り川沿いで、周囲は自然に囲まれているが、思ったより蚊もいないしとてもきれいで快適だった。熱いシャワーも出る。
シャワーを浴びたあと、秒で寝た。
私はぎりぎりまで爆睡していたが、朝散歩すると気持ちよかったらしい。
朝ごはんも美味しい。特にアーモンドチャトニが絶品だった。
ブラックコーヒーもオーダー出来る。
Brihadeeswara Temple ブリハディーシュワラ寺院
かの有名なブリハディーシュワラ寺院である。
中世最強のインドの王朝、チョーラ朝の最盛期にラージャラージャ1世が建てた寺院。1003年に建造が始まり、1009年に完成した。
ここを舞台にした超大作映画 Ponniyin Selvan 1 がちょうど公開された後に訪問した。(観てはいない)
私の周りのインド人は公開前からソワソワしていたほど、スペクタクル超大作だ。ちなみに実話を元にした長編小説を元に作ったパート1なので、次回作もすでに期待されている。
チェンナイ在住の Kiyofumi さんが PS1 観た感想と情報をいっぱい書かれているので、気になったら note をチェックしてください!
私も訪れる前はどんなだよと思っていたのだが、そんな映画の舞台になるのが納得の素敵な寺院なのだ。
近代のヒンドゥー教寺院のような派手な彩色がされていない。
シンプルな唐茶色一色で、背の高い本殿と整った周壁、細かな彫刻細工、かなりのクオリティとスケール感なので、圧倒される。
世界遺産だそうだ。
ブリハディーシュワラ寺院ではゴープラム(塔門)が2重に連なっている。
もちろん裸足で入らないといけないので、入口入って右側に靴を預ける場所がある。その周りにお土産屋さんや冷たいジュース屋さんがある。
内部に入るとまず見えるのが大きい聖牛ナンディ像。
本殿の方を向くように置かれているので、まずお尻が見える。長さ6m、高さ3.7m、重さ25t だそうだ。このナンディはラージャラージャ1世の時代ではなく、16世紀後半のヤーナカ王の時代のものらしい。
地球の歩き方にはインドで2番目に大きいと記載されていたが、インド人いわくこれが最大だとのこと。
台座の4方向に自撮り台が置いてあってインドっぽい。
ナンディ像の奥には、前殿と本殿がある。本殿と前殿は繋がっていて、前殿の入り口から長蛇の列だった。
中核をなす本殿に入るには、この列に並ばないとならない。
本殿はシヴァ神が棲むというカイラス山が表現され、高さ65m、頂きには80トンの花崗岩が載っているらしい。
1009年にこの寺院が完成するまでは、以前のヒンドゥー教寺院の高さは10mに満たなかったが、この寺院で一気に高層化して超巨大寺院が誕生した。
いかにチョーラ朝とラージャラージャ1世のパワーが強烈だったかということを物語っている。
ラージャラージャ1世はタミル、ケララ、スリランカを勢力下におさめ、続くラージェンドラ1世はガンジス河領域にも遠征しチョーラ朝の絶頂期だった。この時代、チョーラ朝は海上交易を重視し、東南アジアへの遠征、中国への施設派遣などの外交もさかんだったそうだ。
さて、本殿に入るために並ぶのは難しかったので、前殿入って左側にあるガネーシャ像にお参りをした。
チェンナイでドライバーにガネーシャのお参り方法というのを教わっていたのでその通りにしたが、他のインド人は誰もやっていなかった。
でも隣の女性が「いいね」という感じで微笑みかけてくれたので、変なことはしてないと思う。
お参りしたあとはおでこに粉をつけてもらった。
本殿の中にはシヴァのリンガが祀られているそうだ。
シヴァ派のヒンドゥー教徒にとってはきっとここも聖地の一つだろう。
本殿の横には、外部に飛び出すように小さな祠があり、ここはそこまで並ばなくてもお参りできそうだったので、並んでみた。
中枢から離れると、寺院内は周壁にそって芝生が敷かれていて、ベンチもあったり、広い公園のようになっている。
議論したりごろっとしたり、いろんな話声が聞こえてきた。
ブリハディーシュワラ寺院内には、本殿意外にも、祠堂がいくつかある。
入り口から見て左奥にはガネーシャ寺院もあり、ガネーシャ派(私)としては嬉しい。
ちゃんとここにもナンディ像もいて、ガネーシャの方を向いて佇んでいる。
構図が一緒なのが微笑ましい。
敷地内の奥の方には井戸もあり、子供たちが覗き込んでいた。
ぐるっと回って靴を預けた場所に戻るとき、近くでマイクをもってパフォーマンスしているような声が聞こえてきた。「神のサリー」を売っているんだそうだ。
お客さんが殺到していた。
素晴らしい栄華を誇ったチョーラ朝も、1279年にマドゥライのパーンディヤ朝によって滅ぼされる。しかし新たな王朝のもとでもタンジャーヴールは賑わっていたそうだ。
北インドから侵攻してきたイスラム勢力によってこのパーンディヤ朝が滅んだあと、南インドでヴィジャヤナガル朝が起こり、14世紀中頃にタンジャーヴールもこの王朝の勢力下に入った。
ヴィジャヤナガル朝ではヤーナカと呼ばれる領主を派遣してが地方の統治を行う「ナーヤカ制度」を取っており、15世紀ごろからはタンジャヴィールは独立した地方勢力になっていく。
タンジャヴールは16−17世紀にはナーヤカ朝となり、ヴィジャヤナガル朝がまたしてもイスラム勢力に敗れて衰退すると、南下してきたバラモンを宮廷で雇って保護した。これによりタンジャーヴールでバラモン文化が栄えるようになったらしい。
その後、17世紀にはマラーター政権という勢力に飲み込まれるが、文芸や音楽、芸術が保護されたため、宮廷文化はさらに発展した。
タンジャーヴールの他の見どころとしては、この16−17世紀のヤーナカ朝、17−18世紀のマラータ時代に宮廷が置かれていたタンジャーヴール王宮がある。しかし我々は時間のない旅であり、早めにティルチラパッリに移動したかったので、またの機会とすることにした。
正直ブリハディーシュワラ寺院を見れただけで心がいっぱいになったので、タンジャヴールはこれで十分だった。
王宮の入り口にだけ行ってみたが、中に入るのに入場料がかかり、外からでは何も見えなかった。
宮廷文化が保護された歴史から、タンジャーヴールには今でも宮廷文化が残っており、現在でもバラモンが多く暮らす街として知られているそうだ。
南インドは歴史的にイスラムの影響を受けていない街が多く、こういったトラヴィダ様式の寺院がどんどん発展し1000年以上もメンテナンスされ続けて現在に受け継がれているといのは、とても貴重で奇跡的なことだと思う。
多様性の国インドでは、地理的な、言語学的な、宗教的な、いろいろな要素がうまく重ならないと保護され続けないよなあと思うと、とても感慨深い。
ということで、我々はお昼前にティルチラパッリに移動した。
タンジャーヴールから抜けるあたりの道路では、道路が砂場みたいになっているところがちらほら。
これ、どうやら穀物らしい。タンジャーヴールは南インド有数の穀倉地帯としても有名なんだそうだ。
穀物に詳しくないのでわからないが、道路で?干している?のか。
道路の幅の半分以上を使って作業している。
誰も文句言わないところから想像するに、この地域ではこの作業が優先されているのだろうか。なんとも自由だ。
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