エジプト旅行⑦ | オアシスの民家でごはん、夜は静かで真っ暗な白砂漠でキャンプ
エジプト旅行の締めくくりは、白砂漠でキャンプという憧れのプラン。
いわゆる砂漠はカイロから南西に車で2-3時間ほど走ったあたりから広がっている。白砂漠と呼ばれる地帯へは、その辺りのオアシスを拠点にしてさらに1時間くらい南へ向かう。
朝は6時発だった。
朝は霧が晴れていて、ホテルの窓からピラミッドが見えた。
ホテルの朝食は利用できない時間だったので、朝ごはんセットをボックスでもらう(パン、お菓子、りんご、バナナ、ジュースなど)
カイロ市街を抜けて、まずはオアシスへと向かう。
オアシスまでの道中
カイロを抜けると、隣に「10月6日市」という変わった名前の街がある。
1973年10月6日に開戦した第4次中東戦争を記念してつけられたそうだ。
サダト大統領が1981年に暗殺された日でもある。
この10月6日市は比較的新しい街で、新興住宅地のようになっている。
カイロに比べて綺麗で暮らしやすいらしく、ガイドさんは今の家からここに引っ越したいと話していた。
エジプトでは10月6日は軍の記念日になっていて、この日付の名前の入った公共施設がちらほらある。
例えばカイロ市内にはナイル川に架かる「10月6日橋」という橋がある。
オアシスに行く道中は、何もない荒野が広がる。
ここはまだ私がイメージする「砂漠」という感じではなく、ただ何もなく、ただっぴろい。ひたすら走っていくと、トラックがいっぱいとまっている休憩所があり、トイレ休憩をとった。
この地域の道路はこの国道しかなくて、運搬トラックが大量に行き来している。一回の往復でできるだけ多くの物資を運びたいので、トラックの積荷はかなり無理していることが多い。
我々の行く道でも、じゃがいもを積んだトラックが横転していた。そこらじゅうがジャガイモだらけだった。
ガイドさん曰く、観光のガイドで往復すると必ず一回は横転しているトラックに出くわすとのこと。積荷が相当重いので、かなり減速しないと緩いカーブですら曲がりきれないそうだ。
だから怪しい積載量のトラックを見たら、早めに追い越さないと危ない。
トラックが一旦横転すると、荷物を全部おろし、他のトラックに頼んだり、業者に手伝ってもらってトラック自体を起こしてもらわないかぎり戻れない。その作業で1日がパーになるので、ものすごい損失らしい。
しばらく走ると、ところどころ緑が目に入り、景色が変わってきた。
バハレイヤ・オアシスで昼食
少し早めの昼食は、オアシスの民家でごちそうになった。
四駆で砂漠をかけめぐる
食後はみんなで暖かい紅茶を飲んでだらっとして、トイレを済ませたら出発。四駆に乗り換え砂漠へ出発する。
オアシス近辺にはいっぱいデーツの実がなっていて、つまんで食べさせていもらった。水分を含んだデーツの実は、瑞々しくて甘くてとても美味しい。もう熟しきって乾いている実は、見た目は甘そうだがあまり美味しくなかった。美味しく食べられる時期は短い。
さて、いわゆる、私が想像していた、THE 砂漠に到着した。
誰もいない美しい砂漠をひとりじめである。
けっこう凹凸があり、高低差もあるので、四駆じゃないと走れないし登れない。スピード出してぎゅんぎゅんドライブはそれだけでものすごく楽しい。
ひたすらに広いまっさらな砂。足跡を最初につけるのは、すごく気持ちがよかった。素足に砂の感触が心地よい。
黒砂漠で岩登り
砂漠でひとしきり遊んでから、また少し車を走らせると、いつも間にか黒い地帯に入った。山も黒いし、地面も黒い。
ここは黒砂漠と呼ばれる一帯で、主に玄武岩からできている。はるか昔の火山の噴火によって、全体的に黒くなったらしい。
鉄やマグネシウムなど鉱石からなる砂漠なので、歩くと砂に混ざって黒い石がチャリチャリ鳴るのが特徴的だった。
ここにはピラミッドの形をした黒い山がたくさんある。黒いピラミッドの中には、カフラー王のピラミッドや階段ピラミッドにそっくりな形のものがあった。
黒い山には登ることも出来る。
ガイドさんに連れられて観光スポットになっている山に登ると、エジプト人のパリピ集団が爆音で音楽をかけて騒いでいた。景色は素晴らしかったが、音楽がとてもうるさかった。インド人みたいだ。
クリスタルマウンテン
下山してまた少し車を走らせ、次はクリスタルマウンテンへ向かった。
文字通り、山全体がクリスタルで出来ている。砂にもクリスタルが散らばっているが、特に岩に近づくと太陽光でキラキラと輝いてきれい。ここは国立公園になっている。
そうこうしているとあっという間にもう夕方。ガイドさんが「本日一番のいい景色」と一押しの場所に向かった。
アガバト Agabat
ここは Agabat sand dune とか Agabat valley とか呼ばれているところだ。
「Agabat」は、アラビア語で「困難」を意味するそうだ。遥か昔、車もなくラクダで移動していた頃は、この辺りを越えるのが最も難しかったそうで、そういう名前がつけられた。
さすがガイドさんおすすめだけあって、高台から俯瞰して見る景色は素晴らしかった。
日本では見れない光景だ。
歩くと大変なので、車でこの一帯を移動してもらった。
ちょうど日暮れでとても幻想的な景色が見られた。
白砂漠のキャンプ地点へ
さて、暗くなる前にキャンプする場所へ着かなければいけない。
さっき見たやたらロマンチックなサンセットは山への日の入りだったので、周囲は意外とまだ明るい。
くねくねとえらいスピードで砂漠を走ってキャンプ場所に到着。
なぜ場所がピンポイントでわかるのか不思議だが、きっとたくさん目印があったのだろう。
はるか遠くにかろうじて人が見える。他の団体とは、灯りや音が干渉しあわないように、ある程度離れる決まりがあるようだ。
トイレも野外なので、うっかり見られたらお互い嫌だしね。
周囲はえらい静かで、もしひとりで来ていたら怖くなるほどだ。
ガイドさんとドライバーさんが慣れた手つきでちゃっちゃとテント設営をしている間、我々は大きなクッションをもらって砂の上でだらだらと空を見ていた。普段インドに住んで、エジプトに来てからは観光地を忙しく回っていたから、こんなに静かに何もしないですごす時間は久しぶりだった。
当たり前だが、携帯は圏外。
デジタルデトックス。
夕食のあとは、焚き木を囲んで紅茶を飲んだ。
エジプトの人はコーヒーより甘い紅茶をよく飲む。先ほどの民家でいただいたのも同じだったが、食後にはみんなで甘い熱い紅茶を飲むのが一般的らしい。いただいたのはミントフレーバードティーで、甘いけれど口がさっぱりしてなかなかよい。同じものを買って帰ろうと思った。
ここでいきなりドライバーさんの義理の兄が来た。
偶然なんだか示し合わせたのかよくわからなかったが、合流して数時間一緒に盛り上がっていた。
楽器を弾いて、歌を歌ってくれた。
歌に合わせて踊れと言われたが、私は普段踊るような生活習慣はないので、踊らなかった。それどころか、気持ちよくなってごろ寝して、そのまま寝てしまった。
ということで、みなさんが飽きて寝る時間になったところで起こされてテントに移動し、寝袋に入って寝なおした。
明日は白砂漠の見どころを周り、温泉にも入りに行く予定。楽しみだ。
灯りを消して夜空を見ると星がきれいだった。
みんな寝静まって静かだったかというと、ガイドさんのいびきがうるさかったので、ノイズキャンセリング機能のついたイヤホンを耳にはめて寝た。
なので静かだった。