9月入学は今やるべきことなのか
GWも半ばをすぎで、GW明けからの学校の状況が気になります。
鳥取県は、GW明けから学校再開が発表されています。
鳥取県は、新型コロナウイルスの感染の広がりが、県内では見られないとして、国の緊急事態宣言が延長されても、臨時休校としている県立学校を5月7日に再開することを決めました。すべての小中学校なども、これに準じて再開される見通しです。
出典:鳥取県 県立学校は7日に再開へ “感染の広がり見られない”(NHK 2020.5.1)
一方、他の地域では、学校再開の目処がたたないところも多いようです。
そこに来て、9月入学の話、唐突で、場当たり的な発想のように感じます。
9月入学はいずれどこかで本格的に考えることは必要だと思いますが、
今は、まず学習機会の確保をすることが必要だと思います。
ちなみに休校中の教育はどのように担保されているのか
という点が気になりますが、
臨時休校の学習面の指導についての公立学校の取り組みは、
次のような状況です。
この調査は、公立小学校、中学校、高等学校及び
特別支援学校等における学習指導等の取組状況(令和2年4月16 日)
について、調査結果となっており、文部科学省が実施しています。
(1)臨時休業中の家庭学習の状況
(2)臨時休業中の登校日(単位:設置者数)
(3)上記以外の児童生徒の学習等の支援(単位:設置者数)
出典:新型コロナウイルス感染症対策のための学校の臨時休業に関連した公立学校における学習指導等の取組状況について(文部科学省)
基本的に学習については、
「教科書や紙の教材を活用した家庭学習」や
「テレビ放送」などを活用した家庭学習が主なものとなっています。
また、児童生徒の学習等の支援としては、
「家庭訪問の実施」「電話・FAX による連絡」となっています。
このような方法の生徒たちとのコンタクトは、
安否確認やプリントなどの教材を渡すなどの
事務的なことはできたとしても、
ほとんどの場合、学習支援までには手が回っていないでしょう。
もちろんデジタル教材の活用や
オンラインでのやりとりをすることが
必ずしもいいことばかりでとは言えません。
また、教科書や紙の教材を活用することのメリットもあります。
それでも、公立の教育においてオンライン化が
遅れていることや、普及しない背景について、
9月入学よりも先に、まずは考えていくべきことだと思います。
広島県内では、すべての児童・生徒のクラウドアカウントを
確保し、学校のオンライン化を実現させているとのこと。
その対応は、安倍首相が3月2日からの一斉休校を要請した後、
すぐに始められたようです。
いま学校を開けなければ、いつ開けられるようになるかわからない。開けたとしても、また閉めることになるかもしれない。
そんな思いでしたから、どうすればオンラインの学習環境を整えることができるのか、3月から調査や情報収集を続けていました。
4月6日に学校を再開したとき、真っ先にやったのは、県立高校の生徒たちのインターネット環境の調査です。
「クラウド上の個人のアカウント」「PCやタブレットなどの端末」「WiFiなどの通信環境」ーーこれらを私は、クラウド上に教室を立ち上げるための「3種の神器」と呼んでいます。まず、この3つを整備しなければなりません。
出典:「オンライン授業はできます」 広島県教育長に聞いた、“3種の神器“のそろえ方(BuzzFeed Japan 2020.5.2)
調査の結果は、
「PCやタブレットなどの端末がない」
「WiFiなどの通信環境がない」に該当する生徒が
それぞれ約12%いたそうです。
オンライン授業を進められない理由として挙げられるのは、
「環境が整っていない家庭がある」という意見です。
1人でも持っていない人がいたら平等ではないから、
公教育としては取り組めない。
しかし、子ども1人につき1台の端末と全世帯の通信環境が
そろうまでは何もできない、と待っていてよいものなのか、
できるところからやるしかないという判断をしているそうです。
親もスマホを持っていない家庭の子はどうするんだ、とも言われますが、ICTを使うことによって先生の時間が生み出されると考えることもできます。
クラスに40人いたら、1人の先生が40人全員に電話をすることはできません。30人がICTで済むぶん、残った10人は電話やプリントの郵送などスペシャルにフォローできる。これは選択と集中だと思います。
「こうすべき」という思い込みをなくし、マインドセットしていかなければならないところです。いまは緊急事態なのですから。
出典:「オンライン授業はできます」 広島県教育長に聞いた、“3種の神器“のそろえ方(BuzzFeed Japan 2020.5.2)
こういうときこそ、柔軟な対応することが必要だなと思ってしまいます。
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