中小企業が障害者雇用を自社でおこなうのは難しいのか
新型コロナウイルスの感染拡大で、今まで以上に仕事をつくることが難しい、自社で雇用するのはあきらめてサテライトオフィスを活用することを検討しているという企業が増えています。
特に、中小企業で、障害者雇用があまり進んでいない・・・という企業さん多いです。
サテライトオフィスの活用については、「企業で果たすべき雇用をお金で解決しているのでは・・・」と考える方もいらっしゃいますが、企業におけるすべきことの優先順位や、それぞれの経営環境や状況は異なります。サテライトオフィスを活用することで、雇用率が達成できる、雇用雇入れ計画書の作成命令が出されずにすむのであれば、それは企業の判断としてはありだと個人的には考えています。
しかし、安易に、じゃあお金で解決しようと考えているのであれば、もう一度、本当に仕事がないのかを考えてみていただきたいと思います。
障害者ができる仕事としての切り出しでは、仕事は見つからない
障害者雇用をはじめるとき、または、仕事を増やそうと考える時に、清掃や印刷関連、郵便物の仕分け、リサイクルなどの、いわゆる今までの障害者雇用で進められてきた仕事から作り出そうとするケースが多くあります。
しかし、多くの企業はDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めつつありますし、新型コロナの影響下、今までのような仕事の切り出しでは、なかなかこのような仕事を作り出しにくいという状況があります。リモートワークもますます浸透していく中で、仮に業務を作れたとしても、もしかしたら数年のうちになくなる可能性も大きいでしょう。
それであれば、やはり今までの障害者雇用の仕事の見つけ方、いわゆる障害者ができる業務としての切り出しでは、非常に難しいものがあると感じています。
検討すべき点は投資とリターン
冒頭で、サテライトオフィスについての考えをお伝えしましたが、サテライトオフィスはじめ、他の障害者雇用支援サービスを見ていて感じるのが、投資に対するリターンがどれくらい取れるのかということです。
話を聞いている限り、多くのものは、投資に対するリターンはかなり厳しそうだなと感じます。提案されている仕事内容もさることながら、管理費や固定費がかかることが多く、採算が取れる見込みが、程遠く感じられるからです。これでは、障害者雇用率をお金で買っているのかという論調がでるのもわかります。
また、本当に障害者を戦力化できているのかという点から見ると、ほとんどの会社の障害者雇用は、なかなか難しいのが現状でしょう。それは、本来企業としては、外注化して少しでもコストを下げようとしている業務から仕事を作っているからです。特例子会社でも、本当に障害者の働いた成果の売上だけで、会社が回っているというのは、ごく一握りの会社です。
では、どうしたらよいのか・・・。
それは、間接業務でコストを削減しようとしている業務から仕事を作り出すのではなく、企業の事業の本質に関わるものや、プロフィット部門からの仕事を作り出すことが大切です。
例えば、ある企業では、過去に営業部門が名刺交換をして眠っていた大量の名刺をデーター化して、企業リストをまとめて営業につなげたところ、大規模な受注につながりました。このような事例は、雇用率を達成するためだけの雇用ではなく、会社にとっても、営業社員にとっても貢献することになりますし、何よりも働く障害者のモチベーションにつながります。
障害者枠で働く方からの「業務内容が少なく、勤務時間にやることがない・・・」という相談、多いんですよね。
ちなみに、障害者雇用の業務の切り出し例とあげられているものは、残念ながら20年ほど前にあげられてきた業務とほとんど変わっていません。その間にスマートフォンが普及し、どこでもインターネットが使えるようになり、仕事の内容や環境は大きく変わってきていますが、障害者雇用の仕事はほとんど変化していないのが現状です。
障害者雇用を進めたいけれど、企業の事業の本質に関わるものや、プロフィット部門からの仕事を作り出す方法がわからない、本当はもっと人手があれば、こんな仕事を頼みたいけれど仕組みづくりの仕方がわからない、教育をする時間がないのであれば、無料個別相談をお受けしていますので、お問い合わせください。