障害者雇用促進法以外にも知っておきたい「障害者差別解消法」と「障害者虐待防止法」
「障害者雇用促進法」は、障害者雇用における基本的な法律であり、すでに多くの人事担当者が知っているものです。しかし、この他にも障害者に関する法律がいくつかあります。中には、企業の責任やリスク管理に関係するものも少なくありません。
今回は、企業が知っておきたい障害者に関する法律として、「障害者差別解消法」と「障害者虐待防止法」について説明していきます。
「障害者差別解消法」は、2016年4月に施行された法律です。国連の「障害者の権利に関する条約」締結に向けた国内法整備の一環として制定された背景があり、障がいを理由とする差別解消の推進を目的としています。
「障害者雇用差別解消法」では、雇用分野以外のあらゆる分野のものが含まれています。例えば、生活の中で行政に行ったときや教育を受けるときに受ける対応や、買い物や飲食店に行ったときに受けるサービス、そして、雇用・就業の際に考慮されるべき対応も含まれます。
「障害者虐待防止法」は、2012年10月に施行されました。この法律では、養護者及び障がい者福祉施設従事者等による障がい者虐待防止のほか、使用者による障がい者虐待の防止について規定されています。
虐待には、身体的虐待・性的虐待・心理的虐待・ネグレクト(放棄・放置)・経済的虐待が含まれます。福祉機関における職員からの虐待といった事件はニュースで取り上げられることも多いので、なんとなくイメージした方もいらっしゃると思いますが、企業の中で今あげたような虐待なんてないだろう……と思われた方も多いと思います。
しかし、次のような状況も障害者虐待法に該当することになります。
ネグレクト
仕事を与えない、意図的に無視する、放置する、住み込みで食事を提供することになっているにもかかわらず食事を与えないなど、健康や安全への配慮を怠ることなど。
心理的虐待
脅迫する、怒鳴る、悪口を言う、拒絶的な反応を示す、他の社員と違った差別的な扱いをする、意図的に恥をかかせるなど。
経済的虐待
障害者に賃金を支払わない、賃金額が最低賃金に満たない、強制的に通帳を管理する、本人の了解を得ずに現金を引き出すなど。
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