始末されるオレ
たしか週末はスーツを作りに行くと言っていた主人。ご贔屓にしているお店から、割引セールのハガキが届いていたからだ。
そして土曜日の朝、私はハタと気がついた。
「ねぇ、あの(割引セール)のハガキは持ってるの?」と主人に聞いたところ
「夕べお母さん(私)が寝たあとに探したんだけどないんだよ。この前までソファ前のテーブルにあったのに。ここもにも、あそこにも、全くどこにもないんだ。あるのはお母さんのものばかり」
あのハガキがないなんて!
まさかそんなことはないでしょ。
私もたしかにソファ前のテーブルに置いてあったのは見た記憶はある。
ガサゴソ
ガサゴソ。。。
思い当たるところをさがすも……ない。
ん?もしかして、、、。
私はあるキャビネットの扉を開けた。
そこには、毎月支払う公共料金の請求書や、とにかく失くしてはいけないような大事な書類がしまってあるのだ。
そこに入っているクリアファイルを取り出すと…
そのハガキはちゃーんとその一番上にはさまっていた。
なーんだ。
大事なものだと思ってここにしまっておいたんだっけ。数日前の記憶なのにまったく覚えていないとは、、、。
「ほら、ちゃんとここにあるよー。全部探したって言ってたけど、ここのキャビネットは見たの?」
と、私。
「だって、そこは箸とか入っているところだろ?」
いやいや、カトラリーケースが入っているのはその隣の扉だよ。
「いっくら探してもどこにもなかったんだ。あるのはお母さんのものばかり。お父さん(主人)のものは全部始末されているんだよ。そのうち、この家にはお母さんのものしかなくなるんだ」
そんなー、人聞き悪いな。
だからハガキは大事なものをしまっておくところにちゃんとあったじゃない!
そして主人の話は続く。
「そして、いつかオレも始末されるのさ」